資産運用
低金利の昨今だからこそ注目しておきたい「個人向け国債」。NISAやiDeCOは耳にしたことがあるけれど、個人向け国債はよくわからないといった方も多いのではないでしょうか。個人向け国債は比較的少額から始められるほか、リスクも低いのが特徴です。「リスクは取りたくないけど、普通預金よりは増えるならば投資しても良い」「元本割れは防ぎたい」という方には向いている投資商品となっています。
今回の記事では個人向け国債の種類について触れた後、メリットやデメリットについて解説します。
「個人向け国債とは?メリット・デメリットは?」という疑問をお持ちの方はぜひ最後までご覧ください。
「個人向け国債」とは、個人に限定して発行される国債であり、額面1万円単位で購入が可能です。10年満期で変動金利のものと、5年満期および3年満期のもので固定金利のもの、3種類の個人向け国債が存在します。
変動10年 | 固定5年 | 固定3年 | |
---|---|---|---|
償還期限 | 10年 | 5年 | 3年 |
金利の種類 |
6ヶ月ごとの 変動金利 |
固定金利 (利払いは半年に一度) |
固定金利 (利払いは半年に一度) |
金利水準 | 基準金利 | 基準金利-0.05% | 基準金利-0.03 |
最低保証金利 | 0.05% | ||
発行時期 | 毎月 | ||
中途換金 | 発行から1年経過後は額面金額にて途中換金可能。ただし、直近2回分の利子相当額(税引前)×0.79685の手数料が必要 | ||
購入金額 | 1万円単位 |
※基準金利はそれぞれ同じ期間の10年利付国債の利回りとなります
上記の表から、個人向け国債には最低保証金利があることがわかります。3種類共に最低保証金利は0.05%となっており、普通預金金利からみると高いことがわかるでしょう。また、個人向け国債は日本国が責任を持って借りた資金と金利の支払いを行っているため、原則として元本割れすることはないといえます。
特に、低金利でかつ大幅な物価上昇が見込めない今だからこそ、国債は投資商品として魅力があります。とはいえ、万が一この先どこかで物価が大幅に上昇した場合、固定金利5年と3年は利子が固定されているため注意が必要です。
個人向け国債は銀行や郵便局、証券会社、保険会社等にて購入できます。1万円から購入可能なほか、個人間での譲渡や相続も可能です。投資の手始めとして、元本割れを防ぎたい方などには魅力に映るでしょう。
ここでは個人向け国債の主なメリットを4つ取り上げてみました。
・比較的リスクが低い
・定期預金と比較して金利が高い
・譲渡・相続が可能
・買付手数料が不要で、口座開設・維持手数料もかからない
4つのメリットをそれぞれ見ていきましょう。
国債は国家が発行体であるため、他の金融商品と比較してリスクが低いのがメリットとしてあげられます。ここでいうリスクとは「元本割れリスク」のことを指します。元本割れとは金融商品の価格変動によって、購入時よりも売却時の価格が下がってしまうことです。株式投資やFXなど、いわゆるハイリスク・ハイリターンな投資手法は元本割れリスクが高いとされています。国債であれば国家が破綻しない限り、償還まで保有することで元本が割れることもありません。一方、中途売却した際は元本割れを起こすことがあるので注意が必要です。
一般的に国債は定期預金よりも金利が高く設定されています。2023年2月時点での個人向け国債金利は0.05%です。メガバンクの金利が0.01%前後であることを踏まえると、普通預金口座にお金をただ預けているより高い金利で運用できるのはメリットでしょう。また、個人向け国債については最低でも0.05%の金利が保証されているのも特徴のひとつです。
個人向け国債は有価証券として譲渡・相続が可能なのもメリットです。譲渡・相続は1万円から認められているほか、万が一保有者が亡くなってしまった場合には相続人の口座へ移管できます。とはいえ、あくまで個人向け国債であることから譲渡・相続が認められる範囲は個人間となることをおさえておきましょう。
個人向け国債は株式や投資信託と違い、購入時に「販売手数料(買付手数料)」が生じません。また、国債を買うために専用口座の開設は必要ですが、一方でそれらに対する開設・維持手数料は原則として必要ありません(ゆうちょ銀行を除く)。とはいえ、中途換金時には手数料がかかることに加え、運用で得られた利益については株式等と同様に20.315%の税金が課される点に注意が必要です。
個人向け国債にはメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
・デフォルトリスクがある
・短期間での利益は期待できない
・すぐに換金できず途中解約するとリターンが小さくなる
デメリットについてもそれぞれ詳しく解説します。
デフォルトとは、金融用語で「債務不履行」のことです。国債における「債務不履行」とはつまり、日本経済の破綻を示しています。日本が経済破綻する可能性は低いものの、絶対に破綻しないといったことはありませんのでデメリットとして頭に入れておく必要があります。そのため、多額の資産を国債に投じようと考えている場合にはデフォルトリスクがあることをあらかじめ認識しておくことが大切です。
国債は元本割れのリスクが低く安全性が高い一方で、収益性はそれほど期待できません。たとえ100万円分の国債を購入したとしても、1年で500円の利息しかつかないからです。そのため、投資である程度まとまった利益を得たいと考えている方には物足りないでしょう。国債で堅実に資産を運用しつつ、投資信託をはじめとした他の金融商品でも資産運用を行うのもひとつの手です。
個人向け国債はすぐに換金することができないのもデメリットとしてあります。途中解約が可能となるのは1年経過後からです。また、期間中に途中解約した場合には換金の利子に対するペナルティ金が生じるため、結果としてリターンが小さくなってしまいます。こうした特性から、国債は投資と捉えるのではなく、銀行よりも利率が高くて安全性の高い定期預金といった位置づけで捉えておいた方が認識の齟齬が生じにくいかも知れません。
ここまで個人向け国債のメリット・デメリットについて解説してきましたが、次に購入方法についてみていきます。
個人向け国債を購入するためのステップは以下の通りです。
1.取扱金融機関を調べる
2.口座開設に向けて本人確認証や印鑑などを用意する
3.近くの金融機関で口座開設の申し込みをする
4.国債の購入手続きを行う
それぞれのステップについて、詳しく解説します。
初めて国債を購入する場合、金融機関で国債専用の口座を開設しなければなりません。証券会社や銀行をはじめ、近くにある取扱金融機関を調べることから始めましょう。
国債専用口座の開設にあたって、本人確認証や印鑑が必要です。本人確認証にはマイナンバーカードや健康保険証などが利用できますが、心配な方はあらかじめ開設予定先の金融機関に必要書類を確認しておきましょう。また、国債を購入する場合、印鑑や預金通帳、購入代金等が必要となるため、あわせてチェックすることをおすすめします。
近くの金融機関で国債専用口座の開設申し込みをします。基本的には口座の開設や口座の維持に関して手数料がかかることはありません。しかし、金融機関によってはそれらが必要となるケースもあるため、開設前に金融機関へ訪ねておくとよいでしょう。
口座が開設できたら、いよいよ国債を購入することができます。国債は発行日以前の一定期間(募集期間)に購入申し込みが可能です。金融機関によって取り扱っている国債の種類や募集期間が異なるため、わからない点があれば質問してみることをおすすめします。
今回の記事では個人向け国債の概要やメリット・デメリットについてお伝えしました。個人向け国債は他の金融商品に比べてリスクが低く、購入しやすい点がメリットといえます。とはいえ、収益性もあまりないことから、より効率よく資産形成をしたいと考えている方には物足りないかも知れません。
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