資産運用
銀行の定期預金より利回りが良いことに加え、株式ほどのリスクもないことから、人気の高い金融商品として知られている社債。
昨今、そうした社債の中で「CoCo債」という金融商品が登場していることをご存じでしょうか。
CoCo債は通常の社債よりも利回りが良く、ヨーロッパを中心に広がりつつあります。
今回の記事ではそのCoCo債の概要をはじめ、利回りやリスク、今後の動向についてまとめてみました。
CoCo債とは「Contingent Convertible Bonds」の略称で、日本語に訳すと「偶発転換社債」のことを指します。
CoCo債は主にヨーロッパの金融機関が発行している、株式と債券の中間の性質を持った新しい債権のひとつです。
「偶発」という言葉からもわかるように、CoCo債は偶発的に起こる条件によって元本の一部または全部が減ってしまうほか、強制的に株式に転換される仕組みをもっています。
この偶発的に起こる条件のことを「トリガー条項」といい、CoCo債のリスクに関する大きなポイントです。
例として、債券の発行体である金融期間の自己資本比率があらかじめ定めた水準を下回った場合などが当てはまります。
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資金調達の何%を占めるかを示す数値のことです。
(※)自己資本比率=自己資本÷総資本×100
そのため、自己資本比率が高ければ高いほど負債(借金)が少ないことになり、会社経営が安定していると判断できるでしょう。
通常であれば、自己資本比率が下がったからといって債権の元本が減ったり、株式に転換されたりすることはありません。
しかし、CoCo債は先に述べたトリガー条項があることに加え、比較的新しい債権とあって認知度が低く、利回り水準が同格付けの債権に比べて高くなるといった傾向にあります。
劣後債とは、元本と利息の優先度が低い債権のことです。
とはいえ、CoCo債よりも劣後債の方が弁済の優先度がいほか、弁済のタイミングも以下のように異なります。
劣後債:金融機関の破綻が発生した場合など、普通社債の弁済完了後に弁済される
CoCo債:発行体である金融機関の自己資本比率が低下した場合(トリガー条項)に、元本の削減や株式転換によって弁済される
(出典:日興アセットマネジメント株式会社 低金利下で注目を集めるCoCo債)
CoCo債は、通常の社債に比べて高い利回りが見込めます。
利回りが高くなる理由については先述した通りですが、年利数%程度の利回りが期待できるでしょう。
とはいえ、利回りが高い一方でリスクも高いことも忘れずにおさえておく必要があります。
ここでは、CoCo債のリスクについて見ていきましょう。
先にもお伝えしたように、CoCo債はトリガー条項に当てはまることで株式に転換される恐れがあります。
CoCo債は償還期限のない永久債ですが、株式に転換されてしまうと利子を受け取れません。
また、「自己資本比率が一定水準以下になる」ことがトリガー条項の発動要因ですが、自己資本比率が下がれば株価も下落します。
そのため、値下がりがしばらく続くことが見込まれる株式に強制転換されてしまうことはCoCO債のリスクといえるでしょう。
CoCo債に限った話ではありませんが、債権などの発行体にはデフォルトリスクがあります。
CoCo債を発行している会社がデフォルト(債務不履行)を起こすと元本割れとなり、投資したお金を全て失うことに。
CoCo債は登場してから日が浅いため、倒産や上場廃止のリスクがある発行体が含まれていることも事実です。
そのため、CoCo債にはデフォルトリスクがあることを念頭に置いておくようにしましょう。
CoCo債をはじめとした現物債権は、最低購入金額が高めに設定されている(大体2,000万円程度)ケースがほとんどです。
2,000万円もの資金を投資に回せる人は、ごく一部の富裕層に限られており、一般の投資家ではそう簡単に手が出せないのが現状でしょう。
中には、比較的少額から始められる「グローバルCoCo債投資ファンド」のような投資信託もありますが、一般的にはまだまだ最低購入金額のハードルが高いといえます。
CoCo債をめぐる状況として、昨年ドイツ銀行が総額12億5,000万ドルのAT1債(CoCo債も含まれる)を償還しないことを決定しました。
その背景に新型コロナウイルスの感染拡大による市場の混乱が挙げられ、コロナによる経済の浮き沈みがある程度落ち着くまでは主要国の金融緩和政策も継続することが見込まれます。
とはいえ、いつまでもこの状況がつづくとは考えにくく、将来的には利回りの高いCoCo債市場への資金流入が期待できるでしょう。
しかし、ここまででも述べたようにCoCo債は登場してからまだ日が浅く、いまひとつ今後の動向がつかめないこともまた事実です。
そのため、特に注意して今後の動向を見守る必要があるでしょう。
今回の記事では、CoCo債の利回りやリスク、今後の動向についてお伝えしました。
昨今では、複数のCoCo債に投資し、リスクを分散させる金融商品として投資信託も登場しています。
例として、日興アセットマネジメントが発売しているグローバルcoco債ファンドが挙げられ、以下3つのコースから運用方法の選択が可能です。
・円ヘッジあり、先進国高金利通貨コース
・新興国高金利通貨コース
・ヘッジなしコース
どれを選択するかで運用結果が異なるため、自身の目的やリスク許容度を明確にしておくことが欠かせません。
普通にCoCo債に挑戦しようと思うと高額な資金が必要となりますが、投資信託であれば比較的少額な資金で始められるため、CoCo債に興味がある方はこうした投資信託に投資してみてもよいでしょう。
また、Coco債に投資する投資信託の分配金を年金代わりに使うといった方法も考えられます。
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