資産運用
厚生労働省が「働き方改革」で副業を推奨したことから、副業熱はますます高まっています。その中でFXと不動産投資は、高額配当を得ることができる投資として、関心を集めています。しかしその一方で「ハイリスク・ハイリターン」というイメージがあり、魅力的だけどどちらも怖いのではないか心配をする人も多いのではないでしょうか。ではどちらがハイリスクな投資なのかを比較して説明します。
FX投資はレバレッジを効かすことができるので、手持ちの資金よりもはるかに多額の資金を運用できることになります。例えば、日本円約45万円の証拠金があると、10万ドルを購入できます。購入時のレートが1ドル112円とすると、1120万円分のドルが購入できます。これがレバレッジと言われるもので、手持ち資金の約25倍まで購入できるので、うまくいくと大きなリターンが期待できることになります。円が113円に上がれば10万円の利益を得ますし、2円上がれば20万円、3円で30万円と値上がりして行くので、保証金45万円に対して、10万円値上がりすれば22%、20万円で44%、30万円で67%の利益が得られたことになるのです。
不動産投資もローンを組めばレバレッジを効かすことができます。銀行でローンを組んで不動産を購入する場合、頭金は20%が一般的ですから、5倍の物件を購入することができることになります。例えば1,000万円の資金があれば、1億円の物件の購入が可能となります。この物件がアパートで、賃料10万円で10室あるとすると、毎月100万円の賃料が得られます。借入金1億円を期間35年、利率2%でローンを組むと、月約33万円のローン返済になりますから、それに固定資産税や不動産所得税などの諸経費を差引くと、キャッシュフローとしては月額50万円程度が手元に残ることになります。これを1年で計算すると600万円の収益を得たことになり、年利60%の利益となります。
このように、FXも不動産投資もレバレッジを活用できるので、ハイリターンが見込めることが大きな魅力となります。
ただし税金の計算方法は違っていて、下記の通りFXの収益より不動産投資のほうが有利となります。
FXは収益に対し、所得税15.315%、住民税5%の合計20.315%が分離課税としてかかります。
一方、不動産所得は、ローン金利、前年の固定資産税、減価償却費などの諸経費が差し引かれた金額が収益となり、税金の対象となりますが、サラリーマンであれば給与と合算して計算されますので、さらにかなり有利となります。
FXのハイリターンはレバレッジによる運用が可能なことだと説明しましたが、リスクもまたレバレッジが主な要因となります。日本円の保証金約45万円で10万ドルを購入した場合、円が上がると1円につき10万円の利益が出ることがありますが、逆に下がると同額の損失になります。1円、2円で10万円、20万円と損失が出てしまうのです。損失が出ると保証金45万円が不足するので、保証金の補充が必要となります。しかし、FXの値動きは激しく、数時間、ときには数分で大きく変動することがあるので、保証金の補充が間に合わなくなり、最悪の場合はロスカットがかかって、大きな損失を被ってしまいます。このようにFXの為替差額が短時間で変動することが、ハイリスク要因となります。
不動産投資にもリスクはあります。それは、建物が年々劣化して価値が低下していくことです。建物には法定耐用年数というのがあって、住宅用木造だと22年、マンションなどRC造りだと47年と決められています。もちろん法定耐用年数を過ぎると、理論上資産価値はゼロとなりますが、マーケット価格は残存しますから、売買は引き続き可能となります。このように不動産投資は建物の価値が下がり続けますが、FXに比べたら、時間軸がはるかに長く、リスクという点からは比較になりません。さらに、不動産は通常は建物と土地を同時に購入しますが、土地に減価償却はありませんから価格が減少するのは建物だけとなります。そして宅地にできる土地は全国土の約5%程度と非常に少なく、急激に上下することはありませんから、土地の変動は少なく、なおさら安全と言えます。もっともバブル時代に大都市で土地が高騰した後、急激に下落して大損害を受けた人たちがいましたが、バブル時代は特殊な時代で、二度と起こる可能性はほぼないと考えていいでしょう。
FXと不動産投資は、レバレッジを効かせて少額で大きな投資ができる点では同じで、どちらもハイリターンが期待できる投資です。しかしFXは数分、数時間という短時間で価格が大きく変動することがあり、その時に大きな利益をあげることができる反面、損失も大きくなります。長い年月をかけて収益を生んでいく不動産投資に対して、FXは大きなリスクをはらんだ投資と言えるでしょう。
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