節税
不動産投資を始めて家賃収入が入ってくれば、確定申告をしなくてはなりません。これまで税金の処理は会社が全部やってくれましたから、正直面倒くさいと感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、確定申告を青色申告で提出すれば、最大で65万円程度も得をするとしたらどうですか。俄然興味がわいてきたのではないでしょうか?
当記事では、青色申告のメリットを5つご紹介します。知らないで損をすることのないように、これからはじめて確定申告をする方はぜひ参考にしてください。
青色申告で得られる5つのメリットとは
確定申告は大きく「青色申告」と「白色申告」にわけられます。白色申告でもメリットがないわけではありませんが、青色申告なら5つのメリットを最大限受けることが可能です。
青色申告の要件は、下記の3点だけ。
① 複式簿記・損益計算書・貸借対照表の提出
② 事業規模(戸建なら5棟、集合住宅は10室以上)での経営
③ e-Taxでの申告もしくは電子帳簿保存をおこなう
たったそれだけでたくさんのメリットを受けられるのですから、やらない手はありませんよね。
それでは、はじめていきましょう。
青色申告をすると、不動産所得から最大65万円もの控除が受けられます。税金計算の基になる不動産所得からダイレクトに65万円を差し引いてくれるわけですから、これは非常に大きな節税効果です。
もし白色申告で申告をすると、簡単な帳簿の記帳で済む代わりに、この控除がありません。また青色申告でも、白色申告のような簡易簿記を使用すると、控除額は10万円です。これでは正直青色申告をする意味がありません。ぜひ65万円の控除を受けてください。
1点だけ注意しておきたいのですが、前述の①と②だけで③の要件を満たしていない場合、控除額が55万円に下がります。忘れずにe-Tax申告(インターネット申告)をおこないましょう。
事業的規模で青色申告をした場合、さらに「青色事業専従者給与」も経費に計上できます。自分の妻や同居する親などを従業員として申告すれば、その給与を経費として認めてくれるのが、この「青色事業専従者給与」です。
白色申告にも事業専従者控除は認められていますが、控除額に上限があります(配偶者は86万円、そのほかは50万円まで)。
青色申告ならば 「給与全額が控除」 されますので、奥さんや両親がほかに仕事を持っていないならば、ぜひ活用したい制度です。(本業がある人は事業専従者にはなれない)
不動産所得の計算は下記の式で求められます。
不動産所得=総収入額−必要経費
確定申告では、不動産投資に使ったさまざまな費用を「必要経費」として計上できます。必要経費が多ければ、その分課税対象となる金額が減りますから、必要経費は取りこぼしのないように、しっかりと計上したいところです。
経費計上できる項目としては以下のようなものがあります。
〈経費計上できる主な項目〉
・租税公課(固定資産税、不動産取得税など)
・修繕費
・損害保険料
・減価償却費
・広告宣伝費
・通信費 など
投資物件を見に行けば、その交通費や宿泊費なども当然費用にできますし、管理会社や税理士と食事をすれば、それも交際費に計上してなんの問題もありません。とはいえ、もちろんなんでも好きなだけ経費にできるわけではなく、基本的に「不動産投資に関係する費用」だけと考えておけば間違いないでしょう。
不動産投資はほかの事業に比べて、必要な備品類はそれほど多くありません。それでも机やイス、パソコン、電話、FAX、コピー機など、揃えなくてはいけないものが結構あります。
通常はこういった資産を、法定耐用年数に従って毎年少しずつ減価償却処理するのですが、30万円未満の資産であれば、まとめて経費に計上できるのです。(上限は年間300万円まで)
例えば、不動産所得がたくさんある時に、まとめて経費にしてしまえば、税金をより減らすことができます。逆に収入が少ない年には、これ以上収入を減らさないように、通常通り減価償却すればいいでしょう。
このように、収入の状況に応じて、自由に減価償却の方法を選択できるのが、青色申告の特典のひとつです。
会社員の場合、会社からもらう給与所得額に応じて、毎月税金が天引き(源泉徴収)されています。
「損益通算」というのは、給与所得などほかの所得の黒字から、不動産所得の赤字分を差し引いて計算できる制度です。これにより課税対象となる金額が、赤字分だけ減少するわけです。
その結果、源泉徴収で先払いしていた税金から、赤字分が還付(払い戻し)されます。
会社員ではなく、ほかになにか事業をおこなっている場合は、さきほどとは逆に、事業の赤字を不動産所得の黒字から相殺することも可能です。
また、控除しきれない分は、最大3年間繰越しすることもできます。長期間に渡る不動産投資では、修繕費用など予定外の出費が重なることもあるかもしれません。そういう時にこそ、損益通算は役に立ちます。
ここまで、不動産所得を青色申告で申請するメリットを5つご紹介してきました。帳簿や書類を揃えるのは少々面倒かもしれませんが、とにかくメリットが大きいですから、ぜひ青色申告を活用していただければと思います。
ただ税務関係は、できるだけ専門家のサポートを受けた方が、トラブルもなくスムーズです。
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