保険年金
少子高齢化によって年金がもらえなくなるのではないか?将来年金はもらえなくなるから今支払うのがバカバカしい、そんな風に思っている方も多いのではないでしょうか?
安心してください、私たちが生きている間に年金が破綻する事は、ほぼないでしょう。
なぜそんなことが言えるのかというと、年金財政検証によって年金をコントロールしているからです。
しかし、あまり聞きなれない言葉である年金財政検証とはいったい何なのでしょうか?どのように決まって見直しがされているのでしょうか?そういった事について解説していきます。
年金財政検証というのは年金制度が今後、正常に継続する事ができるのか?というチェックを行う為の制度のことです。
少子高齢化が叫ばれて久しいですが、高齢者が増える事の問題点の1つが「年金制度が破綻するのではないか?」という事は、一度くらい聞いたことがあるかと思います。
年金制度が破綻すれば生活できなくなる高齢者が激増するのは目に見えており、社会に混乱をきたすでしょう。
そんな事にならない様に、定期的にチェックする為の制度が年金財政検証なのです。
5年に1回行われ、その時代に合わせた社会事情や政治経済の状況によって見直されます。
具体的にいくらもらえるのかは、所得代替率によって異なります。
働いていた頃の手取り月収に対して、いくらもらえるかという割合の事を、所得代替率と言います。
厚生労働省からモデルとなる年金のケースを定めており、2019年度の場合は手取り35.7万円に対して夫婦2人で22万1,504円となっています。
これは働いていた頃の61.7%に相当しており、年金財政の運営方針として50%以上はキープできるように定めています。
見直しが行われるポイントは様々ですが、2019年に行われた代表的な見直しポイントは以下の通りでした。
具体的に1つずつ解説していきます。
2017年に設定された見直しポイントであり、前提条件ともなる保険料の引き上げの停止。
保険料が引き上げられず高齢者の数は増えるばかりなので、必然的に2019年の改定でも給付水準は引き下げられる事になりました。
本来であれば給付水準を維持したままにしようとしたら保険料率は25.9%にまで引き上げる必要があったのですが、それは無理だという理由で労使ともに引き上げに反対。
18.3%のまま維持されています。
今後の人口や経済状況によって変わるでしょうが、今の所は18.3%のまま推移していくでしょう。
支払う人(現役世代)が減って受け取る人(高齢者)が増えているのに受け取る金額がそのままだったら財政破綻を起こします。
従って2019年の見直しの際も給付水準が下がる事になりました。
どれくらい給付水準が低下したかと言うと53.8~31.1%程に低下しています。
*参考資料:令和元年8月27日 第9回社会保障審議会年金部会
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000540584.pdf
もう少し詳しく言いますと厚生年金よりも基礎年金の方が低下率が多くなっています。
即ち会社員として働いた期間が長い人ほど年金全体の給付水準の低下が少なくなっています。
働き方の多様化に伴い厚生年金の適用についても見直しがされて範囲が拡大されました。
正社員で働く事が正義とされてきた時代は終わり、経済の不安定さからパート、アルバイト、契約社員など様々な就業形態の人が増えています。
今まではそういった方々は対象外だったのですが、それを対象の範囲内にして手厚く保護しようという見直しポイントがこの「厚生年金の適用の拡大」です。
企業の負担が増えたり保険料負担をしていないパート主婦が適用逃れをする為に就業時間を減らそうとする懸念はあるものの、数年に渡って大きな方針の1つとされていたので、今後の基準がどう変わるかは注目ポイントです。
65歳の雇用延長などにより就労体系が変わってきた現代社会。
高齢者の就労状況が変わったために年金の見直しが行われました。
また、働く期間が長いほど厚生年金の加入期間は増えるものの、同時に保険料負担も増えることを意味するので、それを緩和する目的もあります。
年金財政検証についてまとめました。
年金は老後の収入を支えるうえで、大きな柱になるのは今も将来も変わる事はないでしょう。
しかし、いくら年金財政検証を定期的に行って将来しっかりと年金をもらえるようにしているとはいえ、支え手となる若い人が年金を支払わなくなったら危機的な状況になってしまいます。
今のうちから年金でいくらもらえるのかを把握して、生活するうえで不足するならいくら不足するのか、不足する分はどうやって補うのかを把握して準備することが老後を乗り切るカギになります。
定期的に行われる年金財政検証をキチンとチェックするようにしてくださいね。
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