資産運用
「不動産投資はインフレリスク対策になる。」という言葉は皆さん一度は聞いたことある言葉かと思います。
一方で、聞いたことはあるけどしっかり理解できていないという方も、少なくはないのではないでしょうか。
そこで、今回はインフレリスクとはそもそも何なのか?なぜ不動産投資がインフレリスクに有効な手段なのか?という点について話していきたいと思います。
物価が継続して上昇する状態を「インフレーション(インフレ)」と言います。
インフレが発生し、100円の缶ジュースが200円まで値上がりした場合、お金の価値は以前の半分になってしまったと考えられます。
同じ缶ジュースを手に入れるために、2倍のお金が必要になったためです。
このように、インフレリスクとは、モノやサービスの価格(物価)が上昇することによって、貨幣(お金)の実質的な価値が減少するリスクのことをいいます。
インフレ自体は決して悪いものではなく、経済が健全に成長している証でもあり、日本銀行は毎年2%のインフレを目標に掲げて政策を進めています。
インフレが発生する原因としては、①需要が供給を上回る、②お金が供給される、の2つあります。
物の価格は需給のバランスによって決まります。
需要が供給よりも多ければ価格は上がり、供給が需要よりも多ければ価格は下がります。
例えば、有名ブランドの限定品は中古市場で定価の何倍もの価格で取引されていることがありますが、まさに需要(欲しい人)が供給(製品の数)を上回っているからです。
同様の事態が経済全体で起こるとインフレが発生します。
需要が起点で発生するこのようなインフレを「ディマンド・プル・インフレ」と呼び、緩やかなディマンド・プル・インフレが発生するのは健全な経済成長のため望ましいとされています。
お金が大量に市場に供給されると、人々の手元に多くのお金が行き渡るようになり、相対的にお金の価値が下がります。
お金は中央銀行が発行することが通常ですが、中央銀行は「金利の上下」と「国債の発行・買い入れ」により、市場のお金の量を調整します。
金利に関しては、金利が上がると市場のお金の量が減り、金利が下がるとお金の量が増えます。
これは、金利が上がれば金利負担が増え、お金を借りる人が少なくなることで市場のお金の量も減り、逆に下がればお金を借りる人が増えて市場のお金の量も増える仕組みです。
日本では、日本銀行がインフレ成長率2%を目指し低金利政策を継続しており、現在はマイナス金利に突入するまで金利は下がっています。
また、2020年にはアメリカでも新型コロナウイルスによる景気対策のため、政策金利を1%引き下げて事実上のゼロ金利政策をとりました。
国債に関しては、国債の発行が行われると市場のお金が減り、国債の買い入れが行われると市場のお金が増えます。
国債が発行されるということは、日銀が市場からお金を吸い上げて、その分の債券を発行するため市場からお金が減ります。
逆に、国が国債を買い入れるということは、市場にある債券を買い取ってお金を渡すことになりますので、市場のお金が増えるという仕組みです。
国債の発行により市場のお金を減らすことを「売りオペ」、買い入れにより市場のお金を増やすことを「買いオペ」といいます。
日本では、新型コロナウイルスによる景気対策のため国債の買い入れ上限の撤廃を行い、同じくアメリカでも米国債・米社債の買い入れを積極的に行っています。
2020年は各国ともに市場のお金を増やす政策(金融緩和政策)を行っており、今後インフレが加速する可能性は十分に考えておく必要があります。
インフレリスクに弱い資産は、主に原資産の価値が貨幣ベースで固定されている資産です。
例えば、現金・預金・債券などが該当します。
これらは、元本が保証されている強みがある一方、値上がり益(キャピタルゲイン)を享受できないという弱みがあります。
インフレ下では、価値が上昇しない=価値が目減りしていることになりますので、インフレリスク対策としてはあまり機能しない資産であるといえます。
インフレリスクに強い資産は、先ほどの逆で原資産の価値が貨幣ベースで固定されていない資産です。
つまり、マーケットの時価によって取引価格が決定される資産であり、具体的には、コモディティ(金などの商品)・株式・不動産などが該当します。
このような資産に投資することを「現物投資」と呼びます。
現物投資は元本が一定でないため、リスクが高い投資と思われる面もありますが、物価の上昇に応じて資産価値も上昇するため、インフレリスク対策として有効に機能する投資手法であるといえます。
不動産投資はインフレリスク対策として有効です。
不動産投資による収入はインカムゲイン(賃料収入)とキャピタルゲイン(値上がり益)です。
仮にインフレが起きて物価が上がった場合、インカムゲインについては賃貸借契約の更新時や、新たなテナントのリーシング時に物価水準に見合った賃料設定をすればよいのです。
キャピタルゲインについては、売却する時点の物価水準にて売却をすればよく、預金などと違ってインフレによる資産価値の目減りは大きく影響を受けません。
また、インフレ時はマーケットの動きが激しくなる傾向がありますが、不動産は株式やコモディティのようにマーケットの影響を直接受けないため安定した資産運用が可能です。
インフレリスクとは物価の上昇により、相対的に自分の資産価値が下がってしまうことです。
インフレ対策には現物投資が有効な手法となりますが、その中でも特に安定したインカムゲインを収受できる不動産投資は、有効な資産運用となります。
コロナ禍で各国の金融緩和が進む中、インフレ対策の1つとして改めて不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。
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