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アフターコロナに不動産価格は、本当に下落するのか?

アフターコロナに不動産価格は、本当に下落するのか?

アフターコロナに不動産価格は、本当に下落するのか?

新型コロナウイルスは人々の生活だけでなく、経済にも大きな影響を与えました。

現時点では徐々に落ち着きを取り戻しはじめ、経済活動も回復傾向にあるものの、まだ予断を許さない状況が続いています。

このような環境下で、「今後不動産価格が下落する」という憶測もよく耳にしますが、本当にこの憶測は正しいのでしょうか?

当記事では、現状の住宅市場を分析しつつ、今後の価格動向について言及をしていきます。

 

1.分譲マンションの市場動向

① 取引価格

東京23区、首都圏における分譲マンション価格は、2020年に入ってからも高水準が継続しています。

建築コストや地価が高止まりする中で開発コストは高く、デベロッパーは採算面から価格を下げづらい状況に置かれています。

1部屋あたりの面積を縮小し、マンション価格の上昇幅を抑えていることもあって、坪単価は平均価格以上のペースで上昇しているのが現状です。

都内においては、開発コストが高く、利益採算性の合う供給適地は少なくなってきており、発売戸数は低下傾向にあります。

買い手側としても分譲マンションが買いづらい状況に変化はなく、賃貸マンション需要に追い風が吹いている状況です。

新築分譲マンションの発売戸数が低迷する一方、中古マンションの成約件数は増加基調にありましたが、2020年4月は以降はコロナの影響で販売活動が鈍り、成約件数は減少しています。

また、新築分譲マンション価格の上昇は継続している一方、中古マンション価格は概ね横ばいで推移しています。コロナの影響で販売は鈍っているものの、中古マンションの方が売れやすい状況が続いています。

 

② 初月契約率の推移

初月契約率とは、新規に販売開始した月の発売戸数に対する契約戸数の割合を表した指標で、売れ行きのバロメーターとして活用されています。

70%が好不調の目安として見られるのが一般的です。

2020年8月新築マンションの初月契約率は首都圏全体で68.5%、東京都23区では63.8%となりました。

いずれも70%を下回っていますが、最も落ち込みが見られた2020年2月(首都圏全体:59.3%、東京23区:53.8%)から約10%程度回復してきています(不動産経済研究所「不動産経済調査月報」参照)。

これらの数値を見ると、東京23区よりも、郊外部の方が比較的売れ行きが良いことが分かります。

 

2.賃貸マンションの市場動向

① 稼働率

2020年6月のAJPI(※)住宅平均稼働率は全国平均が96.6%、東京23区が99.3%と高い水準を維持しています。

都心3区(港区・中央区・千代田区)は賃料上昇が勢いづいていたこともあり、2018年4-6月で低下する局面もみられたものの、それ以降は持ち直し、99%を上回る水準で推移しています。

新型コロナウイルス対策のための移動制限のため、人口流入による増勢は弱まるものの、賃貸住宅の需要は底堅く推移し、高水準の稼働が維持されています。
(※)AJPI(ARES Japan Property Index)は、国内不動産ファンドが保有する投資用不動産を母集団とした不動産投資インデックスで、国内の投資用不動産のパフォーマンスがどのように推移しているかを確認するのに有用なデータです。

② 賃料水準

東京23区の賃料は、2020年も上昇基調が続いています。

東京23区では職住近接を志向する単身・共働き世帯や、渋谷区や港区を中心とした高所得層からの需要が堅調に推移しています。

新型コロナウイルスの影響で居住志向の多様化が進むことも予想されますが、若干の鈍化はあれど都心化の流れは大きく変わらないでしょう。

今後の動向については、新型コロナウイルスの影響で居住者の賃料負担力が低下する可能性があるため、一定の調整はあるかもしれませんが、需給バランスを大きく崩す要素は見当たらないため、概ね横ばいで推移するのではないかと考えます。

 

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3.新型コロナウイルスが住宅市場へ与える影響

新型コロナウイルスが住宅市場に与える影響は主に(1)賃料負担力の低下、(2)都心居住志向の低下、の2点があります。

 

①    雇用環境の悪化や所得減少による賃料負担力の低下

給与の減額や解雇などの雇用調整の影響を受け、借り手の賃料負担力の低下が懸念されます。

特に、飲食・宿泊・小売りなどサービス業でかつ非正規の雇用者が雇用調整の影響を受けやすく、居住者の属性には留意する必要があります。

このような雇用・所得環境への影響は今後1年程度かけて徐々に出てくると見込まれる一方、その後は経済活動が正常化していく中で、影響は次第に緩和されていくと考えます。

 

②    テレワークの普及による都心居住志向の低下

テレワークが今後も普及していくことに伴い、消費者の居住志向が変化することも考えられます。

主に首都圏で新たに住居を構えようとしているファミリー世帯は、業務に集中できる空間を備えた住居を好むようになるでしょう。

このため、通勤には便利だが賃料が高く狭い都心部の住宅ではなく、賃料単価が低く、快適な在宅勤務環境や共有ワークスペースが付帯した、郊外の賃貸マンションの人気が高くなることが予想されます。

この結果、都心部への人口流入は続くものの、勢いはやや鈍化し、都心部の賃貸マンション需要の増加ペースも一服すると考えます。

こうした影響は1年程度の短期間で出るものではなく、消費者が感染症リスク対策を考慮した新たな生活様式に対応していく過程で徐々に現れてくるでしょう。

 

4.まとめ

不動産市場は、売買マーケット・賃貸マーケットともに、新型コロナウイルスの影響で若干の鈍化はしたものの、好況な状態を維持しています。

特に賃貸マーケットでは稼働率・賃料水準の両面で高い水準が維持されており、不動産価格の高騰も相まって、引き続き強い需要が見込まれる状態が続くでしょう。

このような不動産市場の状況を勘案すると、現状、不動産価格は大きく崩れる可能性は低いと考えます。

但し、新型コロナウイルスの感染拡大が再燃し、実体経済への悪影響が長期化してしまった場合には、やはり不動産価格への悪影響は避けられないと思います。

また、新型コロナウイルスの感染拡大により、今後都心集中の傾向が鈍化する可能性が高いと思われます。

そのため、不動産投資の物件選定にあたって、今後人々の生活様式がどのように変化していくのか、という目線を持つことも大切な要素となるでしょう。
 

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