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賃貸併用住宅のメリット・デメリット!失敗や後悔しないために知っておくべきこと

賃貸併用住宅のメリット・デメリット!失敗や後悔しないために知っておくべきこと

自宅の一部に賃貸住宅をプラスした賃貸併用住宅は、生活しながら家賃収入が得られるため、興味を持っている人も多いのではないでしょうか。

本格的なアパートやマンション経営と比べると、税制優遇や低金利の住宅ローンが組めることから、始めるハードルが低いのがメリットです。

とはいえメリットがあれば当然デメリットも存在します。

そこで今回は、賃貸併用住宅のメリットとデメリットを踏まえて失敗しないコツについてまとめてみました。

 

■賃貸併用住宅の3つのメリットとは

賃貸併用住宅のメリットデメリット

賃貸併用住宅のメリットとして、主に次の3つが挙げられます。

 

▼家賃収入で返済負担を軽減できる

賃貸併用住宅で得た家賃収入を住宅ローンにあてられるため、ローン返済の負担を軽減できることが大きな利点です。うまくいけば家賃収入のみで住宅ローンを返済できるケースや、場合によってはプラスになる可能性もあります。

ローンの完済後は自宅に住みながらも家賃収入が入ってくるため、老後の資金としても大きく役立つことが期待されるでしょう。

賃貸併用住宅は一般的に賃貸戸数が多くないため、大きな利益は生まれません。そのため、収益目的というよりかは、余った部屋を貸すことでローン返済の負担を減らすのが主な目的となるでしょう。

 

▼低金利である住宅ローンを利用できる

賃貸併用住宅は、自己居住用部分が50%以上あるなどの一定の条件を満たすことで、金利の高いアパートローンではなく、金利の低い住宅ローンの利用ができます。

一般的に不動産投資の場合に組むアパートローンの金利は2~5%であるのに対して、住宅ローンの金利は1%程度かつ借入期間も長いため、月々のローン返済額を減らせるのが魅力です。

さらに居住床面積の割合に応じて住宅ローン控除が受けられます。例えば住宅ローンの年末残高が3,500万円の際は、その1%である35万円分が所得税と住民税から還付されます。

 

例)4,000万円借りた場合に、以下のような返済額のシミュレーションになります。

  金利 借入期間 毎月の返済額 返済総額
アパートローン 3% 25年 19万円 5691万円
住宅ローン 1% 35年 11,3万円 4743万円

このように毎月の返済額および返済総額において大きな差が生じます。住宅ローン控除が適用されることもあるので、例えば月に10万円の家賃収入に対して月に3万の税金が還付されるため、住宅ローンの負担額がプラスになることも考えられるでしょう。

 

▼固定資産税や相続税の節税対策が期待できる

賃貸併用住宅は自宅としてみなされるため、さまざまな税制優遇を受けられます。ここでは主に固定資産税と相続税についてまとめてみました。

 

|固定資産税

不動産を保有している場合、必ずかかる税金として「固定資産税」があります。また、住宅や土地が都市計画法で定める市街化区域内にある場合には「都市計画税」の課税対象となるでしょう。

とはいえ、自宅や賃貸住宅は固定資産税の課税標準を減額する特例の適用対象となります。

賃貸併用住宅も住宅用地とみなされることから、軽減措置の対象です。

具体的には、住宅用地に関しては、1戸あたり200㎡まで6分の1、200㎡を超える部分に対しては3分の1が軽減されます。なお、賃貸併用住宅では賃貸部分の戸数に応じて6分の1に減額される面積が広くなることも覚えておきましょう。たとえば、自宅を含めて6戸ある賃貸併用住宅であれば、以下の敷地に係る固定資産税が減額対象となります。

 

【自宅を含めて6戸ある賃貸併用住宅の場合】

6戸×200㎡=1200㎡

 

また、建物においても120㎡までの部分に対して軽減措置が設けられています。新築後3年間は固定資産税が半分になるほか、3階建てや耐火構造であれば軽減される期間が5年間に延長されます。

 

|相続税

不動産は相続時に時価ではなく、「相続税評価額」で計算されます。一般的に不動産の評価額は時価の8割程度であることから、現金で相続する場合と比較して20%ほど相続税が安くなるでしょう。

また、賃貸併用住宅では一定の条件を満たすことで「小規模宅地等の特例」の適用対象となります。この特例では相続税評価額が最大で80%減額されるため、条件を満たしているのであれば積極的に活用しましょう。また、この特例を受けるための条件は以下の通りです。

 

  • ・相続前から被相続人と生活を共にしていた居住用宅地であること

  • ・相続前から被相続人と共に事業用として利用していた事業用地であること

  • ・相続開始から相続税の申告期間までに相続した宅地を継続して利用していること

 

これらの条件を満たすことで、最大330㎡までの土地に対する評価額を80%軽減できます。

なお、賃貸併用住宅は相続後も賃貸経営を続けられます。よって、残された家族が継続して家賃収入を得られるといったメリットも期待できるでしょう。なお、賃貸物件から得られた家賃収入(=キャッシュ)に対する相続税は非課税となることから、通常の家を相続する場合と比べて収益性を得られるともいえます。

とはいえ、家賃収入には所得税が課税されます。もし仮に相続後も賃貸経営を続けようと考えているのであれば、被相続人の意思能力があるうちに話し合いをきちんと済ませておくほか、所得税や住民税を継続して支払えるだけの収益性を維持しなければなりません。

 

■賃貸併用住宅3つのデメリットとは

賃貸併用住宅には家賃収入でローン返済ができるだけでなく節税対策といったメリットがある一方で、デメリットも存在します。デメリットは主に次の3つです。

 

▼入居者との関係が面倒な場合も

同じ建物で生活をするため、入居者との距離が近すぎてお互いに気を使ってしまうなど住み心地に不満を感じるケースも少なくありません。

プライバシーを確保しにくいのがデメリットで、場合によってはトラブルになることもあるかもしれません。よく問題として挙げられるのが、騒音や家賃滞納などです。一度トラブルになってしまうと、顔を合わせるのが気まずくなり一緒に住みにくくなることが懸念されるでしょう。

 

▼大きな家賃収入は見込めない

賃貸併用住宅は階数や戸数にもよりますが、大きな家賃収入はあまり期待できません。そのため、住宅ローン返済の軽減を目的にする人がほとんどです。

もし本格的に不動産収入を検討しているのであれば、賃貸併用住宅ではなくアパートやマンションを一棟購入する本格的な不動産投資を行う必要があるでしょう。

また、空室が続いてしまえば家賃収入が得られないため、需要がある土地を選ばなくてはなりません。土地を探す際には、駅や商業施設からの近さだけでなく、周辺賃貸物件の入居状況をしっかりとリサーチしておくことをおすすめします。

 

▼売却が困難

あまり日本ではメジャーではない賃貸併用住宅は、売却しにくいというデメリットがあります。というのも、アパートやマンションと比べて自宅が半分も占めてしまう賃貸併用住宅は十分な家賃収入が見込めません。

そのうえ自宅が欲しい人に限定されるため、なかなか買い手が見つからないケースも多く見受けられます。収益物件としても自宅用としても中途半端であり、いざというときに処分しづらいことをデメリットとして理解しておきましょう。

 

■賃貸併用住宅でよくある失敗例とその対策

賃貸併用住宅

ここでは賃貸併用住宅によくある失敗例とその対策について、解説します。

 

▼経営に関しての知識が不十分だった

賃貸経営住宅はアパートやマンションを経営する場合と比較して、資金をそれほど心配せずに済むでしょう。一方で、資金計画をきちんとたてないまま安易に経営を始める人も多く見受けられます。

また、賃貸経営住宅の経営においてはそれ相応の専門知識が求められる場面も少なくありません。アパートやマンション経営と異なる点も多いことから、賃貸経営の知識だけでなく賃貸併用住宅に関してのノウハウも身につけておきましょう。不十分な知識のまま経営をしてしまうと、空室が長期にわたって続いてしまった、ローンが返済できなくなってしまったといった事態となりかねません。

空室リスクに関して言えば、間取りや設備などについての情報も自身で集めることが大切です。なお、自分で賃貸併用住宅を管理するのではなく、管理会社に委託しようと考えている方もいるかも知れません。その際は、信頼できる会社選びを心がけましょう。判断基準として、ある程度の実績があり、ネット上での口コミや評判がよい管理会社を何社か比較検討することをおすすめします。

管理会社選びにおいては、つい費用にばかり目がいきがちかもしれません。しかし、どんなに料金が安くても管理がずさんでは意味がないでしょう。そのため、サービス内容や問い合わせの対応、アフターフォローなど真摯で丁寧な対応をしているかどうか、総合的な判断を下すことが大切です。

 

▼入居者とのトラブル

デメリットでも少し触れましたが、賃貸併用住宅ではオーナーと入居者が同じ建物内で生活することから、些細なことをきっかけにトラブルが生じてしまうケースも多く見受けられます。またオーナーと入居者といった関係性だけでなく、入居者同士のトラブルが起こる可能性も十分に考えられるでしょう。

その際、たとえ建物の管理を管理会社に委託していたとしても、同じ建物内にオーナーが住んでいるという理由でオーナーにクレームが直接入ることも少なくありません。クレーム対応を間違えるとトラブルの悪化原因ともなりかねないため、誠実な対応が求められます。

このように、賃貸併用住宅は入居者とオーナーの距離感が近く、何かあったときに支え合える一方でさまざまなトラブルが起こりやすいのも事実です。あらかじめどういったトラブルが起こりやすいのか把握し、事前に対策を講じておくとよいでしょう。

賃貸併用住宅を希望する方の中には、プライバシー等の観点からできればオーナーと同じ建物に住みたくないと考えている方もいるかもしれません。そのため、入居希望者がオーナーと一緒に住むことをあまり望んでいない場合、管理会社に「オーナーが同じ建物に住んでいることを伏せて欲しい」と伝えるのも一つの手です。また、建築時にそれぞれの玄関をなるべく離すことで顔を合わせる機会を減らせます。

またファミリー向けに賃貸併用住宅を建てる場合、横割り住宅だと小さな子どもによる騒音問題が生じかねないため、縦割り住宅にするといった工夫も有効でしょう。

 

▼空室が出てしまった

入居者が来ずに空室が出た場合、当然家賃収入は得られません。しかし、その間もローンの返済や物件の維持費は請求され続けるため、場合によってはローンの返済が滞ってしまうでしょう。

アパートやマンションであれば、ローン返済ができなくなった時点で物件を売却すれば大きな損失を免れることができるかもしれません。一方で、賃貸併用住宅においては賃貸用物件と同時に自宅を売却することになるため、自分が住むところを失ってしまいます。

このような事態にならないためにも、賃貸併用住宅は空室リスクに対して常に注意を払う必要があるでしょう。

空室リスク対策の基本として、賃貸併用住宅においては需要のある立地を見極め、家を建てることが大切です。理由として、ターゲット層によって求める設備や間取りが異なることが挙げられます。たとえば子育て世帯であれば、子どもが大きくなったことを想定し子ども部屋が作りやすい間取りや、汚れが目立たない内装を希望するでしょう。また、周りが閑静な住宅街で近くに公園やスーパー、病院などの生活施設があるとなお良いかも知れません。

それに対し、子育てが一段落した夫婦を想定するのであれば、部屋の広さはコンパクトで良く、老後のことを意識してなるべく段差がないバリアフリーに適した間取りを希望するでしょう。

このように、ターゲット層ごとに希望する住宅条件は異なります。よって、事前にターゲット層のニーズを見極めた上で、適切な間取りを導入することが大切です。

 

■賃貸併用住宅のメリット・デメリットを確認

今回の記事では賃貸併用住宅のメリットとデメリットをふまえて失敗しないために知っておきたいポイントについてまとめてみました。

家賃収入によってローン返済の負担が減らせるほか、ローンの返済後は自宅に住み続けながら家賃収入を得られるのは大きなメリットといえるでしょう。

とはいえ、賃貸併用住宅の実例が少ないのも事実です。アパートやマンションと異なる点があるため、業者によっては詳しくないこともデメリットとしてあります。知識が豊富な業者を探して適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

 

また、自身で知識を身に着けることも大切です。その方法として、セミナーに参加するのも一つの手でしょう。数多くあるセミナーの中でも「Real Media」では、不動産投資専門の税理士が不動産投資を行う上で重要なポイントについて詳しく説明します。

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