節税
前回は、現在の税金問題に関して詳しくお伝えしてきました。
私たち現役世代は、納めた年金を受け取ることができるのだろうかと不安に思う人が多くなっています。
20年先、今の年金制度はどうなるのでしょうか。現状と20年先の年金制度の未来について解説します。
総務省の人口推計2019年によりますと、日本の総人口は9年連続で減少し続けています。
生産労働人口である15歳~64歳の人口の割合は、比較可能な1950年以降の統計では過去最低。
15歳~64歳の人がほぼ二人で一人の高齢者を支える実態が浮き彫りとなっています。
2019年10月の人口推計の人口ピラミッドでは、団塊の世代を呼ばれる昭和22年~24年生まれ、団塊ジュニア世代と呼ばれる昭和46年~49年生まれの人口が多いことがわかります。
世界の年齢構造と比べると、日本は15歳未満の人口が最も低く65歳以上の割合が最も高い、超高齢化社会に突入しているといえるでしょう。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/senryaku2nd_sakutei/h31-03-11-shiryou6.pdf
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2017np/pdf/gaiyou2.pdf
団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年は、65歳以上が4千万人に達すると推計されています。
団塊ジュニア世代は、バブル景気崩壊後の就職氷河期に直面し、非正規雇用も多く年金額も貯蓄額も低い人が多い世代です。
団塊の世代は、高度経済成長期を過ごし、賃金が上昇しつづけて年金額も貯蓄額も多い世代。
団塊の世代は年金受給を続け、人生100年時代を迎えようとしています。
2040年になると団塊ジュニア世代の年金受給が始まります。
20年先の未来でも現役世代の私たちは、少ない人数で大勢のお年寄りを支えることができるのでしょうか。
このままでは現在と同じ年金制度を維持することは大変困難になるでしょう。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/senryaku2nd_sakutei/h31-03-11-shiryou6.pdf
将来の年金制度を維持するために、日本は平成16年の制度改正で、マクロ経済スライドという仕組みを導入しました。
マクロ経済スライドとは、将来の現役世代の負担が大きくなり過ぎないように、保険料の範囲内で年金給付を行う仕組みです。
「社会全体で公的年金を支える(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付額の増加」という、マクロで見た給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整します。
物価と賃金の上昇とともに年金の給付が増えるのが普通でしたが、マクロ経済スライドの発動によって、物価と賃金の上昇とともに給付を増やさないということになります。
マクロ経済スライドの導入で、もしかしたら年金制度は破綻しないかもしれません。
しかし、現役世代が納める年金が減るということは、将来受け取る年金も、現在年金を受給している高齢者の年金も減ることになります。
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/finance/popup1.html
[PR]年金崩壊は免れそうですが、最終的に自分を守れるのは自分のみ。今からでもお金の勉強を始めましょう!⇒
年金だけでは生活できそうにない未来が見えてきましたが、現役世代の私たちはどうしたらいいのでしょうか。
定年退職後も仕事したり、今から老後に備えて貯金や資産運用をと考える人もいるでしょう。
ベーシックインカムという制度をご存じでしょうか。
ベーシックインカムとは最低限所得補償の一種で、政府がすべての国民に対し一定の現金を定期的に支給する政策です。
ベーシックインカムの導入は、社会に与える影響が大きいので賛否両論があります。
最低限の生活費が保障されることで、労働意欲がなくなるのではないかと考える人もいます。
一方で、ビジネスに失敗しても生活が安定していれば、起業や転職に前向きに取り組むことができて新しい産業が生まれやすいと考える人もいます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本政府は全国民に10万円給付をしました。
社会保障や経済の専門家の間で、日本でもベーシックンカムの導入か可能なのではないかと、活発な議論が行われています。
世界では、区域と期間を限定して実施実験が行われています。フィンランドでは2019年に行った実験結果が2020年内に発表される予定です。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64706
日本では、月に一人7万円で議論されていますが、仮に7万円だとすると、年間100兆円がかかる計算になります。
3人家族で月に21万円、年に147万円が給付されることになり、年収380万円の人が年収527万円になる計算です。
しかし、年金はゼロ、医療費負担は全額、失業しても給付はゼロ。
ベーシックインカム税として、赤ちゃんから高齢者まで、日本国民全員で年間100兆円を支えることになります。
年金制度や失業保険、国民健康保険、生活保護も廃止になり、全国にある各保険事務所の統廃合で公務員の多くが失業します。
浮いた人件費や各事務所の維持費などが財源となり、私たちの税金もベーシックインカムの財源に使われることになるでしょう。
貧富の格差是正にもつながり、みんなでみんなを支える社会の実現が可能になるかもしれません。
日本の人口の推移と年金制度の今後、新しい社会保障制度の考え方について解説してきました。
これからの時代、IT化やAIの台頭によって職業は人から機械に代わり、人が働ける職業が減ると言われています。
職業が少なくなれば、現役世代の減少は好都合と考える専門家もいます。
年金制度は形を変えて、時代に合った制度に移り変わるのかもしれません。
20年先のことは誰にもわかりません。
私たちにできることは、今の年金制度を維持しつつ、新しい考え方や大きな変革の時代がやってくる可能性を視野に入れ、どんな未来が来ても柔軟に対応できるような心構えと、できる限りの資産形成ではないかと思います。
次回は「医療費について」解説していきます。
Real Media メールマガジン登録完了
不定期(月1回程度)にてお役立ち情報のお知らせを
メルマガにてお送りさせていただきます
未来に向けての資産運用にご活用くださいませ。