ライフ
20年後の税金の未来に関しての連載ですが、前回は消費税について取り上げました。
第5回目の今回は、20年後の日本の経済予測や、私たちの身近な税金である社会保障がどうなっていくかを紹介します。
また、現在政府がどのような見解を示しているかも紹介していきます。
なぜ今、2040年が問題になっているのでしょう。
それは団塊ジュニア世代が65歳から70歳になり、85歳以上の高齢者が人口の30%近くになると予測されているからです。
では、2040年も現役として働いている私たちにはどんな影響があるのでしょうか。
団塊ジュニア世代が65歳以上を迎える2040年。
高齢者人口は4,000万人に達し、85歳以上の人口は1,000万人と予測されます。
85歳以上の半数あるいは60%以上の人に介護が必要である、というデータがあります。
単純に仮定すると、20年後の要介護の人口は約500万人~約600万人になります。
つまり日本の人口の5%~6%が要介護になる可能性がある、ということです。
それに対し、64歳以下の人口はおよそ6,000万人。
働き盛りの30代から40代はおよそ2,400万人。
もちろん、85歳以上すべての人に介護が必要なわけではありません。
しかし、この数字から老老介護問題や社会保障といった税金問題が見えてきます。
アメリカの投資家、ジム・ロジャースは2020年5月に出版された「ジム・ロジャース 大予測 激変する世界の見方」の中で20年後の日本の将来を予測しています。
氏によると、まず日本人は危機意識が低く、政府の緊急経済対策も遅いことを指摘。
そして、すでに抱えている巨大な債務が今後も増加していくと、日本国債の格付けにも影響が出てくること。
さらに、倒産する企業が増えれば、金融危機のリスクが益々上昇することを述べています。
日本の将来の問題回避の案として氏は、「ものすごい勢いで子どもを増やす」「移民を受け入れる」「とんでもないスピードで借金を減らす」ことを挙げました。
そして、社会保障のベースが変わらないのであれば、労働者世代に重税を課すより他に日本の債務は増え続けると述べています。
氏は日本の将来について、日本が現在の状況を変えなければ「外資に買われまくるといったかたちで、実質的に国家が維持できなくなる可能性もゼロとは言えないだろう」と危惧しています。
参考URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/yokohanawa/20200601-00179467/
[PR]日本の物件も海外投資家から注目エリア。もし、1年後に不動産購入を検討されている人は・・・遅すぎです!!始めるなら今!
2040年問題、話題にされるのはやはり人口の多い団塊ジュニア世代や、年金を受け取る世代がどう暮らしていくかに焦点が絞られているように感じます。
2040年に現役労働者である世代については、社会保障など税金負担はどうなっているのでしょうか。
2017年、ある週刊誌では所得税についてこんな予測を立てていました。
現在、所得税は年収330万円から1,800万円で20%から33%、徴収の最高税率は45%となっています。
しかし、2050年まで現在と同じ水準の年金や手厚い医療保険、介護保険を維持しようとすると、現役世代は所得税を90%に課せなければならないと試算。
当時の政府内では、2030年をめどに年金を受給開始する年齢を68歳から70歳に引き上げるプランが検討されていたともいわれています。
将来的には年金支給は78歳から、などという可能性も捨てきれず年金制度は崩壊するのではないかと危惧されています。
参考URL:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51836?page=3
2018年、公益社団法人日本経済研究センターからは、東京圏と地方の人口不均衡化が限界に達するという展望が発表されていました。
現役世代が東京圏に集中し、地方の過疎化がさらに進むというものです。
これは、2014年に民間組織である日本創成会議が発表したものを示していました。
このまま人口の減少が続くと、全国にある1,800市区町村のうち半分の存続が難しくなるという予測です。
国土交通省も全国60%の地域で2050年には人口が半分以下になると予測しており、国土政策の見直しの必要を言及しています。
参考URL:https://www.jcer.or.jp/blog/miyamototaro20181017.html
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0802O_Y4A500C1EE8000/
2019年には、医療・福祉分野の労働力確保のため、2040年には全労働者の18%が医療・福祉分野で働く必要があることを予測しています。
それに伴い、賃金の引き上げが必要となることから社会保障費はさらに増えるのではないか、ともいわれていました。
年金については、
・国民年金の加入期間を40年から45年に延長
・年金支給開始年齢を67歳または69歳まで繰り下げるなど、独自に試算。
その結果、この対策では年金財政が安定する一方、生活保護の財政を悪化させるという結論を出しています。
参考URL:https://www.jcer.or.jp/blog/komamurakohei20190130.html
政府も2040年問題について税金に関る課題を提示しています。
まず総務省は、各自治体の行政運営について課題に挙げていました。
人口減少により少ない職員数で運営していくことや、税収の減少と老朽化した公共施設・インフラの整備費用の増大の可能性を挙げています。
厚生労働省は2020年10月、「令和2年版厚生労働白書」を公表しました。
その中で、2つの政策課題を挙げています。
まず、2040年までに健康寿命を3年以上延ばすこと。
そして2040年時点において必要とされる水準の医療・介護サービスが、適切に確保されることを目指すことです。
マンパワーの投入と謳っているので、医療・介護従事者を増やす対策を取っていくことが予想されます。
健康寿命を延ばすことで、平均寿命との差を縮め、医療費・介護費用の負担を減らすことを目的にしているのです。
また、年金については5年ごとに財政検証を行い、持続的に年金が給付されるように見通しを立てています。
菅総理は2020年9月11日の記者会見で、今後10年ぐらいは消費税を上げる必要はないという考えを示しました。
しかしその10年以降について、「将来的なことを考えたら行政改革を徹底した上で、引き上げざるを得ない」とも発言しています。
2040年には消費税が上がっている可能性があります。
2020年、東京オリンピックが延期になること、新型コロナウィルスの世界的感染も過去の経済予測には入っていませんでした。
20年後の未来について、東京と地方の格差も叫ばれていましたが、テレワークの普及が進められ、どこにいても働くことのできるインフラが整えられつつあるでしょう。
企業の拠点を地方に移転することで、法人税が減税されるなどのメリットもあります。
ある企業が、淡路島に本社機能を移したことも記憶に新しいかと思います。
地方と東京圏の格差は、現在の予測とは変わっていくかもしれません。
あくまで「なにも起こらず、何も対策を打たなかったらこうなる」という未来予測です。
今後、人口減少に伴う社会保障制度、税金がどうなっていくのか、他人事ではなく当事者事として、私たちが注視していく必要があります。
20年先の税金の未来に関して、次回は「若者とお年寄りで起こる『世代間格差』」について取り上げます。
Real Media メールマガジン登録完了
不定期(月1回程度)にてお役立ち情報のお知らせを
メルマガにてお送りさせていただきます
未来に向けての資産運用にご活用くださいませ。