資産運用
皆さん「生命保険」と聞くと何を思い浮かべますか?
ケガや病気への備え、亡くなった時の保障、働けなくなったときなど困ったときに支えてくれる、など色々と思いつくかもしれません。
確かに生命保険は目的に合わせて、さまざまなリスクに対応してくれる商品です。
他にも、リスクへの備えだけでなく資産を継承する際にも生命保険は役立ちます。
今回は保険で資産を遺す方法をお伝えしていきます。
【INDEX】 ■生命保険とは ■相続対策への活用法 ■生前贈与で資産継承も ■最後に |
生命保険とは、人の死亡または一定の年齢までの生存を条件として、一定の金額を支払うことを約束する保険です。
死亡保険、生存保険、混合保険に分けられます。
ケガや病気の備えは「医療保険」、がんの備えは「がん保険」、学費を準備する「学資保険」などその目的によって保険の種類や名称は異なります。
今回お伝えする資産を遺す保険には生命保険の「死亡保険」(終身保険)が主に使われます。
保険に加入される被保険者の方がなくなった際、受取人が保険金を受取るものです。
遺されたご家族は他の資産と生命保険などでその後の生活をしていきますので、とても重要な備えの1つとなります。
税制改正により、以前よりも相続税の基礎控除額が減ってしまいました。
<相続税の基礎控除額>
改正前:5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
改正後:3,000万円+600万円×法定相続人の数
控除額が減ったということは、それ以上の資産をお持ちの場合、これまでよりも相続税を支払う可能性が増えたということになります。
生命保険には、この相続税の基礎控除とは別に「生命保険の非課税枠」があります。
<非課税限度額の計算>
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
例えば、1,500万円の保険金が支払われる場合、法定相続人が4人いたとします。
500万円×4人なので生命保険の非課税限度額は2,000万円となります。
その場合、範囲内である1,500万円の保険金は相続税の課税対象には含まれません。
1,500万円を現金で遺していたらどうでしょうか?
生命保険の非課税枠は使えませんので、その他の資産と合わせて相続税の課税対象に含まれます。
少しでも多くの資産をご家族に遺したいという場合、生命保険として資産を遺すことで非課税枠を活用することができます。
生命保険で相続対策をしているかたも増えてきましたが、他にも生前贈与を活用して資産を継承することもできます。
贈与の中でも暦年贈与と言って毎年贈与をするものがあります。
暦年課税は、暦年(1月~12月までの1年間)に取得した贈与財産に対して課税されます。
この暦年課税には年間110万円の基礎控除があります。
つまり、年間110万円までは贈与を受けても贈与税が課されません。(110万円を超えた場合は、その超えた分に対しての贈与税が課されます)
例えば、祖父が孫の将来のために資産を継承していきたいと暦年贈与での資産継承を計画したとします。
現金で毎年、孫へ贈与していたらどうでしょうか?年間110万円までは非課税ですので、長く暦年贈与をすることで資産を非課税で継承できますよね。
しかし、現金や預貯金では、すぐに使ってしまうという懸念点が残ります。
孫の将来の為の資金として資産を遺したいのにすぐに使ってしまい、祖父が亡くなった後は何もお金がないということでは本来の資産継承の意味がなくなってしまいます。
そこで、生命保険と暦年贈与を活用して資産を遺していく方法があります。
毎年、祖父が孫へ暦年贈与する資金を生命保険の保険料支払いにあてます。
積立の終身保険など孫の将来に役立つ保険に現金をうつしていくのです。
そうすることで、すぐに使ってしまうといった懸念点も解消されますし、大切な資産を孫の将来の為に遺していくこともできます。
祖父母が孫の為に学資保険を支払ってくれていたというお話しは皆さんも身近ではないでしょうか。
積立NISAなども同じような仕組みで、父母や祖父母から孫への資産継承の1つとして活用されています。
資産計画をたてる際、増やすことだけでなく、いかに遺せるかも重要になってきます。
生命保険の非課税枠は法定相続人1人あたり500万円と、かなりの節税効果があります。
少しでも効率的に資産を遺していきたいという場合、控除や非課税枠を活用することが有効です。
同じお金でも商品や受取り方で税金にかなりの差が出てきます。
暦年贈与や生命保険の非課税枠を活用して、より良いかたちで資産を継承できると遺されたご家族も安心してその後の生活を送ることができます。
リスクに備える保険はとても万能です。
使い方や加入の仕方で資産継承にも役立ちます。
皆さんの資産計画や資産継承の参考にして頂ければ幸いです。
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