節税
先日、認知症に関する東大病院市民オンラインセミナーを受講しました。
ご高齢者へのアンケートで一番なりたくない病気の1位が認知症です。
他の病気とは異なり、治療や特効薬がないため、不安を感じるかたも多いと思います。
2025年にはご高齢者の5人に1人が認知症を患う可能性があるというデータもあります。
認知症を患うと、意思決定が必要な契約などをご本人で行うことが難しくなります。
健康なうちに贈与や相続などの資産継承も考えておくことが重要になってきました。
【INDEX】 ■相続対策のきほん ■3つの対策 ■新たな制度とは ■最後に |
相続対策には、どのようなものがあるのでしょうか。
所有している資産によって、対策が異なりますが大前提として「争続を避ける」「節税しながら資産継承する」という大きな目的があげられます。
どんなに少ない資産でも、大勢の相続人により争うことも異例ではないのです。
家庭裁判所では離婚調停よりも相続に関する案件での調停や裁判が多いのが現状です。
争続にならないよう、事前に対策をしておく必要があります。
では具体的に3つの対策をみていきましょう。
先ずは所有する資産をどのように継承したいのか、分割する割合や資産などを確認します。
その際、資産割合がかたよらないよう法定相続割合も意識して行うと良いでしょう。
しかし、事業などをしている場合、後継者のかたに多くの資産を継承しないと事業自体が継続できないといったケースもあります。
その場合は他の相続人へ代わりの資産を継承するなどの対策も必要になってきます。
一般のご家庭であれば、家や土地、株や債券、保険などの資産を相続人にどのように分割すれば良いかなどを事前に確認しておくと良いでしょう。
遺産分割がある程度、確認できたら次は節税対策です。
例えば現金1億円を遺した場合、現金1億円は相続税評価額では同じく1億円の価値となります。(基礎控除などを考慮せず)
しかし、1億円の現金を賃貸マンションなどの不動産に変えたり、生命保険に変えたりすることで相続税の計算をする際の評価額が変わってきます。
少しでも多くの資産を遺してあげたいということでしたら、所有する資産の評価額を確認し、節税効果の高い資産に変えておくことが節税対策につながります。
対策前と後で所有資産に対する相続税を計算し、どのような資産で所有していると節税につながるのか、シミュレーターでも確認することができます。
より具体的な計算は税理士さんに相談するのも良いでしょう。
資産の分割も節税対策もできたら、次は納税対策です。
相続税は基本的には現金で支払う必要があります。
相続人が相続したくても税金が支払えない、といったことがないように事前に納税資金を準備しておく必要があります。
一次相続(ご夫婦のどちらかが他界した場合)の場合は、配偶者控除などがある為、相続税の支払いがないケースがほとんどです。
しかし、二次相続(子どもだけが相続人の場合など)では控除が少ない為、相続税の支払いが発生する場合があります。
納税対策は一次相続、二次相続までを考慮して対策をたてておくと良いでしょう。
相続は被相続人が亡くなった後となりますので、生命保険などを活用されるかたが多いです。
冒頭でお伝えしたように、相続対策はしていたものの、急に介護状態になってしまった、認知症を発症してしまったとなると話しは大きく変わってしまいます。
ご本人の意思決定が必要な手続きができなくなってしまうからです。
その為、相続の対策ができたら自筆証書遺言などでご本人の意思を記しておくことが重要になってきます。
2020年より、法務局で自筆証書遺言を保管する制度がスタートしました。
これまで、自筆証書遺言は探し出されなかったり、処分されてしまったりすることも多かったのです。
確実に相続の意思を残しておく際には自筆証書遺言(法務局で保管)や公正証書遺言にしておくと安心です。
また、介護費用や治療費用を所有する資産から捻出する場合、ご本人でないと手続きができないとなると大変です。
予め、代理で手続きができるよう所有する資産によって準備しておく必要があります。
特に不動産の場合はご本人でないと手続きができないことが多いため、注意が必要です。
これまで、FP相談というと現役時代のライフプランから退職前後のリタイアメントプラン、そして相続と長い人生のプランに対応してきました。
しかし、リタイアメントプランから相続と急に時間軸が空いてしまい、相続前の対策については贈与や今回お伝えした相続対策しかありませんでした。
介護や認知症の状態になってしまうと、これらの対策だけでは不十分です。
ご本人もご家族も困ってしまうということがないよう贈与・相続対策の前の重要な時期について、ご家族でも考えておくきっかけになればと思います。
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