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住宅ローン控除の延長・拡充 不動産投資家もチェックすべき理由とは!?

住宅ローン控除の延長・拡充 不動産投資家もチェックすべき理由とは!?

住宅ローン控除の延長・拡充 不動産投資家もチェックすべき理由とは!?

2021年度の税制改正大綱によると、住宅借入金等特別控除(以下、「住宅ローン控除」と書きます)の制度について、延長と拡充が行われる予定です。

原則として、収益物件を購入しても住宅ローン控除は適用できませんが、さりとて不動産投資家への影響がないと割り切るのは早計です。

もし、所有する収益物件を売却するとなった際、買主となる方が不動産投資家や不動産業者とは限りません。

買主の方が、投資ではなく実需利用(自己居住用)を前提とし、制度の定める条件を満たす個人の場合、住宅ローン控除の対象となることもあり、需要の下支えとなってくれる可能性もあるのです。

本稿では、収益物件の売却を見据え、2021年度税制改正における住宅ローン控除の延長・拡充の要点について、不動産投資家の目線からご説明していきます。

そもそも、住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、10年間に渡って、年末の住宅ローン残高の最大1%に相当する金額が、原則として所得税から(一定条件を満たす場合には一部住民税から)税額控除される制度です。

生命保険料控除や医療費控除などの所得控除と異なり税額そのものが控除されるため、特に一般家計における減税効果は大きく、住宅売買の活性化を促す政策の一つとされています。(但し、税額控除額には、原則として年間40万円(長期優良住宅などは50万円)、10年間で最大400万円(同、500万円)とする上限の設定があります)


そして、2019年の消費増税時、特例として住宅ローン控除の期間が10年間から13年間(※)に延長されました。

(※)11年目以降の税額控除は上限額が異なります。

・「建物の取得価格(上限4000万円)の2%÷3」

・「年末ローン残高(上限4000万円)の1%」

のいずれか低い金額。(実質的な控除額の上限は、3年間で80万円)


この特例は、消費増税前後の駆け込み需要とその反動減を小さくすることを目的としており、当初は2020年の年末までの入居が条件となっていました。

これをさらに延長・拡充しようという制度改正が本稿でお伝えしたい部分となります。

入居期限の延長

1つ目の制度改正は、入居期限の延長です。

特例を受けるための入居期限について、2020年12月末から2022年12月末まで2年間延長されることになりました。

ただし、入居期限とは別に、契約期限が設定されています。

新築注文住宅を取得の場合は2021年9月末まで、分譲住宅や中古物件の取得・増改築等の場合は2021年11月末までが契約期限となっています。

不動産投資家目線では、収益物件の売却に関係する「中古物件の取得」の契約期限がポイントになりますので、2021年11月末までに収益物件売却の契約が締結できるかが、この制度改正の恩恵に預かれるかの境目になりますね。

小規模物件の対象拡充

2つ目の制度改正は、小規模物件の対象拡充です。

特例延長の適用対象となるケースについて、床面積の要件が「床面積50㎡以上」から「同、40㎡以上」に変更されることになりました。

不動産投資家にとって、この対象拡充は特に歓迎といえます。

価値観やライフスタイルの変化により、単身者やDINKs(子供を持たない夫婦)が増加していることが背景とされていますが、実際、都心部では床面積50㎡未満の物件を自宅として探す方は少なくありません。

さすがにワンルームでは床面積40㎡以上の収益物件は多くないでしょうが、1LDKなどの間取りであれば、今回の対象拡充で適用対象となることは十分考えられます。


なお、床面積を確認する際、以下の2点に注意してください。

注意点の1つ目は、区分マンションおける床面積の計算方法です。

区分マンションでの特例対象の可否は、登記上の内法面積で計算しますが、販売カタログやマイソクなどで用いられる床面積は、多くの場合壁芯面積となっています。

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・内法面積
壁や柱の中心を基準とした部分の面積

・壁芯面積
壁や柱の内側を基準とした部分の面積
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両者の面積差分は物件により異なりますが、概ね5%前後の違いが出るとされています。(壁芯面積の方が5%程度広い面積となることが多い)

そのため、販売カタログやマイソク上で床面積が40㎡ギリギリの場合、特例の対象外となってしまうことがありますので、十分注意してください。(なお、戸建の場合は、壁芯面積で特例対象を判定します)


もう1つは、合計所得金額の制限です。

この「床面積40㎡以上50㎡未満」の物件に限り、合計所得制限が3,000万円ではなく1,000万円と厳格化されています。

一般の方で合計所得制限3,000万円を超える方は少ないため、住宅ローン控除の適用に所得制限があることは忘れられがちです。

しかし、合計所得1,000万円であれば該当する方はグッと増えるはずですから、十分注意してください。

不動産投資の利益は売却するまで確定しない!

不動産投資の最終的な利益は売却するまで分かりません。

特に、昨今の収益物件の価格高騰を受け、毎月の家賃収入だけでは投資元本の回収が困難となるケースも増えていますので、日ごろから少しでも有利な条件、有利なタイミングでの売却を探ることは、いっそう重要になるはずです。


前述した住宅ローン控除の注意点などは、いずれも買主側の事情であって不動産投資家本人には直接関係ないようにも思えますが、万一にも、買主がこれを誤解したまま商談が進み、契約直前の重要事項説明などでキャンセルとなるようでは目も当てられません。

必要に応じて、仲介業者を通じて買主側のフォローが出来るなら、それに越したことはありませんね。

不動産に関連する制度改正には常に目を光らせておくようにしましょう。


※注意
本稿における税制の記述は、執筆時点で未確定(実施予定)の情報を含みます。また、実際の特例適用にはその他詳細な条件があるため、最新の情報や詳細については国土交通省や国税庁のホームページなども合わせてご参照ください。

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