資産運用
不動産投資を始めるにあたって、物件選びは非常に重要です。
など、様々な切り口がある中で、地方の区分マンションに目を付ける方も多いかもしれません。
しかし、弊社に相談にくる方の中には安易な気持ちで区分マンション投資に手を出してしまい、後から後悔しているケースが非常に多く見受けられます。もちろん、地方で不動産投資を成功させている方も多く、一言で地方といっても、たとえば政令指定都市と人口数千人の小さな町をひとくくりに語ることはできません。
ただ、地方の区分マンション投資で失敗する方には、ある意味での共通項があるようにも感じています。
本稿では、こうした実例に共通する「地方高周り物件の落とし穴と対策について」まとめてみました。
都心部と地方の収益物件では「物件価格」「家賃」「空室」の3点において違いがあります。
それらの特徴を比較検討すると、都市部と地方物件では次のようなメリット・デメリットが考えられるでしょう。
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<メリット>
・賃貸需要が強いことから、相対的に毎月の家賃は高く、空室期間が長期化しにくい
<デメリット>
・収益物件の販売価格が相対的に高い
<メリット>
・収益物件の販売価格が相対的に安い
<デメリット>
・賃貸需要が弱いことから、相対的に毎月の家賃は安く、空室期間が長期化しやすい
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一見すると、一長一短のように見えるかもしれません。
しかし、昨今では金融機関からの借入金利が以前よりも有利な条件で実行しやすくなったとはいえ、収益物件の価格高騰も続いています。そのため、都心部の区分マンションではキャッシュフローをプラスにできる案件が少なくなってきました。
一方で、地方にはまだ販売価格が割安に見える物件も残っています。
こうした考えから、都心部に住む不動産投資家が、縁もゆかりもない地方の収益物件を狙うケースが多いように感じています。
地方でいかに賃貸需要が高いエリアだとしても、都心部と同じように考えるのは危険です。
総務省の『住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数』によると、令和2年1月1日時点の東京都の世帯数は約730万世帯、神奈川県は約438万世帯、埼玉は約335万世帯、千葉は約293万世帯となっています。
それに対して、たとえば北海道は約279万世帯、広島県は約132万世帯、福岡県は約245万円世帯にとどまっており、地方の中核都市とくらべても、東京都(あるいは一都三県)の世帯数は圧倒的ということが分かるでしょう。
【出典】総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数
「世帯数=引っ越し数(賃貸需要)」ではありませんが、このデータを見るだけでも、地方の賃貸需要と都心部のそれには大きな隔たりがあることがわかります。(他にも、移動人口数や転出者・転入者数からも、同じ傾向を読み取ることができます)
見方を変えて、賃貸需要の内訳から考えてみましょう。賃貸需要自体は強いエリアであっても、地方には特定の大企業や大学などの転勤や入学に需要が支えられているケースは少なくありません。そうしたエリアでは、春と秋の繁忙時期以外は、そもそも人の移動自体が少ないことも考えられます。
地方で、都心部のように一年中途切れることなく入居希望者が続くエリアを探し出すのは容易ではありません。
そうはいっても、不動産投資で儲かっている成功者(以下、メガ大家)のなかには、地方に収益物件を持ち、高稼働を維持している方もたくさんいます。
しかし、不動産投資初心者が縁もゆかりもない地方で、そうした成功者と同じような賃貸運営をすることは非常に困難です。
まず、地方ならではの高利回りを前提としても、区分マンション投資がある程度まとまった規模になるまでは、大きなキャッシュフロー(現金利益)は出ません。
そのため、地方への移動コストといった観点からも頻繁な往来は現実的ではなく、現地の賃貸仲介不動産会社や工務店などと良好な関係を維持することは難しいといえるでしょう。(不動産業界はFAXが現役なほどアナログな文化で、非対面・オンライン対応には限界があります)
その一方、その地方で多くの収益物件を所有するメガ大家であれば、必要に応じて現地を訪ねて対面営業をかけることができます。
また、何度も取引を繰り返すことで「お得意様」と見てもらうこともできるでしょう。
都心部のように絶え間なく強い賃貸需要があるエリアならまだしも、特に勝負の繁忙期などには、どうしてもメガ大家や地主が優先されてしまうのです。その結果、相場よりも家賃を下げるか、広告費(AD)などで差別化を図ることとなり、事前に想定した以上に収支が悪化してしまうといえるでしょう。
では、地方の区分マンション投資を検討している不動産投資初心者はどういった対策を取ればよいでしょうか。
ここでは、主な対策を3つご紹介します。
1つ目は、その地方をカバーするフルパッケージ型の管理会社を活用する方法です。
そうした管理会社は、地方ごとに支店を構えているほか、現地の不動産会社とパートナー契約を締結しています。そのため、大家としての規模の小ささを補うことができるでしょう。
ただし、管理会社の倒産リスクや撤退リスク、管理品質が不十分かもしれないリスクを想定したうえで、万が一の際の備えをしておくことも大切です。
2つ目は、実家があるなど、土地勘と人脈がある地方から始める方法です。
地方への移動コストは帰省などとの組み合わせで軽減できることに加え、人脈を活用して対応の優先度を上げてもらうことができるかもしれません。
3つ目は、長期間の空室や相場以上の家賃値下げ、広告費の支払いなどをすべて織り込んだ激安価格でのみ、地方の物件を購入する方法です。
今回の記事では、区分マンション投資における地方高利回り物件の落とし穴とその対策について、お伝えしました。
都心部の区分マンションに比べ価格が安く、手が出しやすいこともあって人気のある地方の区分マンションですが、その裏にはいくつかのリスクも潜んでいます。
購入後の賃貸運営を考えると、安易に手を出すのは危険であり、投資初心者におすすめできる投資対象ではありません。
これから不動産投資を始める方は、一つ一つの情報をきちんと精査し、実効性のある戦略を検討することから始めてみましょう。
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