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一般社団法人日本クレジット協会の集計によると、クレジットカードの発行枚数は、いまや29,296百万枚(2020年3月末)にもなるそうです。
<出典>クレジットカード発行枚数調査結果
これだけ日本の生活に浸透してきたクレジットカードですが、新たにクレジットカードを申し込むにはカード会社による入会審査があり、なかなか希望するカードの審査に通らず、ヤキモキする方もいらっしゃるようです。
カード会社からすれば、入会申込をしてくれた方はいわば「お客様」です。
なぜ、わざわざ「お客様」を篩にかける必要があるのでしょうか。
そして、カード会社ではどんな審査が行われているのでしょうか?
具体的な審査内容は非公表かつカード会社やカードの種類によって異なるものの、実は多くのカード会社に共通する審査の考え方は存在します。
本稿では、クレジットカードの入会申し込みになぜ審査が必要なのか、カード会社における審査の基本的な考え方はどうなっているのか、についてご説明していきます。
まずは、なぜカード会社が入会審査を行うのか、審査の目的(理由)を理解しましょう。
入会審査の目的は、大きく分けて2つあるとされます。
①不正なカード入会を阻止すること
②カード所有者の未回収リスクを低減すること
①は、クレジットカードの犯罪利用防止や暴力団等への利益供与防止の観点で審査を行うというものです。
他にも、法令で決められた本人確認の取れない申し込みや必要書類が揃っていない申し込み、あるいは入会特典目当て等での多重申し込みのチェックなどもこれに該当します。
②は、入会申込者の与信の観点から審査を行うというものです。
クレジットカードビジネスは、カード所有者の与信(信用)に基づき、カード会社がカード所有者に対して「お金を立て替える」行為を基本モデルとしています。
クレジットカードが利用されると、カード所有者はカード会社に対する支払義務を負いますが、カード会社もまた、加盟店(利用されたお店等)に対して支払義務を負うことになります。
そのため、所定期日までにカード所有者が支払いを行わないと、カード会社の持ち出しとなってしまうのです。
カード所有者への支払督促には時間も費用もかかりますし、最終的に自己破産や債務免除となればカード会社がその負債を被ることになってしまいます。
そこで、こうした未回収リスクを低減させるため、各カード会社は「未回収リスク」をランク分けし、入会申込者を振り分けています。
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<振り分けの例>
・未回収リスクが低い人 ⇒カード入会OK、利用枠:大
・未回収リスクが中程度の人 ⇒カード入会OK、利用枠:小
・未回収リスクが高い人 ⇒カード入会NG
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もちろん、実際の振り分けはこんなに単純ではないはずですが、後述する様々な情報を活用してこうした与信審査が行われているイメージを掴んでいただければと思います。
では、クレジットカード申し込み時に行われる審査は、どのような考え方で行われているのでしょうか?
特に、読者の方の関心があるのは、前述した②の与信観点かと思いますので、以下はその前提でご説明します。
私の知るかぎり、具体的な審査基準を公開しているカード会社はありませんし、カード会社ごとに様々な工夫が凝らされていることは想像に難くありませんが、多くのカード会社に共通する基本的な審査の考え方は以下の2点とされています。
<与信観点での審査の枠組み>
①入会申込書による属性審査
②社内外の信用情報による実績審査
①は、入会申込書等に記載された、申込者本人の属性情報等を使用した審査です。
属性情報とは、たとえば「職業」「勤務先・勤続年数・役職」「年収・預貯金」「住所・電話番号(固定電話の有無)・居住年数」「家族の有無」などといった情報で、実際の確認項目はカード会社によって必ずしも統一されていません。(法令の定めによって確認必須の項目と各社の与信審査で必要な項目が混在しています)
各カード会社には、これまでに蓄積した莫大な利用実績・滞納実績などの情報がありますから、どういった属性(あるいは属性同士の組み合わせ)だと未回収リスクが高いのか、各社の基準に照らして審査をしています。
②は、よく「ブラックリスト」と表現される社内外の信用情報を照会しての審査です。
詳しくは割愛しますが、カード入会審査では「CIC」「JICC」などといった外部信用情報機関の情報を審査に活用しています。(これも法令の定めによる照会と各社の与信審査のための照会が混在しています)
外部信用情報機関からは、「他社での滞納実績」「他社での借入額」などの情報を照会することができます。
また、自社の信用情報、たとえば既にAというカードを所有している方が、新たにBというカードを申し込みした場合、Aカードで滞納した実績がないかなども併用して与信審査に活用しているようです。
こうしたカード会社ごとのカード利用実績の積み上げは「クレジットヒストリー」と呼ばれ、正常な取引を繰り返した実績は与信審査でプラス評価に繋がることもあるようです。
残念ながら、クレジットカード審査に必ず通る方法というものは存在しません。
どの属性をどのように審査しているのか、信用情報の照会結果をどのように評価しているのかは非公開ですし、カード会社ごと、もっといえばカードの種類ごとに異なるはずだからです。
しかし、ほとんどのカード会社は本稿でご説明してきた大枠の仕組みのなかで審査していることを考えれば、
・不正入会を疑われるようなことはしない(記載事項は正しく・漏れなく記載する)
・外部信用情報を汚さない(滞納をしない・照会対象となる借入を安易に増やさない)
・本命のカード入会のためには、そのカード会社での正常取引の実績(クレジットヒストリー)を積み上げる
といった基本事項は是非とも押さえておきたいところですね。
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