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初めての一人暮らしや家族が増えての引っ越しなど、新たに賃貸物件を借りる際、意外と高額になりがちなのは家賃以外の初期費用。
賃貸物件を契約すると「仲介手数料」「保証料」「敷金・礼金」「前家賃」といった支出が発生したり(契約条件によっては発生しない場合もあります)、新居に合う家具家電を揃えたり、引越し業者を手配したり。。。など、様々な支出が重なるものです。
入居者さんとしては、「せめて毎月の家賃はなるべく抑えたい!」と考えることは当然かもしれません。
しかし、大家さんサイドに目線を移すと、大家さんとしても簡単に家賃を下げられない事情があります。
前入居者さんが退去した後には纏まった金額の原状回復費(室内の汚破損などを修繕して次の入居者さんに貸せる状態にする費用)を支出していますし、空室期間中は建物の維持管理費の支払いや借入金の返済を、大家さんの持ち出しで続けています。
さらに、賃貸契約の締結後には、仲介不動産業者に家賃数ヵ月分の広告費を支払うケースも増えているのです。
つまり、賃貸物件の入退去時には、入居者さんも、大家さんも、どちらも多額のお金がかかっており、どちらも金銭的にツライ立場にあるのです。
本稿では、そうした大家さんの事情にも配慮しつつ、入居前に家賃値下げ交渉を成功させるコツについてご説明していきます。
※なお、家賃値下げ交渉のタイミングとしては、「入居前」「入居後」がありますが、本稿のテーマは「入居前」です。(「入居後」については別記事にてご説明予定です)
賃貸物件には、家賃値下げ交渉に向く物件と向かない物件が存在します。
以下の2点をチェックすることで、交渉のハードルをある程度予測することができます。
賃貸物件と一口に言っても、「所在エリア・立地」「近隣施設の充実度」といった周辺環境や「築年数」「建物施設・室内設備の充実度」といった物件自体の商品価値によって、賃貸物件の人気は様々です。
そして、一般に人気となる要素を多く備える物件ほど、大家さんの支払う取得費・維持費は高額となるため、値下げの原資を捻出しにくい傾向があります。(なかには積極的に先行投資して人気物件をプロデュースする大家さんもいます)
また、人気の物件は賃貸募集時の反響が大きく、なかには空室待ちが発生するケースもありますし、そこまでいかずとも募集をかければすぐに入居希望者が現れるため、大家さんとしても、無理してまで家賃値下げに応じるメリットは弱くなるのです。
逆に、人気となる要素を外した物件であれば、大家さんの支払う取得費・維持費は相対的に低く抑えられている可能性があります。
たとえば車通勤の方であれば駅からの距離はさほど重要性でないかもしれませんし、しっかり修繕されていれば建物は古くても気にならない方もいらっしゃることでしょう。
ご自身にとって譲れる部分を妥協することで、交渉のハードルを下げることができるかもしれません。
賃貸物件の入居者募集には明確な繁忙期があります。
一般に新年度を控えた2月・3月と、秋の9月・10月頃が繁忙期とされており、大家さんも仲介不動産業者も一番の書き入れ時です。
逆に言えば、この時期を逃すと急速に賃貸需要は弱まるため、繁忙期に確実に空室を埋めることを重要視する大家さんは少なくありません。
これを逆手に取ると、繁忙期以外の時期、たとえば6月や12月などは家賃値下げの交渉としては良い時期といえます。
大家さんとしても空室期間短縮との天秤で、家賃値下げのメリットが出てくるからです。
但し、退去発生もやはり繁忙期前後に集中しますから、繁忙期以外の時期に入居者募集している賃貸物件の数は、繁忙期のそれには及びません。
家賃値下げの可能性を採るのか、豊富な選択肢から好みに合った物件を探したいのか、ここは個人の価値観が分かれる部分ではあります。
大前提として、大家さんが家賃値下げに応じるかは任意です。
たとえ同じ賃貸物件に同じタイミングで値下げ交渉が入ったとしても、片方にはOKを出して、もう片方にはNGを出すことも起こり得ます。
その判断の分け目はなにかといえば、「その方に入居してほしいと思うか?」という部分が大きいようです。
入居者さんが賃貸物件を探す際、「大家さんはどんな人なのかな?」「気難しい大家さんでなければいいな」と不安に思う方もいらっしゃることでしょう。
これは大家さんも同じです。
次に入居してくれる方は、「しっかり家賃を払ってくれるかな?」「近隣住人とトラブルを起こさないかな?」「無断でペットを飼ったりしないかな?」「実は仮住まいのつもりですぐに退去したりしないよね?」ということは気になるものです。
ですから、家賃値下げを交渉するにあたっては、こうした大家さんの不安を払拭するような情報を、仲介不動産業者の方に伝えてもらうとよいでしょう。
たとえば、「部屋が気に入ったら長くお世話になりたいと思っています」、・・・こうした一言があるだけで、大家さんとしてはすごく安心できるものです。
最後に。
基本的には大家さんは適正と考える家賃で募集をかけていますから、家賃値下げは、あくまでも「お願い」ベースでの交渉です。(なかには様々な理由から、敢えて高めの家賃設定をする大家さんもいますが・・・)
「お客様は神様である!」と言わんばかりに、横柄な態度や強引な主張を繰り返したのでは、通る交渉も通らなくなるばかりか、「後々にトラブルを起こすのではないか」と警戒されて入居自体をお断りされてしまうことに繋がりかねません。
その点は十分注意しましょう。
・入居前の家賃値下げ交渉について、賃貸物件の人気と賃貸契約の時期によって、交渉のハードルは変わる!
・同じ賃貸物件・同じ時期の契約であっても、大家さんが「その方に入居してほしいと思うか?」によって交渉結果が変わることも! 大家さんには安心材料もセットで提供しよう!
・家賃値下げは、あくまで「お願い」ごと。横柄な態度や強引な主張は厳禁と心得るべし!
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