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突然ですが、皆さんは自分の財産を配偶者や次の世代へどのように相続するか、遺産相続について考えたことはありますか?
「奥さんには家を残したい」「子供達にはそれぞれいくらずつお金を残したい」など財産の内容によっても様々な分け方や考え方がありますが、遺産相続については分け方が原因でトラブルになってしまったり家族関係が悪化してしまうことも少なくありません。相続争いというとお金持ちだけのイメージですが、実際には財産が5,000万円未満の家庭の相続争いが全体の7割を占めているという統計も出ています。
こうした遺産相続トラブルを上手に回避するためには、遺言書の作成が有効です。自分の意志によって財産を分割したい、特定の財産を特定の人に相続させたいと考えている方もいらっしゃることでしょう。
しかし遺言書の内容や書き方によっては逆にトラブルの火種となってしまう可能性もあり、作成する際にはある程度の知識が必要となります。
今回はそういった遺言書の内容や種類について解説していきますので、これから遺言書作成を考えている方は是非参考にしてみて下さい。
【INDEX】 ■遺言書とは ■遺言書の3つの種類 ■最後に |
遺言書とは、財産を持っている人が亡くなったときに、誰がどの財産をどのように相続するのか、どうやって分けるのか自分の意思を明確に示しておくための書類です。メモのように書いて残しておくだけでは法的な効力はなく、作成にあたっては種類に応じて定められた要件を満たす必要があります。
遺言書は大きく分けて「普通方式遺言」と「特別方式遺言」に分かれます。
普通方式遺言は一般的な遺言書の作成方法で、後ほど説明する「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
一方の特別方式遺言は、命の危険がある、死が迫っているなどの理由で普通方式では対応できない場合に用いられます。ただし作成から6か月後も生存している場合には特別方式で作成された遺言は無効となりますので注意が必要です。
今回は、一般的な遺言書の作成方法である普通方式遺言の3つの種類について解説します。
◇自筆証書遺言
遺言者が遺言の全文・日付・名前を自筆(手書き)、押印して作成する遺言書です。満15歳以上で文字が書ければ誰でも作成可能で、費用がかからずいつでも修正や書き直しができるというメリットがあります。
簡単に作成できるという利点がある反面、内容不備で法的に無効となってしまう可能性がある、自筆できない人は利用できないといったデメリットがあります。
ただしこれまでは全ての文について自筆が義務付けられていましたが、2019年の民法改正により財産目録については自筆でなくても認められるようになりました。(パソコンでの目録作成、通帳のコピーや登記簿謄本等の添付が可能)
また遺言書の紛失や破棄、改ざん等のリスクを軽減するために、2020年7月より法務局にて「自筆証書遺言保管制度」がスタートしました。法務局にて適正に保管することで、これまでより有効に自筆証書遺言を残すことが可能となります。
◇公正証書遺言
遺言者が公述した内容を基に、公証役場の公証人が正確に文章にまとめ公正証書遺言として作成する遺言書です。
複雑な内容であっても専門家の下で作成されるため法的に無効となる心配がなく、原本についても公証役場に保管されるため紛失や改ざんといった恐れがありません。また家庭裁判所での検認が不要のため、相続開始後速やかに遺言書の内容を実行できるといったメリットがあります。
一方で、公正証書遺言は作成にコストがかかるということがデメリットでしょう。また遺言の内容を公証人に公開する必要がある、一度作成してしまうと修正等に手間がかかるといった点も考慮しておきましょう。
◇秘密証書遺言
遺言者が内容を作成の上署名・押印し、公証人が日付等を記入してから封印する遺言書です。遺言書の内容を秘密にして存在だけを証明してもらう方法で、自筆のみならずパソコンで打ち込んだものや第三者の代筆も可能です。
公証役場には遺言書を作成したという記録は残りますが、内容の確認ができないため法的に不備が出たり、他の作成方法に比べ手間がかかったりするため実際にはあまり利用されていないのが現状です。何らかの理由で遺言の内容を知られたくない場合には有効ですが、公正証書遺言ほどの確実性がないことを覚えておきましょう。
今回は、遺言書の3つの種類について大まかに解説しました。
遺言書の作成において一般的なのは、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。自分で一から作成方法を調べて作成・手続きをすることも可能ですが、相続開始後のトラブル防止や手続きの簡素化を考えるとはじめから専門家へ相談する方が無難でしょう。
また気を付けて頂きたいのは、自分の財産だとしても遺言書だけで全ての財産を自由に分割できる訳ではないということです。
法定相続人には遺留分があり、遺言書の内容が全てそのまま認められる訳ではありません。遺留分を考慮していない遺言書を残してしまうと、それこそトラブルの原因になりかねませんので作成の際はくれぐれも注意しましょう。
相続トラブルを防ぐために遺言書を作成したのに、それが原因となって家族が揉めることになっては元も子もありません。これから遺産分割を見据えて遺言書を作成するという方は、様々なケースを想定しつつ併せて自分の意思もきちんと後世に残せるよう早め早めの準備をしていきましょう。
※こちらの記事は、2021年6月時点での情報に基づいて執筆しております。
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