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一部家電量販店などにおいて、8月頃からiPhone SE(第2世代)の64GBモデルが一括1円~10円という激安価格で販売されていることが話題になっています。
iPhone SE(第2世代)といえば、2020年4月に、iPhone SE(第1世代)及びiPhone 8両方の後継機とした位置付けで販売された人気モデルで、公式のApple Storeでは49,800円(税込)で販売中の現役モデルでもあります。(2021年10月現在)
ご存じの方も多いと思いますが、総務省が端末販売の適正化の取組を推進した結果、原則として、通信契約を条件とした2万円(税込2万2,000円)を超える値引きは禁止されることになりました。
しかし、前述したiPhone SE(第2世代)の値引き額は、実に3万円近くなっており、一見すると総務省の取り組みに違反しているようにも見受けられます。
一体どうしたカラクリになっているのでしょうか?
本稿では、総務省が推進した端末販売の適正化の取組について振り返りつつ、iPhone SE(第2世代)の1円(10円)販売のカラクリについてご説明していきます。
ひと昔前までは、家電量販店等で大手キャリアのスマホ(またはガラケー)を購入する際、2年の長期契約(いわゆる「二年縛り」)や、電話番号を維持したままキャリアを乗り換えるMNP(携帯番号ポータビリティ)を条件に、端末代金や月額の通信料金が大幅に値引きされるケースが目立っていました。
さらに繁忙期ともなれば、他キャリアからの引き抜き合戦が過熱し、「端末代金は一括0円」「家族でMNPすると10万円キャッシュバック」といった過剰なキャンペーンも見受けられたものです。
こうした過剰な囲い込み施策の原資は、言わずもがな既存ユーザーからの通信料等であり、積極的にMNPを行う一部のユーザーに偏った恩恵をもたらすばかりか、通信料が高止まりする原因になっていると批判が集まっていました。
さらには、最新のスマホが「無料+キャッシュバック」で手に入るとして、小遣い稼ぎ・転売目的のユーザーが、事前に仕込んでおいた大量の回線契約を利用して荒稼ぎを繰り返したことで社会問題化。(この時点では、2年縛りなどによる高額な違約金がありましたが、それでもなお、最新スマホの転売は“おいしい案件”として一部では有名になっていました)
ついには総務省が事態の収拾に乗り出すこととなったのです。
問題の根本は、通信契約と端末販売が事実上一体となっている点にあるとして、以下のような禁止行為が明確化されたことは、記憶に新しいところかと思います。
では、本稿のテーマに移りますが、こうした経緯がありつつも、ここしばらくiPhone SE(第2世代) の64GBモデルが一括1円~10円という激安価格で販売されている点は、どういったカラクリによるのでしょうか?
実際、キャリア各社と総務省との間でどのようなやり取りがあったのかは知る由もありませんが、一応の建付けとしては以下のようなものになっています。
まず、総務省に禁止されているのは、「通信契約を条件として、2万円を超える端末の値引きやキャッシュバック等の利益の提供が行われる場合」であり、スマホ単体での販売については値引きの禁止対象となっていません。
そのため、
といった2段構えとしているのです。
ルール違反ではないにせよ、販売店としても、最新スマホを1円や10円で販売して利益が出ないことは明白ですから(人件費にすらなりませんね)、総務省の掲げる“端末販売の適正化”の精神に沿った販売とは言い難いものではあります。
では、本当に通信契約なしに、単純にiPhone SE(第2世代) の64GBモデルを購入しようとすると、いくらになるのでしょうか。
通信契約セットに対する値引きがなくなるため、理屈上は税込22,001円または22,010円となり、iPhone SE(第2世代) の64GBモデルの中古相場よりも安価に、新品の端末が購入できてしまう計算です。
大手キャリアとしては、通信契約込(MNPあり)で1円または10円での端末購入を選択するユーザーが大半であろうとの目論見でしょうが、SNSなどには通信契約なしで、iPhone SE(第2世代)を 22,001円でゲットし、それを転売して利益を上げたという投稿も散見されます。
こうなってくると、多くの既存ユーザーから集めた通信料が、一部のMNPを繰り返すユーザーや転売屋の利益の原資になってしまうという、従来の状況に逆戻りです。(もっとも、筆者が店頭で質問したかぎり、通信契約なしでの端末購入には強く難色を示されました。以前よりは、転売目的での大量購入はやりづらくなっているのかもしれません)
これまでも規制を受けては、その網をかいくぐる新たな販売手法を大手キャリアは生み出してきたわけですが、まだまだ“いたちごっこ”は続くようですね。
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