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日本はキャッシュレス後進国!? 21年度最新の決済事情を知ろう! 

日本はキャッシュレス後進国!? 21年度最新の決済事情を知ろう! 

日本はキャッシュレス後進国!? 21年度最新の決済事情を知ろう! 

皆さんはキャッシュレス決済をどのくらい利用していますか?

ここ数年だけでも様々なキャッシュレス決済が新たに登場していますが、大きく分けると以下4つに分類することができます。

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<キャッシュレス決済の種類>
・クレジットカード(デビットカード)
・交通系電子マネー
・非交通系電子マネー
・コード決済

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かねてより、日本はキャッシュレス後進国といわれてきました。

新型コロナウィルスの感染拡大前、著者は仕事でよく中国に行っていたのですが、実際、中国では日常の大半の決済をスマホ一台で行うことが“当たり前”になっている印象でした。

日本政府としても、キャッシュレス決済の普及が遅れていることを課題と捉えているようで、直近でも、2019年10月1日の消費税率引上げに伴う、中小・小規模事業者を対象としたポイント還元事業や、マイナンバーカード取得のインセンティブとしてのマイナポイント事業によって、キャッシュレス決済の普及を促そうとしたことは記憶に新しいところかと思います。

では、実際のところ、日本でのキャッシュレス決済は、どの程度進んだのでしょうか?

■キャッシュレス決済の事業者導入率は約7割!

2021年6月、経済産業省からキャッシュレス決済の現状に関する調査結果が公表されました。

PDF30頁超にも及ぶかなり詳細な調査結果ですが、著者が特に気になった点を抜粋してご紹介・解説します。

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【キャッシュレス決済の導入状況】
 回答した事業者におけるキャッシュレス導入率は約7割。
 クレジットカード、コード決済は半数以上の事業者で導入されているが、電子マネーは4分の1程度。
 事業者の売上規模とキャッシュレス決済の導入率について、中規模事業者で導入率が高い一方で、小規模/大規模事業者では低い傾向にある。
 客単価別では、1000円~1万円未満の単価帯でキャッシュレス導入率が高い一方、客単価の高い事業者では導入率が低い。

【キャッシュレス決済手数料を巡る状況】
 キャッシュレス決済の手数料率は、いずれの決済手段であっても3%台前半の占める割合が高く、ポイント還元事業において3.25%以下の手数料率を参加要件とした効果が継続している。
 コード決済はキャンペーン実施により、足下では0%台の割合が高い。
 キャッシュレス決済導入の際の手数料の上限については、2%台までという回答が全体の8割を超える。

【キャッシュレス決済の未導入理由】
 飲食業、小売業では手数料等のコスト負担を指摘する割合が相対的に高い。

<出典>経済産業省『キャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果』より抜粋
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まず、特筆すべきは、後発のコード決済が、電子マネーを追い抜き、クレジットカードに並ぶほどに爆発的な普及を遂げた点かと思います。

事業者の希望する決済手数料3%未満に対して、PayPayを始めとするコード決済事業者の決済手数料0%キャンペーンが奏功したことは想像に難くありません。

しかし、コード決済の大躍進があってもなお、キャッシュレス導入比率は事業者ベースで約7割にとどまるとのこと。

今後、更なる事業者にキャッシュレス導入を進めるには、やはりクレジットカードの決済手数料の引き下げがポイントになることは間違いないでしょう。

■クレジットカードの決済手数料引き下げは難しい!

しかし、日本におけるクレジットカードの決済手数料引き下げは、諸外国と比べても難しい事情があるようです。

経済産業省が主催し、大手決済事業者の幹部や有識者の集まる会議のなかでも、以下のやり取りが記録されています。

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【決済手数料引き下げへの課題】
●手数料については、コスト構造全体を分析した上で、議論していくことが必要。加盟店への入金を毎日すれば、銀行振込手数料だけで収益が失われるため、振込手数料を減免する仕組みの整備も必要ではないか。

●他国との比較に際しては、金利収入のあるリボ払いが主流である他国と、金利収入のないマンスリークリアが主流である日本では収益構造が異なる点に留意すべき。

●手数料はポイントの原資でもあり、手数料引下げがキャッシュレスのサービス低下につながるリスクを考慮すべき。

●手数料を単純に下げることで、決済サービスのレベルが落ち、消費者が利用しなくなる状況になるのは避けるべき。

<出典>経済産業省 『第2回 キャッシュレス決済の中小店舗への更なる
普及促進に向けた環境整備検討会【資料3】』
より抜粋

まず、日本のクレジットカード決済の大半が「ショッピング1回払い」であり、「リボ払い」のような決済事業者の利益に大きく貢献する(逆にいえば、消費者が高い金利を負担する)ケースが少ないという、日本ならではの事情があるようです。

また、事業者へ入金する際の振込手数料が高いことや、充実したポイント施策やシステム障害が極めて少ない等、サービス面が手厚いことも、決済手数料引き下げのハードルになっている模様。

たしかに、年会費無料のカードが増えている(プラチナカード・ゴールドカードなどでも年会費の引き下げが始まっていますね)一方で、なかには決済金額の1%以上のポイント還元を受けられるクレジットカードもありますし、ごく稀に発生する決済障害が大々的なニュースになってしまうほど安定した利用環境が整備されていることを考えれば、納得してしまう面もありますね。

言い方を変えると、消費者が金利負担のない「ショッピング1回払い」をメインに使い続け、さらに既存のサービスレベルの継続を期待することと、決済手数料を大きく下げて、さらにキャッシュレスに対応する事業者を増やすことは、両立が困難という結論に行きつくのかもしれません。


現在も、経済産業省を中心に、大手決済事業者や有識者を集めた会議が継続的に行われています。

日本のキャッシュレス事情がどうなっていくのか、これからも注目ですね!

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