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東京証券取引所が再編?!2022年から東証はどう変わる?

東京証券取引所が再編?!2022年から東証はどう変わる?

東京証券取引所が再編?!2022年から東証はどう変わる?

証券取引所の始まりをご存じでしょうか。
日本で初めて証券取引所が誕生したのは1878年のことです。
NHK大河ドラマの主人公にもなった渋沢栄一をはじめ、今村清之助、田中平八という3人の実業家が中心となり、現在の東京証券取引所がある日本橋兜町に「東京株式取引所」は設立されました。
今でこそ平日は毎日取引がされている証券取引所ですが、設立当初は上場銘柄があまり増えなかったこともあり、週二回程度の売買しか行われていませんでした。
その後日本は高度経済成長期に突入し、経済が大きく発展するにつれて証券取引所も経営統合や合併等を経て進化してきました。
今回は現在の証券取引所の現状を踏まえ、今後の東京証券取引所における市場再編についてお伝えしていきます。

【INDEX】

■現在の証券取引所について

■2022年から東京証券取引所はどう変わる?

■最後に

現在の証券取引所について

現在、日本には「東京」「名古屋」「札幌」「福岡」に4つの証券取引所があり、主に株式や債券の売買取引が行われ資本主義における中心的な役割を果たしています。それぞれの取引所や市場によって規模が異なり、上場企業数や売買代金、上場基準などが異なります。
まず東京証券取引所(以下:東証)とその他の取引所で取引時間が異なります。
【東証】平日の9:00~11:30(前場)、12:30~15:00(後場)
【その他の取引所】平日の9:00~11:30(前場)、12:30~15:30(後場)

また各取引所における上場企業数(2021年1月現在)と売買代金(2020年)は以下の通りです。
【東証】上場企業数 3,752社・売買代金 約742兆1,200億円
【名古屋証券取引所】上場企業数 287社・売買代金 約1,200億円
【札幌証券取引所】上場企業数 58社・売買代金 約351億円
【福岡証券取引所】上場企業数 109社・売買代金 約266億円

東証については世界三大証券取引所とも言われ、日本国内でもその規模は群を抜いています。一般的に上場企業というと東証への上場を示しており、東証に上場することで企業のイメージアップや信用度の向上などを図ることができます。
また現在の東証は「東証一部」「東証二部」「ジャスダック(スタンダード)」「ジャスダック(グロース)」「マザーズ」の5つの市場区分に分かれており、区分によって市場コンセプトや上場基準が異なっています。

2022年から東京証券取引所はどう変わる?

現在の東証の5つの区分については、2013年に東証と大阪証券取引所が統合した際に企業や投資家になるべく影響を与えないようそれぞれの市場を維持した形で構成されています。
しかし実際には多くの課題があり、各市場のコンセプトが曖昧で不明確であることや、投資家にとって利便性が低い点が以前から指摘されていました。また東証一部に上場する際の上場基準と、その他の市場から東証一部へ市場変更する際の基準が乖離していることなどから、上場会社の持続的な企業価値の同意付けがなされていないといった課題もありました。
今回こういった市場の課題や問題点を踏まえ、2022年4月4日より東証は3つの新しい市場区分へと再編されることとなりました。それぞれのコンセプトは以下の通りです。

◆プライム市場
「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」

◆スタンダード市場
「公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」

◆グロース市場
「高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場」

※日本取引所グループ「市場区分見直しの概要」より

また今回の市場再編にあたってTOPIX(東証株価指数)等の株価指数についても見直しが予定されており、併せて新たに「東証プライム市場指数」「東証スタンダード市場指数」「東証グロース市場指数」「旧東証市場第一部指数」などが新設される予定です。
今後のスケジュールについては、2021年9~12月の間に上場会社による新市場区分の選択手続きが行われ、2022年1月にJPX日本取引所グループのホームページ内にて新市場区分の一覧公表、同4月4日に新市場区分への移行完了という流れになっています。

最後に

今回は、証券取引所の現状と今後の東証市場再編についてお伝えしました。
東証の市場再編については、まず企業側から見る変化として上場基準の厳格化や流通株式の定義が変わることから持ち合い株式や親子上場の解消が進むことが予想されます。また各市場のコーポレートガバナンスの強化も企業に与える影響は大きく、ESG(環境・社会・ガバナンス)などに配慮した取り組みが加速していくことは間違いないでしょう。
一方、投資家側からの視点としては市場再編に伴いTOPIXの方針が変更されることから、TOPIX構成銘柄に投資をしていた人は注意が必要です。また今後は株主優待制度についても見直しが進む可能性があり、株価に影響がある銘柄が出てくる可能性もあるでしょう。
再編後しばらくの間は経過措置が取られるため企業や投資家への影響は限定的と見られますが、日本株にて運用を行っている場合は今後の動向に注意しながら最新情報をチェックしておきましょう。その際、本記事の内容もご参考頂ければ幸いです。
※本記事は2021年12月時点での情報に基づいて執筆しております。

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