資産運用
もうすぐ引越しシーズンの到来です。
・毎月の家賃支払いが勿体ない
・数年ごとに更新料や保証料を支払うのはもっと勿体ない
・子供も大きくなってきたのでそろそろ引っ越しを考えている
理由は様々でしょうが、季節がら、賃貸物件を退去して次は分譲マンションを購入しようかと検討されているご家庭も多いのではないでしょうか。
そして、いざ新築マンションの販売会場に行くと「毎月●●円の支払いでマンションを購入できます!」といった説明を受けることもあるでしょう。
今の家賃と同じか、ともすれば「今の家賃以下のローン返済額で新築マンションを購入できるかも・・・」となれば、一気にテンションが上がるのも無理はありません。
しかし!!
勢いでマンションを購入した結果、「賃貸生活のときには発生しなかった様々なお金がかかるようになった!」「当初聞いていた以上の支払いが必要となって生活が苦しくなった!」という話を聞いたことはないでしょうか?
なぜ、事前に毎月のローン返済額を聞いていたにもかかわらず、こうした話が出てくるのでしょうか?
分譲マンションの購入にあたっては、資産性や災害リスクなど見るべきポイントは沢山あるのですが、本稿では、特に上記のような費用面からの注意点、よくある失敗事例をご紹介します。
是非、ご自身の気付いていない点がなかったか、セルフチェックしながら読んでいただければと思います。
マンションに限らず、不動産を購入するにはその販売価格以外に様々な諸費用が発生します。
多くの取引で発生する代表的な費用としては、以下のようなものです。
--------------------------------------------------------
<不動産購入時に発生する、主な諸費用>
●印紙税
●登記費用(所有権登記費用・司法書士報酬など)
●住宅ローン借入費用(金融機関事務手数料・保証料など)
●火災保険料・地震保険料
●固定資産税・都市計画税の日割り分
●不動産取得税
●修繕積立基金(マンションの場合)
●仲介手数料(中古マンション購入などの場合)
--------------------------------------------------------
それぞれの金額は個別案件によって異なりますが、概ね数万円~百数十万円といった金額規模で、諸費用の合計額は数百万円が目安です。
たとえば、マンションの頭金100万円、残金を住宅ローンと考えていた場合、マンションの頭金とは別に、この数百万円分の諸費用を用意する必要があるというわけです。
さらに、マンション購入後は旧居からの引っ越し代や、家具・家電の新調なども重なりがちなことから、当初の想像以上に手元資金を使い切ってしまう事例が発生しやすくなっています。
マンション購入にかかる諸費用は高額になりますので、くれぐれもご注意ください。
冒頭で「毎月●●円の支払いでマンションを購入できます!」というセールスは危険とお話ししました。
その理由の一つは、マンションを購入すると賃貸生活では生じなかった「建物管理費・修繕積立金」「固定資産税・都市計画税」が発生するようになるからです。
「建物管理費」とは、マンションの日常的な管理・維持のため、マンション所有者が出し合う費用のことです。
賃貸マンションでの建物の管理・維持は原則として大家さんに責任がありますが、分譲マンションの管理・維持の責任は、マンション所有者である自分自身となります。
たとえば、「マンション管理会社へ支払う外注費」「共有部分の水道光熱費」「機械設備の点検・メンテナンス費用」「消耗品交換・軽微な共用部分の修繕費用」「共用部分に対する保険料(火災保険・地震保険など)」などはマンション所有者が自ら支出して、マンションの管理・維持に努めなければなりません。(実務上は、マンション所有者の代表者から組織される管理組合によって運営されることが一般的です)
「修繕積立金」とは、「建物管理費」とは別に徴求される、大規模修繕など特別なイベントに備える費用です。
当然ながらマンション建物も経年により劣化しますので、適切なタイミングで適切な修繕を行わないと、マンション機能が大きく損なわれ、ひいてはマンションの寿命や資産価値に悪影響を及ぼしてしまいます。
そうならないよう、一般的には概ね15年~20年のサイクルで、「外壁修繕」「屋上防水」「鉄部塗装」「機械設備交換」などを行うのですが、これの費用目安は数千万円~と、非常に高額となります。(大規模マンションでは億単位の費用となることも珍しくありません)
このように「建物管理費」「修繕積立金」はマンションの管理・維持に不可欠な費用であり、住宅ローンの支払いとは別に、毎月必ず支払う性質の費用となっているのです。
また、不動産を所有すると、所有する不動産の価値に応じて「固定資産税」「都市計画税」の支払いが毎年生じることになります。(マンション購入年度は、所有日数によって按分した金額を売主に支払いますが、二年目以降は全額をマンションの所在する市町村に支払うことになります)
これらを合算した費用規模は、購入するマンションの立地や規模、部屋の広さなどによって異なるものの、たとえば都内の家族3人で住む一般的なマンションとすれば、年間50万円~100万円程度が目安です。
仮に年間60万円とすれば、住宅ローンの返済とは別に、一ヵ月あたり5万円の支払いが生じることになりますので、十分注意してください。
なお、冒頭の「毎月●●円の支払いでマンションを購入できます!」について違う角度からも補足すると、最優遇金利(もっとも低金利で借りれた場合)が返済終了時まで続く仮定や、ボーナス払いを併用する仮定で作られた数字である可能性もあります。
ご自身の借入条件・試算前提とは異なることはよくありますので、その点もしっかり確認しておきましょう。
最後は、先ほどご説明した「建物管理費・修繕積立金」「固定資産税・都市計画税」は、いずれもマンション購入後に値上げしていく性質を持っている点に触れておきましょう。
かねてより改善すべきという風潮はありますが、販売時の営業事情によって「建物管理費・修繕積立金」は、新築当初の徴求額は敢えて低い金額で設定されているケースが大半です。
数年経って、建物管理会社との契約を更新しようとしたり、大規模修繕の具体的な計画を作り出すと、現行料金では契約更新できない、大規模修繕に必要な金額が足りないということが明らかとなります。
その結果、「建物管理費・修繕積立金」の毎月の徴求額を増やすか、不足分を一時金として徴求するかといったことになるケースが“当たり前”になっている現実があるのです。
背景にあるのは、前述したように少しでも毎月の維持費を安く見せて販売したいといった売り手側の営業事情が大きいものの、昨今では資材不足や人件費高騰による影響も重なり、値上げ幅も大きくなるケースが増えています。
また、「固定資産税・都市計画税」についても、多くの場合、購入後しばらくは軽減措置を受けることができますが、時間の経過によってこの軽減措置はなくなります。(増税されるわけではありませんが、軽減措置がなくなることで、実際の支払い額が増えることになります)
-------------------------------------------------------------------
<参考>国土交通省 新築住宅に係る税額の減額措置
-------------------------------------------------------------------
いかがでしたでしょうか。
このように、新築マンションの購入にあたっては、お金の面であらかじめ知っておくべき注意点があります。
せっかく購入したマンションに安心して住めるよう、十分に注意して資金計画を立てるようにしましょう。
Real Media メールマガジン登録完了
不定期(月1回程度)にてお役立ち情報のお知らせを
メルマガにてお送りさせていただきます
未来に向けての資産運用にご活用くださいませ。