ライフ

ライフ

共働きがスタンダードに!? 気になる世帯年収の目安はいくら!?

共働きがスタンダードに!? 気になる世帯年収の目安はいくら!?

共働きがスタンダードに!? 気になる世帯年収の目安はいくら!?

「共働き世帯は年々増加している」という話を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?
実際、著者の住む地域でも、入園倍率は幼稚園よりも保育園の方が高く、小学校のPTA活動でも仕事を理由に参加率が下がったという話をよく聞きますので、実生活においても、共働きのご家庭が増えていることを実感するシーンは少なくありません。
背景には、男性・女性双方の意識の変化や、育児休業や時短勤務など共働きを支援する制度の拡充・浸透などがあるとされています。
もちろん、共働きには賛否の意見があることは承知していますし、共働き世帯が増えていることを以って、それが正解だと論じるつもりはありません。
その一方で、共働き世帯が増えているという現実から、多くのご家庭が共働きに少なからぬメリットを感じている点もまた想像できることでもあります。

本稿では、日本では実際に共働きはどのくらい増えたのかを数字で確認しつつ、共働きのメリットについて、特に「お金」の観点から具体的な数字を見ていきたいと思います。

「そりゃあ、お金だけでいえば共働きの方がメリットあるでしょ」をもう少し深堀して、「共働きをすると、どんな・いくらくらいのメリットがあるのか」を一緒に確認していきましょう。

■共働き世帯の数は40年間で倍増した!

まずは、共働き世帯の推移を確認してみましょう。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が、総務省統計局などのデータを集計した公表データが存在します。
同機構のデータによると、1980年に約600万世帯だった共働き世帯は、2020年には1,240万世帯に倍増しています。
反対に、1980年に約1,100万世帯だった専業主婦世帯は、2020年に571万世帯に半減しており、単純計算すれば共働き世帯の割合は、約35%(1980年)→約68%(2020年)に増加したことが読み取れます。
ちなみに、共働き世帯が専業主婦世帯を初めて逆転したのは1990年頃。
その後、両者の割合はしばらく拮抗していましたが、2000年頃を境に差が広がり始め、2010年頃からその傾向は加速します。
2007年に施行された改正男女雇用機会均等法や2010年に施行された改正育児介護休業法の影響が考えられますが、こうした法律改正は今後も続くでしょうから(足元でも、育児介護休業法は2022年より段階的に更なる制度拡充が予定されています)、今後も共働き世帯の増加は止まらないと考えるのが自然かと思います。
なお、本稿でご説明した共働き世帯の推移は、以下のホームページに詳しく解説されています。関心のある方は本稿と合わせてご参照ください。
---------------------------------------------------
<参考>独立行政法人労働政策研究・研修機構
『専業主婦世帯と共働き世帯』
---------------------------------------------------

■共働き世帯では、世帯年収がいくら増えるのか?

そんな増加傾向が著しい共働きですが、では共働きによって得られるメリットを数字で確認してみましょう。
本稿では、もっとも影響が大きいであろう「企業などから支払われる給与」について、生涯の世帯年収がどのくらいアップするのかを試算してみます。
一般論として試算するうえでは、国税庁が公開している『民間給与実態統計調査結果』の平均給与が役に立ちそうです。
同調査によると、令和2年度の平均給与は、

・男性532万円、女性293万円

・正規496万円、非正規176万円

となっています。

※国税庁のホームページには詳細な調査結果が掲載されていますので、関心のある方は是非チェックしてみてください。
---------------------------------------------------
<参考>国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
---------------------------------------------------

この平均給与を生涯の平均年収と仮定して、30歳で結婚したご家庭が、60歳まで共働きをした場合をモデルケースに試算すると、結婚後の世帯年収の累計は24,750万円です。

・(532万円+293万円)×30年=24,750万円  --(a)

次に、結婚を機に女性が退職して専業主婦となる場合を2つ目のモデルケースに試算すると、世帯年収の累計は15,960万円です。

・(532万円+0円)×30年=15,960万円  --(b)

この2つの試算結果から、共働き世帯を続けるメリットは8,790万円の世帯年収増への期待ということになりますね。(あくまでも前提を置いたうえでの仮定値である点は重ねて強調させていただきます)

・24,750万円(a)-15,960万円(b)=8,790万円

また、3つ目のモデルケースとして、結婚を機に女性が非正規として働く場合も計算してみましょう。
非正規の平均給与は176万円でしたので、この場合の世帯年収の累計は21,240万円です。

・(532万円+176万円)×30年=21,240万円  --(c)

非正規への転換により平均年収は下がったとしても、専業主婦世帯と比べれば、なお5,280万円の世帯年収増への期待は残ることになります。(もっとも、結婚後は扶養の範囲内で働くことを希望する配偶者が増えるため、実際のメリットはもう少し小さいケースが多いのかもしれません)

・21,240万円(c)-15,960万円(b)=5,280万円

このようにいざ数字を並べてみると、やはり共働きによる世帯年収のアップは大きな金額規模となることを改めて感じますね。

■所得税や社会保険の観点からも共働きは優遇されている!

ほかにも、社会政策的に共働きは優遇されている点が多数あります。
その筆頭が、所得税の節税です。
日本の税制では、給与収入への課税率に「超過累進課税制度」が採られており、簡単にいえば、年収が上がるほど税率自体も上がるという仕組みです。
つまり、夫婦のどちらか一方が家庭を守り、もう一方が仕事に専念して高給取りを目指すよりも、夫婦で共働きをして給与収入を分散した方が適用される税率が低くなる可能性があるのです。
【出典】国税庁ホームページより

ほかにも、共働きであれば、一定条件を満たすことで勤務先の社会保険(厚生年金など)に加入することができます。
社会保険料の負担は生じますが、将来の年金受給額や万一の際の保障についても、やはり共働きの方が有利です。
さらに、子供のいる共働き家族であれば、産前産後休暇や育児休業中は働かずともお金が支給される恩恵を受けられますし、児童手当の給付要件は「世帯主」の年収が基準の一つとなっているため、やはり共働き世帯が有利です。
前述した金額の生涯年収のアップに加えて、こうした追加のメリットも多いことから、今後も共働き世帯は増加することが考えられます。
政府には、共働きを支援するいっそうの政策実現を期待したいところです。

RealMediaでは、毎週最新の記事をお届けするメールマガジンを配信しております。
ご希望の方はメールマガジン登録フォームからお申込み下さい。

このエントリーをはてなブックマークに追加

友だち追加

関連記事