資産運用
春は新生活、引越しのシーズン。
著者のところにも、「住宅(自宅)の購入を検討している」とのご相談が増える時期でもあります。
実際、ご相談者の不安や悩みは様々ですが、著者がアドバイスさせていただくうえで最初に確認するのは、「購入検討しようとしている住宅に、どのくらい住むつもりでいますか?」という点です。
もちろん何が正解・不正解という話ではありませんが、その答えによって、アドバイスさせていただく内容が大きく変わることもあります。
本稿では、これから住宅の購入を検討している方に向けて、
①購入予定の住宅は、短期住み替えが前提
②購入予定の住宅に、当面住み続ける予定
のパターンに分けて、住宅の購入時に注意すべき点を分かりやすく解説していきます。
まずは、短期住み替えを前提に、住宅購入を検討しているケースから考えてみましょう。
そもそも、「短期住み替えが前提であれば、購入よりも賃貸の方が無難ではないか?」と思われる方も多いかもしれません。
たしかに住宅の購入には高額なお金や色々な手間がかかりますので、短期間で住み替えを繰り返すのであれば、賃貸の方がお手軽なのは間違いありません。
それでも、敢えて短期住み替えを前提に購入を検討するには理由があり、なかでも「自宅を活用して資産運用をしたい」と考える人は近年増えています。
たとえば、以下のような資産拡大を狙うケースです。
<例>
・低金利の住宅ローンを活用して、5,000万円で自宅を購入
・住宅ローン控除によって、支払金利以上に所得税、住民税の還付を受ける
・3年間~5年程度を過ごした後、5,000万円以上で売却
→期間中の住居費が実質タダとなる(売値によっては実質プラスにも!)
・再度、住宅ローンを活用してこれを繰り返す
こうした方法で資産運用する人たちは“やどかり族”とも呼ばれます。
やどかり族については、以前こちらの記事でも詳しくご説明していますので、関心のある方は是非合わせて読んでみてください。
--------------------------------------------------------
<参考記事>
ヤドカリ投資を成功させるコツ!自宅は「負債」ではない!?
https://www.real-media.jp/article/419
--------------------------------------------------------
この方法を再現するには、好条件で住宅を購入し、数年後に高値で売却する必要があります。
そのため購入検討する住宅は、値上がりが期待できる人気物件や希少物件、あるいは再開発などによる伸びしろのある物件などに偏る傾向があり、個人的な事情や好みには目を瞑る覚悟も、ときには必要となるかもしれません。
また、何度も住宅ローンをお申込み、その都度に好条件で審査を通過する必要がありますので、ご自身の属性・収入を好条件で維持することも必要です。
たとえば転職を考えている場合(勤続年数は住宅ローン審査に影響します)や、住宅以外で大きな支出の予定がある場合などには、ご自身の今後のライフプランに照らして無理がないのか、慎重に検討する必要があるでしょう。
続いて、購入した住宅に当面住み続ける前提のケースを考えてみましょう。
このケースで意外と多いのは、「まだ売却のことまで考えていない(考えたくない)」という事例です。
たしかに、これから新居を購入して夢のある生活に思いを馳せるタイミングで売却を考えるのは無粋と感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ライフプランニングにおいて住宅購入は、影響の大きなイベントの筆頭です。
どのように出口を考えるかによって、住宅購入の判断軸は変わってくることもありますので、是非ご自身やご家族とじっくり考えてみることをお勧めします。
では、「ある程度長期間(十数年~数十年)住むつもり」の場合や、「“終の棲家”とするつもり」の場合には、どうでしょうか。
まず、売却の想定時期が十数年以上も先となれば、短期住み替えと異なり、現在の人気や希少性はアテになりませんし、そもそも住宅市場そのものの相場が今とは全く異なっていることも考えられます。
この場合には、個人的な事情や好みを優先して考えてもよいかもしれません。
また、住宅ローンや火災保険の条件も、返済・加入期間が長いほど影響は大きくなるため、様々な商品を比較検討することがより大事になります。
そしてなによりも注意すべきは修繕コストです。
新築であれ中古であれ、マンションであれ戸建てであれ、十数年以上住み続けるつもりであれば、まず途中で大規模な修繕が必要となります。
修繕の時期はケースバイケースですが、一般に主要な水回り設備(キッチン・風呂・トイレ・洗面)や壁紙・床材などは10年~20年が交換の目安です。
エアコンや給湯器などの電子機器もやはり同じようなサイクルで寿命が来ますし、木造住宅であれば、これらに加えて外壁や屋上などのメンテナンスも必要になります。
これら修繕にかかる金額は、一般に数百万円単位です。
購入した住宅に長期間住む場合、こうした修繕コストを含めて購入資金に無理がないのか、特に意識して計算しておきましょう。
Real Media メールマガジン登録完了
不定期(月1回程度)にてお役立ち情報のお知らせを
メルマガにてお送りさせていただきます
未来に向けての資産運用にご活用くださいませ。