資産運用

資産運用

東京への人口一極集中に異変!?東京の不動産投資はどうなる!?

東京への人口一極集中に異変!?東京の不動産投資はどうなる!?

東京への人口一極集中に異変!?東京の不動産投資はどうなる!?

東京の不動産投資といえば、地方や郊外に比べて利回り(投資金額に対するリターンの割合)こそ低い反面、圧倒的な賃貸需要に支えられた安定性は抜群で、手堅い投資を好む方や投資に慎重な方、あるいは大きな金額を投資できる資産家の方などから幅広く支持されてきました。(著者自身も東京と地方都市にそれぞれ収益不動産を複数所有していますが、やはり東京の安定感には疑いがありません)

しかし、いまそんな東京の不動産投資の安定性を揺るがしかねないとして、「東京都の転入超過数」が業界で話題となっています。
「転入超過数」とは、『他の都道府県からの「転入者数」から、他の都道府県への「転出者数」を差し引いた数』のこと。

これまで東京都では圧倒的に転入超過、つまり東京に来た人の方が多い状況が続いており、これが東京での不動産投資の安定性を支える屋台骨とされていました。
ところが、長引く新型コロナウィルスの感染拡大によって、リモートワーク・オンライン化の流れに歯止めがかからず、昨年から東京都の転入超過数に異変が起きているのです。

本稿では、東京都の転入超過数に何が起こったのか、そして東京での不動産投資の今後の見通しについて、ご説明していきます。

■東京都への人口一極集中にストップが!!

まずは事実の確認からということで、東京都の転入超過数の推移をデータで確認します。
総務省統計局の公表する『住民基本台帳人口移動報告』によると、東京都の転入超過数は2018年・2019年ともに8万人前後でした。

これが、2020年には約3万人まで急減、さらに2021年には約5,000人まで大幅に数字を落としています。
これだけでも驚きの結果ではありますが、2021年の集計ではさらに驚くべきデータが公表されました。

東京都のうち東京都特別区部(東京23区)に限れば、なんと転出超過に転じたというのです。(現在の集計を開始した2014年以降で初めてとのこと)
少なくとも2021年・2022年については、東京への人口一極集中にストップがかかった状況といえるでしょう。

※前述の各種データは、以下サイトから、より詳しい情報を確認できます。関心のある方は是非ご覧いただければと思います。
----------------------------------------------------------
【出典】総務省統計局 『住民基本台帳人口移動報告』より
----------------------------------------------------------

■東京都からの転出者はどこへ向かったのか!?

では、東京都(とりわけ東京23区)からの転出者はどこへ向かったのでしょうか。
同じく総務省統計局の公表する資料に、東京23区からの転出先の上位市町村の統計データがあります。


【出典】総務省統計局 『統計Today No.181』より

これによると、上位は横浜市・川崎市・さいたま市などの東京23区の周辺地域が占めており、新型コロナウィルス感染拡大後も人数に大きな変化は見られません。(敢えていえば、むしろ微増しています)

リモートワーク・オンライン化の流れを考えれば、もっと東京都心部から離れたエリアへの転出者が増えてもよさそうなものですが、完全に東京との往来がなくなったわけではないことや、新型コロナウィルス感染拡大の収束後には東京への通勤・通学が戻ることを想定している方が少なくないことが伺えます。

また、同じレポート内には東京23区からの転出者数について、前年増減率のデータもありました。
興味深い内容となっていますので、こちらにも触れておきましょう。

 
【出典】総務省統計局 『統計Today No.181』より


前年増減率では、2019年(新型コロナウィルスの感染拡大前)は、富士見市・柏市・三鷹市など東京23区に隣接するエリアが上位に登場していました。
2020年以降はその上位の市町村が大きく入れ替わり、茅ケ崎市・藤沢市・鎌倉市・上尾市など、やや東京都心部から距離のあるエリアへの転出者数も増えています。
もっとも、東京への日帰りは十分可能な範囲ではあり、やはり東京都心部へのアクセスは少なからず意識されていることが、こちらの数字からも伺えます。

■東京都での不動産投資は控えるべきか!?

本稿を執筆している2022年5月現在、新型コロナウィルスの感染拡大はまだ収束時期を見通せず、引き続きリモート・オンライン中心の企業や大学は多くあるようです。
今後、東京都への人口一極集中が復活するのか、このまま近隣エリアに人口が分散していくのかは現時点では分からず、当面は数字を注視していく必要があります。

では、今後の見通しが不明であれば東京の不動産投資は買い控えるべきでしょうか?
結論からいえば、現時点ではそこまで慎重になることはないと考えます。

東京都の転入超過数が大幅に減少したとはいえ依然プラスの水準にありますし、東京都からの転出者についても、多くの方は通勤先・通学先を意識して結局は東京都の近隣エリアに留まっており、潜在的な転入予備軍です。(東京23区に隣接する横浜市や川崎市などを含む“東京圏”でみれば、なんら問題ないともいえます)

実際、大手管理会社の公表値を見るかぎり、東京の収益不動産の空室率や家賃レンジに目立った悪化はありません。(2020年~2021年前半頃は空室率悪化の発表もありましたが、現在では概ね元の水準に戻っている模様です)
もちろん、検討する収益不動産に対する個々のリサーチは必要ですし、このご時世ですから入念に確認はすべきですが、少なくとも「東京の不動産投資」というだけで買い控えることまでは考えなくともよいと思います。

RealMediaでは、毎週最新の記事をお届けするメールマガジンを配信しております。
ご希望の方はメールマガジン登録フォームからお申込み下さい。

このエントリーをはてなブックマークに追加

友だち追加

関連記事