保険年金
現代では介護を必要とする人の人口が右肩上がりで増加しています。その理由には少子高齢化が一つの要因となっており、介護人材の不足も叫ばれています。
もちろん私たちにも介護状態になるリスクは大いにあります。介護状態になると、介護に必要な器具の購入やサービスの利用、施設への入居など、それまでの生活に比べてお金がかかることになります。
もし自分や家族が介護状態になってしまった時、急に支出が増えることを想像すると心配ですよね。そんな時のために私たちはお金を蓄えたり、民間の保険に加入して備えています。
では、私たちはどれくらいの確率で介護状態になるのでしょうか。今回は過去のデータをもとに私たちが介護状態になる確率を見ていきましょう。
【INDEX】 ■介護とは ■データで見る介護 ・年齢別介護認定される割合 ・男女での違い ・介護期間 ・介護状態になる原因 ■最後に |
それではまず、介護状態とはどのような状態のことをいうのでしょうか。
介護状態とは
『自分1人では日常生活を送ることができず、他人の助けが必要な状態』のことを指します。
これだけでは抽象的ですが、日本では社会保険のひとつである『介護保険』によって状態の段階ごとに介護状態が定義されています。
介護保険は全ての40歳以上の人が加入することになる社会保険のひとつで、保障としては介護に必要なサービス等にかかる費用の負担を軽減してくれるものなどがあります。
他人の助けがなくても日常生活を送ることができる状態を『自立』とし、他人の助けが必要な状態を7段階に分類しており、比較的軽度な状態から『要支援1・要支援2・要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5』とされています。
要介護5にまでなると、寝たきりの状態で日常生活の全ての面で他人の助けが必要な状態となります。
では、そのような介護状態になるリスクはどれくらいあるのでしょうか。
実際に過去のデータから私たちが介護状態になるリスクを見ていきましょう。
まずは、年齢に対して介護状態に認定される人の割合を見ていきましょう。
以下の図は各年齢に対する介護認定者の人数とその割合を表にしたものです。
参考:人口推計(令和4年3月)|総務省統計局
介護保険事業状況報告書(令和元年)|厚生労働省 より作成
先ほど説明した介護保険の被保険者が40歳以上ということもあり、やはり介護状態になる確率は高齢になればなるほど高くなります。ただ、40歳〜65歳でも介護認定される確率は非常に低く、75歳以上から急激に高くなることがわかります。
参考:人口推計(令和4年3月)|総務省統計局
介護保険事業状況報告書(令和元年)|厚生労働省 より作成
上記の図が先ほどの表をグラフにしたものです。
割合のピークは90歳で、2人に1人以上は介護認定をされていることになります。人数のピークは85歳〜89歳で、それ以降は亡くなってしまう方が多く、人数としては減少傾向にあります。
では次に、介護認定されている人数とその割合を男女での違いに着目して見ていきましょう。
以下の図は、男女別での各年齢における介護認定されている人数とその割合を表にしたものです。
参考:人口推計(令和4年3月)|総務省統計局
介護保険事業状況報告書(令和元年)|厚生労働省 より作成
男女の認定者割合を見てみると、40歳〜74歳あたりまでは大きな違いがありませんが、75歳以降は大きく割合の差が広がっています。
参考:人口推計(令和4年3月)|総務省統計局
介護保険事業状況報告書(令和元年)|厚生労働省 より作成
この違いは、男女での平均寿命の違いによります。男性に比べて女性の方が平均寿命が長く、高齢における人口が圧倒的に女性の方が多いことが原因です。90歳以降の人口を見てみると、男性が約67万人に比べて女性は193万人と3倍程度の人口があるため、介護認定者の人数にも差が出てきています。なので男性に比べて女性の場合は長生きすることで介護状態になるリスクも高まることが分かります。
介護状態が長引くと、必要なお金も比例して増えていきます。
なので次は介護状態になってしまった場合にはどのくらいの期間介護が必要なのかを見ていきましょう。
以下の図は、介護が必要になった期間の割合を表にしたものです。
参考:生命保険文化センター より作成
介護が必要になる期間を平均すると61.6ヶ月となり、約5年
程度の介護期間が平均的だということが分かります。ただ、10年以上が17.3%も占めているので、どのような経緯によって介護状態になるのかによって介護期間は大きく変動することになります。なので介護期間は大体何年間という感覚ではなく、10年以上介護することになる可能性もあるという風に考えておく必要があります。
自分が介護状態になる可能性があるのか不安。どんなことが原因で介護状態になるのか知っておきたいと思う方のために、最後に介護状態になる原因について見ていきましょう。
以下の図は、65歳以上の人が介護認定を受けた主な原因の割合を表にしたものです。
参考:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年) より作成
参考:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年) より作成
割合的にはほぼ満遍なく分布していますが、男性は『脳血管疾患』、『認知症』の割合が多く、女性に関しては『認知症』の割合が多くなっています。また、病気以外にも転倒などによるアクシデントが原因で介護状態になったケースや、高齢による衰弱というケースもあります。
今回は、介護状態になるリスクについて、過去のデータをもとに見てきました。
ポイントとしては以下のことが分かったかと思います。
・高齢になるほど介護状態になるリスクは高い
・男性に比べると女性は長生きするので介護状態になる確率が高い
・介護の期間は5年が平均だが、10年以上介護状態が続くケースもある
・介護状態になる原因は体の病気以外にも精神的な認知症、アクシデント、高齢による衰弱などがあり、どんな人にも介護状態になる可能性がある
介護は利用するサービスや期間にもよりますが、たくさんのお金を必要とします。
自分や家族が介護状態になった時のために一定の額の貯金を準備したり、民間の保険に加入する、収入を増やしておくなど、今からできる対策をしておきましょう。
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