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高速道路の渋滞が復活!高速料金の「無料化」はどうなった??

高速道路の渋滞が復活!高速料金の「無料化」はどうなった??

高速道路の渋滞が復活!高速料金の「無料化」はどうなった??

今年のお盆休みは、数年ぶりに新型コロナウィルスによる行動制限がないとあって、古里や行楽地で過ごす人たちの帰省ラッシュが本格化。

特にお盆休み初日となる8月11日には、各地の駅や空港は家族連れなどで賑わいを取り戻していましたね。

そして、こちらは有難くないことに、高速道路の渋滞も各地で復活。

東名高速や中央道などでは30km~40kmの長い渋滞が発生し、疲れ切った顔でインタビューに応じる人がテレビなどで報道されたのを見て、なんとなく懐かしい思いをした方も多かったのではないでしょうか。


ところで、高速道路といえば、「そもそも、高速料金の無料化の話はどうなった??」という話も思い出さずにはいられないところ。

元々、高速道路は、その建設費用(借入金)を高速料金で回収でき次第、順次無料開放されるはずでした。

しかし、近年では、首都高の新料金体系の導入やETC割引の改悪など、無料化どころか実質的な値上げが続いている有様です。

いったい、無料化の話はどうなってしまったのでしょうか?

本稿では、高速道路の無料化について、これまでの経緯と近年の状況について分かりやすくご説明していきます。

■「高速料金全国プール制」の導入で無料化は極めて困難に!!

冒頭にも書きましたが、当初、高速道路は、その建設費用(借入金)を高速料金で回収でき次第、順次無料開放されるはずでした。

ところが、1972年に当時の田中角栄内閣によって「高速料金全国プール制」が導入されたことで、この前提が崩壊することになります。

「高速料金全国プール制」とは、「高速道路を全国一本の道路として全体にかかる費用を全体から得られる料金収入で賄うという仕組み」のこと。

この仕組みによって、黒字路線の利益(借入金の返済原資)を他の路線の損失補填に回すことが可能となり、単独では採算性の合わない高速道路(不採算路線)の建設が増加するきっかけになったとされています。

たとえば東名高速など利用者の多い路線であっても、その利益は増え続ける別の不採算路線の損失補填に回ってしまうため、先行して東名高速だけが無料化されることにはなりません。

「高速料金全国プール制」の導入は、日本における高速道路の無料化を限りなく困難なものにしたと言われています。

■道路公団の民営化で一筋の光明は見え始めるも・・・!?

高速道路は、不採算路線の相次ぐ建設以外にも、既存路線の維持・管理コストが高すぎるという問題を抱えていました。

その対策として、2005年に道路公団が民営化されることとなります。

国土交通省によると、道路公団民営化の目的は以下3点とのこと。

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<民営化の目的>
①約40兆円に上る有利子債務を確実に返済
②真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期に、できるだけ少ない国民負担で建設
③民間ノウハウ発揮により、多様で弾力的な料金設定や多様なサービスを提供

【出典】国土交通省道路局 平成18年6月1日付
 『道路関係四公団の民営化について』より抜粋
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つまり、旧道路公団時代の課題であった「安易な不採算路線の建設」や「高すぎる既存路線の維持・管理コストの削減」によって、高速道路の無料化への道筋を改めて整理したものといえます。

そして、当時40兆円にも上るとされた高速道路建設に伴う借入金について、「民営化から45年以内(2050年)に債務を完済する」といったルールが設けられることとなります。


では、道路公団民営化の成果はどうだったのでしょうか。

民営化により、「NEXCO東日本」「NEXCO中日本」「NEXCO西日本」の3社が発足しましたが、そのうちNEXCO東日本から達成状況のレポート(※)が公開されています。

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(※)NEXCO東日本 『民営化の目的とその達成状況』
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同レポートによると、必要な区間の新規高速道路の建設は行いながら、サービスエリア・パーキングエリアの充実や東日本大震災の各種復興支援などもしっかり行いつつ、平成26年4月1日時点で有利子負債の残高は21.3兆円まで減少しているとのこと。

サービス向上と同時に確実に借入金の返済が進んでいることから、民営化の効果は確実に出始めており、高速道路の無料化への一筋の光明が見えたといえるかもしれません。

■老朽化した路線の維持・更新費用は巨額すぎた!!

では、道路公団の民営化によって、ゆっくりとでも高速道路の無料化に向かうかといえば、残念ながらそうはなりませんでした。

きっかけとなったのは、2014年に発生した笹子トンネル天井板落下事故です。

この事故では、中央自動車道上り線笹子トンネルで天井板のコンクリート板が約130メートルの区間にわたって落下し、走行中の車複数台が巻き込まれてしまうなど、大変痛ましい被害が発生してしまいました。

この事故を契機にして、老朽化したトンネルや道路などの維持・更新費用が大幅に見直しされ、その巨額な費用を賄うため財源確保のため、2014年には、債務完済を45年以内→65年以内に延長することが決定されるに至ります。

さらに、老朽化対策費用の膨らみを背景に、2021年には延長した65年以内の債務完済について、国土交通省が再延長の検討をしていることが報じられています。


こうして改めて経緯を整理していくと、日本における高速道路の建設には当初より様々な問題が含まれており、無料化は遠い夢物語のように思えてしまいますね。

そういえば、2010年の旧民主党政権時、高速道路無料化の社会実験が行われたこともありましたが、東日本大震災の発生により実験は凍結、そのまま自民党政権の復権があり、実験は立ち消えとなってしまいました。


もちろん、高速道路やトンネルを安心・安全に利用できることは大切なことですし、不採算路線のなかにも、地域経済に不可欠な路線もあるであろうことは理解できます。

しかし、無料化を前提にしていた割に、高速道路を取り巻く一連の動きは、あまりにも杜撰で場当たり的な印象は否めないとも感じてしまいます。

果たして、我々が現役のうちに高速道路の無料化は実現できるのでしょうか・・・

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