資産運用
不動産投資を始める際、不動産取引に関連する法令や商慣習の多さにビックリされる方も多いのではないでしょうか。
一般に不動産取引では非常に高額なお金が動くため、公平・公正な取引を確保するべく、民法などの基本法だけでなく、様々な業法によって厳しく、そして細かく取引ルールが定められています。
こうした法規制の多くは自らを守ることに繋がるとはいえ、不動産業界ならではの独特なルールも少なくなく、初心者の方には分かりにくいと感じることもあるでしょう。
また、不動産売買や不動産賃貸には、古くからの商慣習(既得権)もたくさん存在しており、これも不動産投資初心者の方を悩ます要因となっているようです。
こうした不動産業界の事情を体系的に学ぶには、不動産に関連する資格試験の学習がうってつけです。
本稿では、資格試験のなかでも、不動産業界の「3冠資格」「トリプルクラウン」と呼ばれる、3つの業界資格について、お話ししていきます。
気になる資格があれば、是非学習してみてください。
まずは、不動産業界の「3冠資格」の正体からお話ししましょう。
一般に、「①宅地建物取引士」「②管理業務主任者」「③マンション管理士」を3冠資格と呼び、3つ全ての資格を取得することを「トリプルクラウン」と呼びます。
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<不動産業界の3冠資格>
①宅地建物取引士
②管理業務主任者
③マンション管理士
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それでは、それぞれの資格について、解説していきましょう。
まずは、3冠資格のなかでも、最も有名で人気の高い「宅地建物取引士」です。
通称、「宅建」と呼ばれるこの資格では、不動産取引に関連する法令や商慣習、不動産の権利・義務関係などを広く学ぶことができます。
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<参考>
『一般財団法人 不動産適正取引推進機構』ホームページ
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さらに、重要事項説明などの独占業務や一定割合での事業所への設置義務などがあるため、就職・転職に有利な資格としても有名です。
もちろん、不動産投資の観点でも、不動産売買や賃貸に関する知識を広く学べるため、実践的で有用な資格といえます。
3冠資格のどれか1つを学ぶとすれば、まずは宅地建物取引士を選べば間違いないでしょう。
3冠資格の2つ目は、「管理業務主任者」です。
※資格名称に「・・・士」とは付いていませんが、立派な国家資格の一つです。(余談ですが、宅地建物取引士も2015年4月以前は「宅地建物取引主任者」という名称でした)
3冠資格のなかでは知名度は低いかもしれませんが、マンション管理業者にとっては特に重要な資格で、管理組合に対して行う重要事項の説明や管理事務の報告などは、管理業務主任者の独占業務とされています。
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<参考>
『一般社団法人 マンション管理業協会』ホームページ
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不動産投資の観点でいえば、収益物件に区分マンションを選び、かつ管理組合のメンバーとなるなどによって、積極的にマンション全体の管理に関わるスタイルの方には、特に有用な資格といえるでしょう。
現実問題として、賃貸専用で住民の参加がなく、管理に関心の低いオーナーが多い区分マンションの場合、マンション管理会社によっては十分な働きが期待できないケースも散見されます。
管理業務主任者の知識と資格があれば、マンション管理会社の不十分な対応・説明に対して指摘ができますし、問題の解決法を一緒に考えることもできます。
さらにいえば、区分マンション購入前に過去の総会議事録などを確認する際、マンション管理会社の関与度合いやマンションの抱える問題点を読み解く感度が上がり、“外れ”のマンションを購入するリスクを低減することもできるでしょう。
3冠資格の3つ目は、「マンション管理士」です。
一般に、3冠資格のなかで最も難関とされており、マンション管理組合の指導・サポートする際に活躍する資格です。
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<参考>
『公益財団法人 マンション管理センター』ホームページ
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管理業務主任者との違いとしては、管理業務主任者はマンション管理会社の立場にあることに対して、マンション管理士はマンション管理組合の立場にある点です。
もっとも、マンションの健全な管理運営という意味で両者の目的は一致しているため、資格を通じて学べる範囲には重複している部分が多くあり、不動産投資の観点でも、取得の有用性は管理業務主任者と近いものになるでしょう。
なお、不動産の3冠資格のうち最難関とされながら、マンション管理士には独占業務はありません。
また、管理業務主任者を取得した方のなかには、間をあけずにマンション管理士の試験に臨む方も多くいますが、試験範囲の重複による理由が少なからず影響していると言われています。
いかがでしょうか。
もちろん、こうした資格を取得したからといって不動産投資の成功が約束されるわけではありませんが、資格の学習を通じて得た知識は、不動産投資を続けるうえできっと役に立つはずです。
逆に言えば、不動産投資の観点でいえば、資格の取得そのものよりも、その学習過程に真価があるともいえます。
まずは、こうした資格の関連書籍を常備し、時間のあるときに斜め読みするなどから、始めてみてもよいかもしれませんね。
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