節税
2022年12月、税制改正大網が発表されました。
税制改正大網とは、翌年度の税制改正や新たな税制の方針について取りまとめたもので、税制に関する法律改正のたたき台でもあります。
今回の大網では、基本的な考え方として「貯蓄から投資へ」「成長と分配の好循環」「より公平で中立的な税制の実現」といった項目が掲げられていますが、私たちにはどんな影響があるのでしょうか。
今回は令和5年度の税制改正大網について、いくつか内容をピックアップして解説していきたいと思います。
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【INDEX】 ■今後の税制改正について ■最後に |
預金ではなかなかお金が増えない今、NISAなどの非課税制度を利用して資産運用を行っている方も多いと思います。
これまでのNISA制度では、一般NISAとつみたてNISAの併用ができず、非課税保有期間や投資上限額も限定的でしたが、今回の改正により口座開設期間の恒久化や非課税保有期間の無期限化、投資上限額の拡大などこれまでのNISA制度が大きく改善され、より活用しやすくなりました。
ただし上限なく投資できるという訳ではなく、一生涯にわたる非課税限度額は1,800万円までとなっています。
新NISA制度についてはまだ内容が確定していない部分もあり、実際の運用については確定した内容に合わせて将来を見据えた計画的な運用が大切です。
これから資産運用を始めるという方は、まずは余裕資金から無理のない範囲で始めるようにしましょう。
2013年のアベノミクス経済政策に伴う株式の資産価値上昇などにより、富裕層の世帯数は増加傾向にあります。
2025年からはこうした富裕層に向けての課税強化が予定されており、「1億円の壁」と呼ばれる現象の是正が狙いです。
通常、給与所得や事業所得は所得が高いほど税率が高くなる累進課税制度が適用されていますが、株式や投資信託などの金融資産によって得られる所得はどれだけ多くても約20%しか課税されません。
総所得が1億円を境に税負担率が減少している原因として、富裕層は金融資産によって得られる所得が多いことが考えられます。
出典:内閣府 「第19回税制調査会 財務省説明資料(個人所得課税)」
今回の改正では、年間の総所得が30億円を超える超富裕層が対象となり、総所得から3.3億円を差し引いた上で22.5%の税率をかけ、その額が基準所得税額を上回った場合に差額を納税するという仕組みになります。
岸田総理は「1億円の壁の打破」を打ち出していますが、金融所得課税の強化は市場への影響や結果的に税収の減少を招く可能性も考えられ、慎重な判断が求められます。
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今回の税制改正大網により、「相続時精算課税制度」と「暦年課税制度」の両方が見直されます。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子どもや孫への生前贈与について、2,500万円までは贈与税がかからず贈与を行うことができる制度です。
その後相続が発生した際に、贈与財産と相続財産を合算して相続税を納める制度ですが、通常この制度を選択した際には年間110万円までの暦年贈与を利用することができません。
しかし今回の改正により、相続時精算課税制度に新たに「年110万円の基礎控除」が創設され、相続時精算課税を選択した場合でも年110万円までは相続財産に加算されないこととなり、贈与税・相続税ともに非課税となります。
また暦年課税制度については、相続税の課税価格への加算期間が3年から7年に延長され、2024年1月以降に行われる贈与について段階的に適用されます。
ただし延長された期間(4年間)に受けた贈与のうち、総額100万円までは相続財産に加算しないこととされます。
空き家問題解消へ向けて、「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」が令和9年までの4年間延長されます。
昭和56年5月31日以前に建築された家屋で売却代金が1億円以下であることなど様々な適用要件がありますが、空き家を取得した相続人が一定期間内に売却した場合、その売却に係る譲渡所得金額から最大3,000万円を控除することができます。
ただし現行制度と異なり、相続人が3人以上いる場合は特別控除額が2,000万円に引き下げられるため注意が必要です。
実際には、相続した家をそのまま空き家として放置してしまう方は少なくありません。特例にも適用期限があるため、相続した家に住まない場合は早めに対策を検討しておきましょう。
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今回は、令和5年度 税制改正大網についてお伝えしました。
お伝えした内容以外にも、様々な税制改正や見直しが予定されており、中には私たちの生活に大きく影響するものも少なくありません。
税制度は景気や社会情勢に合わせて定期的に見直しが行われるため、日頃から情報収集や分からないことは必ず調べるようにしておきましょう。
その際、本記事の内容もご参考頂ければ幸いです。
※本記事は2023年5月時点での情報に基づいて執筆しております。
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