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不動産投資のご相談をお受けしていると、「非公開物件の紹介はできますか?」「非公開物件の情報は、どうやって探せばよいですか?」といったご質問を受けることがあります。
ここでの「非公開物件(未公開物件ということもあります)」とは、何らかの事情によって、その売買・賃貸情報がインターネットやチラシなどの市場に広く出回らず、限られた関係者の間だけで流通する物件のこと。
一部のインフルエンサー的な投資家さんが非公開物件を推奨していることや、一般には公開されていない特別感が、「非公開物件は儲かる!」といった期待を煽っているのだろうと思われます。
しかし、当然ながら非公開物件だからといって、必ずしも好条件な物件情報であるとは限りません。
それどころか、不動産投資初心者の方が闇雲に手を出すことで、“ババ物件“を掴まされる危険を上げてしまうこともあるのです。
本稿では、そもそも「非公開物件」とは何なのか、そして非公開物件を狙うメリットとデメリット(注意点)について、分かりやすく説明していきます。
「非公開物件」という言葉に明確な定義はありませんが、不動産投資の世界では概ね以下いずれかの物件情報を指すことが多いようです。
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<非公開物件>
①インターネット等で一般公開されていない物件情報
②売主が直接依頼した不動産業者だけが扱う物件情報
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順番にご説明していきましょう。
「①インターネット等で一般公開されていない物件情報」とは、一般の方が売却物件を探す際に利用する不動産売買のポータルサイトやチラシなどには情報が掲載されず、レインズ(Real Estate Information Network System)と呼ばれる不動産業者間でのみ使用する検索サイトにだけ情報が掲載された物件のことです。
不動産の売却先を自力で探すのは難しいため、多くの場合は不動産業者に媒介(仲介)を依頼しますが、媒介契約した不動産業者は、自社の既存顧客への紹介のみならず、前述したレインズや不動産売買のポータルサイト・チラシなどに情報掲載して、広く買い手を探す活動を行うことが一般的です。
しかし、実際には様々な事情によって、こうした広く情報公開した販売活動をしないケースが発生しています。
たとえば売主側に「売却を親族・知人に知られたくない」といった事情があるケースや、不動産業者が販売活動の手間やコストをかけてくれないケースはイメージしやすいことでしょう。
また、不動産業者が売主・買主の双方から成功報酬を得るため、売主には黙って販売活動を抑えるケースも根絶には至っておらず(関心のある方は『囲い込み』などのキーワードで検索してみてください)、不動産売買の実務では「①インターネット等で一般公開されていない物件情報」は特別珍しくもない程度には存在しています。
続いて、「②売主が直接依頼した不動産業者だけが扱う物件情報」ですが、これはレインズを含めて売却情報が一切掲載されていない物件のことです。
原則として、媒介契約を交わした不動産業者にはレインズへの登録義務が法令で定められているのですが、媒介契約の種類によっては抜け道が存在します。
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<媒介契約における取引の種類>
●一般媒介
・複数の不動産業者に売却依頼ができる
・自分で探した買主に売却することもできる
・契約期限の制限はない(3ヵ月を超える期間も可能)
・レインズへの登録は任意
・活動状況の報告は任意
●専任媒介
・複数の不動産業者に売却依頼ができない(同一契約期間中は1社のみ)
・自分で探した買主には売却することができる
・契約期限は最長3ヵ月まで(再契約は可能)
・レインズへの登録は7営業日以内
・活動状況の報告は2週間に1回以上
●専属専任媒介
・複数の不動産業者に売却依頼ができない(同一契約期間中は1社のみ)
・自分で探した買主にも売却することができない
・契約期限は最長3ヵ月まで(再契約は可能)
・レインズへの登録は5営業日以内
・活動状況の報告は1週間に1回以上
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一般媒介ではレインズの登録は任意、専任媒介・専属専任媒介でも5~7営業日の登録猶予期間があります。
従って、一般媒介で売却中の物件や売却開始から7営業日以内の物件は、「②売主が直接依頼した不動産業者だけが扱う物件情報」となる可能性があるということになります。(ほかにも売主物件など、レインズ登録が任意のパターンはいくつか存在しています)
このように、「非公開物件」とは媒介契約した不動産業者や売主側の事情によって生じるものであり、一概に「お得な物件」とはいえないことはご理解いただけたのではないかと思います。
とはいえ、敢えて非公開として販路を狭めて販売活動をすることにした不動産業者としても、売却自体が成立しなければ1円の報酬も得られないため、ある程度は「売れる自信(根拠)のある条件」としているケースは少なくないことでしょう。
また、売主事情で十分な販売活動ができないケースでも、売主との交渉次第では好条件で話が纏まる可能性もあるでしょう。
「非公開物件だからお得」とは言えませんが、「お得な物件が比較的紛れやすい」とはいえるのかもしれません。
その一方、そうした買い手側の心理に付け込んで、劣悪な条件の非公開物件を不動産投資初心者の方に売り込む、あるいは物件情報の詳細を教えない状態での決断を迫るといったトラブルも発生しているようです。
たとえば、本当は条件が悪く長期化売れ残っていた物件だとしても、非公開物件であれば「最近、売り出したばかりです!即決しないとすぐ売れてしまいます!」と言われても、まだ相場観のない初心者の方が気付くことは難しいこともあるでしょう。
不動産投資初心者の方が非公開物件を検討するのであれば、必要に応じて有識者・専門家への相談も検討した方が安全だといえるでしょう。
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