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耐用年数は商品寿命ではない!?不動産投資で注意すべきポイントとは!?

耐用年数は商品寿命ではない!?不動産投資で注意すべきポイントとは!?

耐用年数は商品寿命ではない!?不動産投資で注意すべきポイントとは!?

不動産投資をしていると、「耐用年数(法定耐用年数)」という言葉を耳にする機会があるはずです。

「この物件はRCで築●年だから、耐用年数が結構残っていますね!」とか、「この物件は古い木造なので、耐用年数超過だったりしませんか?」という具合です。

「耐用年数」自体は、不動産投資に限らず税務や会計に共通する言葉なのですが、聞き馴染みのない方からすれば、「その収益物件の商品寿命」をイメージするかもしれません。

しかし、詳しくは後述しますが、「耐用年数=商品寿命」というわけでは決してなく、そうした認識で収益物件の購入判断をすると、後で痛い目を見る羽目になるかもしれません。

少なくとも不動産投資でいえば、耐用年数の意味を正しく理解しておくことは、初心者であっても必須事項の一つだといえます。

そこで本稿では、不動産投資初心者の方に向けて、収益物件の購入検討をする際、耐用年数をどのように解釈し、どういった点に注意すべきかについて、分かりやすく説明していきます。

 

■耐用年数は構造・用途によって決まる!

まずは、そもそも「耐用年数とはなにか?」についてご説明しましょう。

耐用年数とは、所有する資産が「どのくらいの期間に渡って使用できるか」を一定のルールに則り定義した年数です。

後述する償却年数の根拠として用いられることから「法定耐用年数」と呼ぶこともありますが、不動産投資では、一般に「土地」「建物」に分けて考えるケースが多いため、本稿でもこの区分でご説明します。

まず、「土地」については、耐用年数の考え方はありません。

土地の上に建築された建物がいかに老朽化しようとも、土地そのものは老朽化するわけではなく半永久的に存在し続けるため、耐用年数の考えに馴染まないとされているためです。

一方の「建物」については、その構造・用途によって耐用年数が細かく決められており、ざっくりいえば、構造は「木造<鉄骨造<鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC・RC)」の順に、用途は「飲食店用<住宅用<事務所用」の順に、耐用年数は長く設定されています。

一般論として、木造よりはSRC造の方が頑丈ですし、飲食店よりは事務所の方が建物の劣化が少ないはずで、そうした要素が耐用年数に反映されていると理解すればよいでしょう。

不動産投資で最も多い用途であろう「住宅用」の場合、その構造ごとの耐用年数は以下のとおりです。

<建物(住宅用)の耐用年数

SRC・RC造 :47年

鉄骨造 :19年~34年(骨格材の厚みによる)

木造 :22年

さらに詳しく知りたい方は、以下の国税庁ホームページも合わせてご参照ください。

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<参考>国税庁ホームページ『主な減価償却資産の耐用年数表』

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

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■「耐用年数=稼働年数(建物寿命)」ではない!メンテナンスこそが重要!

では、このように決められた耐用年数は、不動産投資をするうえで、どのように解釈すればよいでしょうか。

まず、必ず理解しておくべきは、「実際の建物寿命と耐用年数は、まったく異なる」ということです。

RC造にしろ、木造にしろ、その建築技術やメンテナンス技術は日々進化していますし、ある程度メンテナンスされた建物であれば、耐用年数を大きく超えて稼働しているケースはいくらでもあります。(一説によると、SRC造のマンションなどはメンテナンス次第で100年~120年は稼働できるとされています)

そのため、不動産投資では、耐用年数をその収益物件の実稼働期間(商品寿命・建物寿命)として考える必要はなく、むしろ収益物件ごとのメンテナンス事情などに注意して購入判断すべきです。

たとえば、築20年と築30年の中古RCマンションについて、収益物件として購入検討していたとします。

取得資産が中古の場合、一般に簡便法と呼ばれる以下の計算式によって残りの耐用年数を計算します。

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<中古資産の耐用年数の計算式(簡便法)>

1 法定耐用年数の全部を経過した資産

その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数

2 法定耐用年数の一部を経過した資産

その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数

なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。

【出典】国税庁ホームページ 『No.5404 中古資産の耐用年数』

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm

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この計算式に当てはめると、

 築20年の中古RCマンション :(47年-20年)+20年×0.2=31年

 築30年の中古RCマンション :(47年-30年)+30年×0.2=23年

となるため、当然ながら築年数の新しい中古マンションの方が、耐用年数は長くなります。

しかし、実際に建物を比較してみるとよく分かりますが、築20年と築30年のRCマンションの違いは、築年数よりも大規模修繕などメンテナンスによる部分が大きく、収益物件としての稼働期間の長短は一概にいえません。

さすがに、新築と築30年を比べれば新築でしょうが、こと中古物件を購入検討するうえでは、耐用年数よりもメンテナンス状況を吟味した方がよいでしょう。

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■耐用年数は「減価償却」と「融資」に大きく影響する!

それでは、「不動産投資で耐用年数は気にしなくてよいか?」という話になりますが、残念ながらそうではありません。

不動産投資では、「減価償却」「融資」の2つのシーンにおいて、この耐用年数が非常に大切な要素となってきます。

まず、「減価償却」についてですが、収益物件を購入しても、その購入金額の全額を一気に経費化できるわけではありません。

不動産投資における減価償却は非常に奥が深いテーマのため、本稿では専門的な説明は割愛しますが、購入した収益物件のうち「建物」に該当する金額を「何年かけて・いくらずつ」償却していくかの計算に耐用年数を使用します。

毎年の償却額は経費計上できますので、結論だけいえば、取得する収益物件の建物金額(建物割合)と耐用年数によって、取得後の納税額に影響が出てくることになるのです。

もう1つの「融資」について。

多くの金融機関で、その収益物件の耐用年数を融資の必須条件、または重要な参考要素として取り扱っている現実があります。(耐用年数と実稼働期間は一致しないことは前述のとおりですが、融資判断をする金融機関の方は必ずしも不動産に明るいわけでもありません。融資審査の効率化のため、こうした割り切りをしているのだろうと推察しています)

そのため、一般論として、新築よりは中古の方が、築浅の中古よりも築古の中古の方が融資審査は厳しく、融資条件もよくない内容(金利が高い・返済期間が短いなど)となる傾向にあります。

不動産投資においては、耐用年数はこの2つのシーンに特に注意しましょう。

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