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先日、「楽天市場」等を運営する楽天グループから、過去最大級のサービス改訂が発表されました。
今回の改訂サービスは非常に多岐に及びますが、大まかにいえば、
・楽天市場の主要ポイントプログラムの大規模変更
・楽天プレミアムカードの主要サービスの廃止(一部変更)
というもの。
特に、後者の楽天プレミアムカードに関しては、同カードの目玉特典2つについて、2つ両方を廃止するものであったため、SNSでは大炎上している模様です。
本稿では、今回発表されたサービス改訂の内容について、日ごろネットショッピングをしない方にも分かりやすくご説明しつつ、今後注目すべき点についても触れていこうと思います。
まずは、今回発表のあったサービス改訂の内容を改めて確認しておきましょう。
1つは、「楽天市場の主要ポイントプログラムの大規模変更」です。
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<参考リンク> 楽天市場 『SPUの特典内容変更について』
https://event.rakuten.co.jp/campaign/point-up/everyday/point/notice/
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楽天グループを象徴する仕組みとして、「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」というポイント制度があります。
楽天グループの特定サービス利用するごとに、同グループの中核事業である楽天市場で買い物をした際に貰える「楽天ポイント」の付与率がアップする制度で、いわゆる楽天グループ経済圏を支える屋台骨とされてきました。たとえば、
・楽天トラベルで月5,000円以上の国内旅行などを利用すると、楽天市場での買い物に対して1%分(最大15,000ポイント)の楽天ポイントが貰える
・楽天ファッションアプリを利用すると、楽天市場での買い物に対して0.5%分(最大15,000ポイント)の楽天ポイントが貰える
といった具合です。
SPUの対象となるサービスには、他にも楽天カード、楽天ブックス、楽天銀行、楽天証券、楽天モバイル、楽天ひかりなど、ショッピングや旅行だけでなく、金融や通信まで多岐に渡ります。
日常生活で利用するサービスを楽天グループに集約するほど、倍々で楽天市場での買い物がお得になるという、楽天側にも、ユーザーにもWIN-WINの仕組みだったわけです。
SPUの対象やポイント付与率・上限は、これまでも随時見直しがされてはいましたが、今回のサービス改訂は、ほぼ全てのSPUを同時かつ大幅に改悪するものでした。
たとえば、先ほどご紹介した楽天トラベルや楽天ファッションアプリの利用では、いずれもポイント付与上限が15,000ポイント→1,000ポイントに大幅に引き下げとなりました。
他にも、楽天銀行の特定サービス利用では、ポイント付与率が1%→0.5%に半減、上限も5,000ポイント→1,000ポイントに引き下げとなるなど、全体的にSPUのメリットが激減する改訂内容で、SNSでは楽天グループ経済圏の崩壊への言及も目立つほどの衝撃をもって受け止められたようです。
もう1つは、「楽天プレミアムカードの主要サービスの廃止(一部変更)」です。
楽天プレミアムカードとは、年会費11,000円の有料クレジットカードで、他社のゴールドカード相当の位置づけとされています。(楽天ゴールドカードというクレジットカードもありますが、実質的にはプレミアムカードがゴールド相当です)
このカードには、
①楽天市場での買い物に対して2%分(最大15,000ポイント)の楽天ポイントが貰える(SPU対象の1つ)
②利用制限のないプライオリティパス(※)が無料発行できる
(※)国内外の空港で上級会員向けラウンジを利用できるサービス
という2つの強力なサービスがあり、ゴールドカードランキングなどでは常にトップを争うほどの人気を博していました。
今回発表されたサービス改訂は、①はサービス廃止、②は年間5回までの利用制限を設けるというものでした。
楽天側としてもユーザーからの猛反発は想定していたようで、専用の解約窓口を設け、年会費返金の体制を整えたうえでのサービス改訂発表としたようです。
年会費返金の受付は、2024年1月8日(月)23:59までとなっていますので、対象となる方は解約の検討を急いだほうがよさそうです。
今回のサービス改訂によって、楽天市場や楽天プレミアムカードだけでなく、楽天グループ経済圏全体に深刻な影響が出ることは、まず間違いないでしょう。
また、このサービス改訂の背景には、苦境が続く楽天モバイル事業の赤字補填、あるいは社債返還に伴う資金繰りの一環ではないかと目されていることから、少なくとも短期間でのサービス復活は期待薄と思われます。
そうなると、気になるのは競合他社の動向です。
楽天市場と競合していた、Amazonやヤフーショッピングが楽天市場のいわば“自滅”を見て、好機とばかりに積極的にシェアを奪いに来るのか、あるいは自社のサービス内容も見直しを図るのか(改悪するのか)は、注目の集まるところ。
(もっとも、直近のAmazonの世界戦略やヤフーショッピングを運営するソフトバンクの決算を見る限り、後者の可能性が高そうですが・・・)
あるいは、ECモール事業以外の楽天銀行・楽天証券・楽天トラベルなども、競争力を大幅に落とすことになりますので、これに競合する企業やサービスの動向も気になるところです。
先日、楽天モバイルがようやくプラチナバンドを獲得できた報道があったばかりですが、モバイルで採算の取れる規模までユーザー獲得するのが先か、楽天グループ経済圏が崩壊するのが先か、楽天グループもいよいよ正念場といえそうです。
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