節税
2023年も残すところ、一ヵ月を切りました。
この時期になると、そろそろ確定申告の準備を始める方も多いのではないでしょうか。
会社員の方であれば、会社が年末調整の手続きをしてくれるため、原則としてご自身で確定申告をする必要はありません。
しかし、会社員の方であっても年末調整ではなく、確定申告が必須となるケースが少なからずあります。
たとえば、給与年収2,000万円を超えた場合や、副業などの所得が20万円を超えた場合などには、ご自身での確定申告が必要となります。(詳しい条件は以下の国税庁ホームページを確認ください)
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<参考>
国税庁ホームページ タックスアンサー
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ところで、上記ケースは、確定申告を“しなければならない”人の条件であり、条件に合致した場合には確定申告をしなければなりません。
しかし、実は確定申告をしなくてもよいけれど、申告をしなければ“損をする”場合もあり、特に、会社員の方が該当する可能性が高いものは、「医療費控除」です。
本稿では、この「医療費控除」について分かりやすく解説しますので、ご自身に合致する場合には是非、確定申告することも検討してみてください。
医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日まで)の間に支払った医療費の合計額が一定額を超える場合に、所得税の減税を受けられる制度のことです。
ときどき誤解している方もいらっしゃるのですが、この医療費には自分自身の分だけでなく、生計を同一にする親族の分も合算して計算することができます。(たとえば、夫婦・子供2人の4人家族であれば、原則として4人分の医療費を合算できます)
医療費控除の計算式は少し複雑ですが、以下のように計算します。
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<医療費控除の計算式>
医療費控除額(上限200万円) =医療費の合計額-(1)-(2)
(1)保険金などで補てんされる金額
→生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで
支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など。
但し、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引くため、
引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引かない。
(2)10万円または総所得金額等の5%のいずれか低い金額
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一般に、「医療費控除は10万円を超えると使える」と説明されることが多いのですが、上記のとおり実際にはその方の所得によるため正確ではありません。(総所得金額等が200万円以下の方は、医療費の総額が10万円以下であっても受けられる可能性があります)
また、ここでの「医療費」とは“実際にその年に支払った金額”であり、未払いの医療費を含みません。(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります)
もう1つ、医療費控除は、セルフメディケーション税制と併用できない点についてもご説明しておきましょう。
セルフメディケーション税制とは、医療費控除の特例です。(「通常の医療費控除」と「セルフメディケーション税制」といったように両者を区別した表現を使うこともあります)
制度導入の背景には、症状の軽い場合などには医療用医薬品と同じ成分を含んだ市販のOTC医薬品を活用して健康管理を行うことで、医療費を減らそうという意図があるとされています。
セルフメディケーション税制の適用条件は以下のとおりです。
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<セルフメディケーション税制の適用を受ける条件>
・健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組(※)を行っている方が、
(※)一定の取組とは、
①保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
②市区町村が健康増進事業として行う健康診査
③予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
④勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
⑤特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
⑥市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
・1年間(1月1日~12月31日まで)の間に購入した特定一般用医薬品等(※)の合計額が12,000円を超える場合(上限88,000円)
(※)特定一般用医薬品等とは、
医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで
購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)等
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セルフメディケーション税制においても、自分自身の分だけでなく、生計を同一にする親族の分も合算して計算することができます。(申告する方と生計を一にする親族の方は「一定の取組」を行っている必要はありません)
制度主旨からすれば、通常の医療費控除と併用させてくれてもよい気もしますが、前述のとおりどちらかを選択することになっていますので、両方の条件に合致する方はどちらを使うべきか是非比べてみましょう。
「医療費控除」「セルフメディケーション税制」は、どちらも確定申告しなければ控除を受けることができません(所得税が減額されません)が、物価高が続く昨今、確定申告するだけで実質的にお金が増える可能性がある制度は貴重です。
是非、ご自身が医療費控除の対象とならないか、確認されてはいかがでしょうか。
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