節税
2024年3月、仮想通貨の代表格であるビットコインが一時1コインあたり6万9,000ドル(約1,035万円)を超え、約2年4か月ぶりに史上最高値を更新しました。
これまでの最高値は2021年11月に付けた6万8,999ドルですが、昨年10月以降約160%上昇し、そのうちの44%は今年の2月に上昇しています。
仮想通貨とはデジタル通貨の一種で、円や外貨のように目に見えるものではなく紙幣や硬貨は存在しません。しかしインターネット上でモノやサービスの対価として使用したり、取引所を通じて円やドルなどの通貨と交換することができます。
代表的な仮想通貨はビットコインで、他にもイーサリアムやリップル、モナコインなど様々な種類があり、実際には2万種類以上の仮想通貨が存在するといわれています。
また仮想通貨は現金や電子マネー等と違って、発行体があったり価値が保証されている訳ではなく、銘柄ごとに日々価格変動するのも特徴です。
需要と供給のバランスによって常に市場価値が変動しているため資産運用として投資対象にもなっていますが、その他の金融資産と同じように利益に対しては所得税と住民税がかかります。
今回はこのような仮想通貨について、利益が出た際の税金を所得税の仕組みを踏まえ解説していきます。
【INDEX】 ■所得は10種類に分けられる ■仮想通貨で利益が出たら雑所得 ■最後に |
はじめに所得税とは個人の所得に対してかかる税金で、1/1~12/31までの一年間に得た所得から所得控除を差し引いた課税所得金額に税率をかけて計算します。
所得は収入から必要経費を差し引いたものですが、性質により以下10種類に分類されます。
・利子所得 ・配当所得 ・不動産所得 ・事業所得 ・給与所得 ・退職所得 ・山林所得 ・譲渡所得 ・一時所得 ・雑所得 |
課税所得金額は、上記所得から基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、生命保険料控除など該当するものを差し引いて算出します。
最終的に所得税額は、所得控除を差し引いた課税所得金額に以下の税率を適用して算出します。
<所得税の速算表>
課税される所得金額 |
税率 |
控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで |
5% |
0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで |
10% |
97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで |
20% |
427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで |
23% |
636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円 以上 |
45% |
4,796,000円 |
所得税は超過累進課税制度のため、所得が多くなるにつれて段階的に税率が高くなるのが特徴で、課税所得金額に応じ5%~最高45%の税率が適用されます。
なお基本的には各所得金額を合計して総所得金額を求める総合課税が原則ですが、山林所得、不動産・株式などの譲渡所得については分離課税として総合課税とは分けて計算されます。
所得税の仕組みを踏まえた上で、仮想通貨の取引で得た利益は税法上「雑所得」に分類されます。
雑所得とは9つの所得いずれにも該当しない所得のことで、具体的には公的年金や個人年金保険の受取り、副業で得た収入、印税や講演料などが該当します。
他の所得との違いとして、特別控除がないことや赤字の繰越ができないこと、総合課税以外の所得と損益通算ができないことが特徴です。
年末調整を受けたサラリーマンは、原則として給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要とされていますが、ビットコインなどの仮想通貨で大きく利益が出た場合はどうでしょう。
例えば、給与所得300万円の人が仮想通貨で100万円の利益を出したとすると、所得税率は10%から20%へ大幅にアップし支払う所得税額は倍増します。(※各所得控除額は考慮していません)
仮想通貨は保有しているだけでは税金はかかりませんが、売却をして利益を確定すると、場合によっては確定申告で多額の納税が必要になりますので注意が必要です。
今回は、所得税の仕組みをはじめ仮想通貨の取引にかかる税金についてお伝えしました。
仮想通貨は現金取引にはない多くのメリットや将来性が期待される反面、投資対象としてはデメリットもあります。
特に価格の変動が激しく、短期間で大きな損失を抱えてしまうケースもあり、特にレバレッジ取引では価格変動リスクが大きくなります。
他にも投資詐欺や盗難、ハッキングのリスクがあり、2018年にはNEM(ネム)という仮想通貨約580億円が流出する事件も発生しています。
これから仮想通貨への投資を検討している人は、市場の基本的な仕組みや売買方法、アカウント管理、セキュリティ対策などを理解・徹底した上で始めるようにしましょう。
また生活防衛資金は必ず確保した上で余剰資金で行うこと、大きな資金を一括投資するのではなく少額から始めること、リスク分散として証券、保険、不動産など他の資産にも分散投資をしておくことが大切です。
仮想通貨は従来の通貨とは全く違う機能や性質を持っており、将来的には現金に代わる新しい金融システムとなりうる可能性もあります。今のうちから情報収集をして理解を深めておきましょう。
※本記事は2024年3月時点での情報に基づいて執筆しております
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