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2022年4月から高校の授業で金融経済教育が始まって早二年、近年ますます金融リテラシーの重要性が高まっています。
金融リテラシーとは、経済的に自立し、より良い生活を送るために必要な金融・経済に関する知識や判断力のことをいいます。
日常生活では多くの場面でお金が必要となり、生きていくためにはお金が必要不可欠です。正しいお金の知識である金融リテラシーを身に付けることによって、適切な家計管理や将来に必要なお金の準備、万が一や緊急時への備え、金融トラブルに対する被害防止など様々な場面で多くの利点があります。
では私たちが身につけておくべき金融リテラシーとはどのようなものでしょうか。
今回はこのような金融リテラシーについて、その内容や具体的に身に付ける方法などをお伝えしていきます。
【INDEX】 ■最低限身に付けるべき金融リテラシーとは ■金融リテラシーの身に付け方 ■最後に |
金融庁は2012年に「金融経済教育研究会」を設置し、2013年4月に公表した報告書の中で「生活スキルとして最低限身につけるべき金融リテラシー」を示しました。
最低限身に付けるべき金融リテラシーの内容は、「①家計管理」「②生活設計」「③金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択」「④外部の知見の適切な活用」の4分野・15項目に分かれます。
<最低限身に付けるべき金融リテラシー>
① 家計管理 (1)適切な収支管理(赤字解消・黒字確保)の習慣化
② 生活設計 (2)ライフプランの明確化及びライフプランを踏まえた資金の確保の必要性の理解
③ 金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択
【金融取引の基本としての素養】 (3)契約にかかる基本的な姿勢の習慣化 (4)情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できる 者であるかどうかの確認の習慣化 (5)インターネット取引は利便性が高い一方、対面取引の場合とは異なる注意点があることの理解
【金融分野共通】 (6)金融経済教育において基礎となる重要な事項(金利(単利、複利)、インフレ、デフレ、為替、リスク・リターン等)や金融経済情勢に応じた金融商品の利用選択についての理解 (7)取引の実質的なコスト(価格)について把握することの重要性の理解
【保険商品】 (8)自分にとって保険でカバーすべき事象(死亡・疾病・火災等)が何かの理解 (9)カバーすべき事象発現時の経済的保障の必要額の理解
【ローン・クレジット】 (10)住宅ローンを組む際の留意点の理解 ①無理のない借入限度額の設定、返済計画を立てることの重要性 ②返済を困難とする諸事情の発生への備えの重要性 (11)無計画・無謀なカードローン等やクレジットカードの利用を行わないことの習慣化
【資産形成商品】 (12)人によってリスク許容度は異なるが、仮により高いリターンを得ようとする場合には、より高いリスクを伴うことの理解 (13)資産形成における分散(運用資産の分散・投資時期の分散)の効果の理解 (14)資産形成における長期運用の効果の理解
④ 外部の知見の適切な活用 (15)金融商品を利用するにあたり、外部の知見を適切に活用する必要性の理解
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出典:金融庁 金融経済教育研究会「最低限身に付けるべき金融リテラシー」より
近年では投資詐欺をはじめ偽メールや偽サイトを経由したフィッシング詐欺、オレオレ詐欺、還付金詐欺など手口も多様化しており、高齢者だけでなく低年齢の詐欺被害も増えています。またキャッシュレスで使用できる電子マネーやビットコインなどのデジタル通貨も普及し、今後ますます金融リテラシーの重要性は高まっていくでしょう。
金融庁では、効率的・効果的に金融リテラシーを身に付けていくために各年齢別においての教育内容「金融リテラシー・マップ」を公表しています。
<年齢別・分野別の教育内容>
●小学生 お金にかかわって徐々に経験・知識・技能を身に付ける段階。 買い物、こづかい、お年玉、手伝いなどの体験を通じて、お金や社会・経済に関心を持ち、主体的に考え、工夫し、努力する態度を身に付けるなど、社会の中で生きていく力の素地を形成することが望まれる。
●中学生 経済や金融と生活のかかわりについて基礎的な理解を形成し、将来の自立に向けた基本的な力を養う時期。 こづかい管理や買い物の経験も増え、行動が広がり、家計や生活設計について理解できる。
●高校生 社会人として自立するための基礎的な能力を養う時期。 生涯を見通した生活設計の重要性や社会的責任について理解できる。
●大学生 社会人として自立するための能力を確立する時期。 金融経済に関する理解を深めること、価値観を形成し自ら行動すること、社会的責任について自覚することが求められる。
●若年社会人 生活面・経済面で自立する時期。 社会人としての責任も担いはじめる。
●一般社会人 社会人として自立し、本格的な責任を担う。 ライフスタイルや価値観は多様化しているが、自分自身のほか、家族や周囲への責任も重くなり、住宅・教育・老後資金の準備や支出が必要となることが多い。将来に向けた資産形成を本格的に行う時期。
●高齢期 定年退職者や年金生活者を主に想定。 年金収入や金融資産の取り崩しが生活費の主な源となる。 周囲の人(家族など)に資金面などで支援するケースも、周囲の人に介護などで支援されるケースも想定される。
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出典:金融経済教育推進会議「金融リテラシー・マップ(2023年6月)」より
こうした金融リテラシーの身に付け方・高め方として、学校の教育課程以外にも以下のような方法が挙げられます。かけられる時間や予算等を踏まえて自分に合った方法を選んでみましょう。
・インターネットや書籍から習得
・金融セミナーや講演会への参加
・専門家や専門機関へ相談
・金融業界への就職、実務経験を積む
・株式、投資信託など実際に売買取引を行う
・家計簿をつけて家計の収支を把握する
今回は、金融リテラシーについてお伝えしました。
金融リテラシーに似た言葉として、金融ケイパビリティというものがあります。
金融ケイパビリティとは、簡単にいうと金融に関連する行動のこと。知識やスキルの習得だけでなく、金融への自信や向き合う姿勢、それらが実際に活用された結果としての金融面の前向きな行動で構成されるものと定義されています。
日本でも少しずつ定着しつつありますが、欧米ではさらに一歩踏み込んで金融リテラシー以上に重視されているのが金融ケイパビリティです。
今後は金融・経済についての知識はもちろんのこと、そこからさらに知識を活用していかに金融行動に繋げるか、そしてそれを未来の子供たちへしっかり伝えていくことが重要になってきます。
※本記事は2024年4月時点での情報に基づいて執筆しております。
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