資産運用
皆さんは信用保証協会を利用したことがあるでしょうか?
信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき、中小企業や小規模事業者(個人事業主等)の円滑な資金調達を支援することを目的に設立された公的機関です。
一般に、中小企業や小規模事業者が金融機関に融資相談する際、まだ信用力が足りなかったり、提供できる担保が足りなかったりで、必要な金額の融資を受けられないことが多々発生します。
こうした場合に、金融機関の信用評価と事業者の資金需要のギャップを埋めてくれる存在が信用保証協会です。
不動産投資でも、投資家自身の実績・信用力不足や、購入したい収益物件の担保評価が足りない場合などに信用保証協会を利用する機会は多く、効率的な資産規模拡大には欠かせない存在といえます。
しかし、信用保証協会にはメリットだけでなくデメリットも存在するため、実際の利用にあたっては、十分な注意が必要です。
本稿では、これまで信用保証協会を利用したことがない方や、これから利用を検討している方に向けて、その仕組みやメリット・デメリットについて分かりやすくご説明していきます。
まずは、信用保証協会の仕組みついて、不動産投資での活用事例を用いて簡単にご説明しておきましょう。
以下は、信用保証協会を利用する際のおおまかな流れです。
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<信用保証協会利用時の流れ>
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(1)について、収益物件を購入したい投資家は、まず金融機関に融資相談をします。
金融機関は「自行だけで融資検討できそうか」に加えて、「信用保証協会付きなら融資検討できそうか」という観点でも、相談内容を精査します。(投資家自ら「信用保証協会の利用も含めて検討してほしい」と申し出ることもできます)
ここで、金融機関が後者の判断をした場合、投資家に意思確認のうえ、(2)のとおり信用保証協会に保証依頼をします。
その後、(3)のとおり信用保証協会にて所定の審査を行い、金融機関に保証の可否や保証の条件が回答されます(信用保証協会が保証NGの場合、そこで融資検討は終了となるパターンが多い)
そして、(4)のとおり金融機関はこの結果を投資家に伝え、保証OKかつ保証条件に投資家が承諾すれば改めて金融機関関で審査を行い、最終的な融資可否が決まるという流れです。
また、万一、保証協会付となった融資の返済が滞った際には、金融機関は保証協会に対して保証を求め、信用保証協会は所定の保証額(80%~100%の範囲であることが多い)を金融機関に支払い、その分は改めて保証協会が投資家に求償する、といった仕組みとなっています。
これが信用保証協会の大まかな仕組みなのですが、合わせてよく誤解されることの多いポイントを2点補足しておきましょう。
1点目は、「信用保証協会が保証可能な場合でも、改めて金融機関で審査をすること」です。
信用保証協会による保証は大きなプラス要素にはなるでしょうが、だからといって金融機関の審査が必ずOKとなるわけではありません。
著者の知る範囲でも、「保証協会の保証があるのに金融機関で審査NGだった」という事例はありますので、この点は誤解しないようにしましょう。
2点目は、信用保証協会の保証は代位弁済に過ぎず、有事の際に残債が免除となるわけではないことです。
前述のとおり、信用保証協会は代位弁済した金額について、後に投資家本人に求償することになり、この点は団信による債務免除とは根本的に異なる点に注意しましょう。
次に、信用保証協会を利用するメリット・デメリットを確認してみましょう。
まずメリットとしては、これまでの繰り返しにはなりますが、本来受けられない融資が受けられる可能性が高まることです。
信用保証協会が融資額の一定程度を保証することで、金融機関の貸し倒れリスクが軽減されるため、投資家にとっては融資のハードルが下がることは間違いありません。
逆に、デメリットとしては「信用保証料の支払い」があります。
信用保証料とは、信用保証委託に応ずる対価であり、投資家本人が全額負担することになっています。(保証料率は投資家自身の財務状態や担保によって異なります)
本来発生する金融機関への金利支払いや事務手数料等に加えて、投資家は信用保証料の負担も加わることになりますので、この点は明確なデメリットでしょう。(場合によっては、金融機関側が負担分の一部を金利で調整してくれることもありますが、それでも支払総額は高額になる傾向にあります)
また、審査が信用保証協会・金融機関のそれぞれで行われるため、その分審査期間は長くなりがちです。
不動産投資では、「早く融資承認が出た人に売ります」といった競合のある案件も多いため、そうしたケースでの活用にはデメリットとなることもあるでしょう。
いかがでしょうか。
たしかにデメリットもありますが、上手に使えれば信用保証協会は不動産投資の規模拡大の強い味方です。
金融機関との融資相談時、一つの交渉カードとして活用してみるのもよいでしょう。
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