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健康保険証の廃止まであと2ヵ月!今後の医療機関受診はどうなるの?

健康保険証の廃止まであと2ヵ月!今後の医療機関受診はどうなるの?

2024年12月2日以降、健康保険証の新規発行が停止され、マイナンバーカードを使った保険証利用(以下、「マイナ保険証」)が基本となる仕組みに移行することをご存じでしょうか? また、既に発行済みの健康保険証についても、最大1年間の経過措置を経て「利用不可」とする方針が示されています。 これにより、2025年12月2日以降は、すべての健康保険証が使用できなくなります。 しかし、マイナンバーカードに関しては、現在も多くの課題が解決されていない状況です。 特にマイナ保険証に関しては、その利用率が本稿執筆時点で10%程度に留まっており、多くの国民がマイナ保険証の利用を拒んでいる、あるいは控えめに言っても「必要ではない」と考えていることが伺えます。 そもそも、私たち「国民=利用者」にとって、現行の健康保険証を廃止してまでマイナ保険証に切り替えることには、どんなメリットがあるのでしょうか?(あるいは、どんなデメリットがあるのでしょうか?) 本稿では、この点について分かりやすくご説明していきます。

 

マイナ保険証利用による4つのメリットとは!?

まずは、マイナ保険証の利用によるメリットについて見ていきましょう。 厚生労働省によると、マイナ保険証を利用することで、以下の4つのメリットがあるとされています。

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<マイナ保険証利用のメリット>

①データに基づくより良い医療が受けられる →過去に処方された薬や特定健診などの情報を医師・薬剤師にスムーズに共有できる

②手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される →「限度額適用認定証」がなくても、窓口負担を上限額に抑えることができる

③マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできる →e-Taxに連携すれば、確定申告時の医療費控除申請がカンタンになる

④医療現場で働く人の負担を軽減できる →過去に処方された薬や特定健診などの情報共有や保険資格の情報確認の負担が軽減される

【参考】マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット

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しかし、①と④について、一部報道では「マイナ保険証は面倒ばかり」といった医療関係者の声を聞くこともあります。 たとえば、従来の月1回の健康保険証確認に代えて、マイナ保険証では専用カードリーダーによる顔認証(または暗唱番号認証)が受診都度に必要となるため、機器の操作説明や認証失敗時の対応に追われ、むしろ負担が増えたという声もあるのです。 実際の医療現場で本当に有効活用されているのか、本当に負担軽減に繋がっているのかは、今後のしっかり検証する必要があるでしょう。 また、②と③についても、医療費控除の確定申告や高額療養費の限度額を超えた支払いをするシーンはそもそも限定的ですし、仮に利用するシーンがあっても、e-Taxを使っていない人や、クレジットカード決済をする人には何の恩恵もありません。 実際にこれらのメリットを活用できる方は、相当に少数だと思われます。 もちろん、これら4つのメリットに価値を感じる方、実際の利用シーンが想定される方にとっては、マイナ保険証は便利なものだと思います。 しかし、現状の利用率を見ても、大多数の国民には直接関係の薄い、僅かなメリットでしかないと見えているのかもしれません。

 

マイナ保険証利用によるデメリットとは!?

では逆に、マイナ保険証利用のデメリットには、どんなものがあるでしょうか? 本稿では4点、ご説明したいと思います。

紛失・盗難リスクの増加

1点目は、紛失・盗難リスクの増加です。 もちろん、現行の健康保険証でも紛失や盗難のリスクはありますが、マイナ保険証はマイナンバーカードと一体化しているため、危険に晒される情報の量や範囲が広がります。 また、現状ではマイナンバーカードの再発行には1~2ヵ月程度かかるため、再発行に時間がかかる点もデメリットといえるでしょう。(ただし、再発行期間の短縮化が進められており、今後解消される可能性もあります)

セキュリティリスク

2点目は、マイナンバーカード自体のセキュリティリスクです。 マイナンバーカードは、センシティブな個人情報を多く含むため、一体化することで、紛失や盗難だけでなく、さまざまなセキュリティリスクが高まることは避けられません。 たとえば、最近報道された「個人情報の紐づけ不備」の問題や、不正アクセスへの対策も、まだ完全には解決していない状況です。

電子証明書の有効期限

3点目は、「電子証明書の有効期限」です。 現行の健康保険証、例えば協会けんぽが発行するものは、退職や死亡、あるいは75歳に達するなどの特定の条件がない限り、有効期限がありませんでした。 しかし、マイナ保険証には5年間の「電子証明書の有効期限」があるため、利用者は定期的に更新手続きを行わなければなりません。 また、マイナンバーカード自体の有効期限は10年間であるため、更新期限が分かりにくく、注意が必要です。

受信手続きの負担増加

4点目は、受診手続き時における利用者の負担増加です。 今まで月に1度、健康保険証を手渡しするだけで終わっていた手続きが、受診都度に専用カードリーダーによる認証を行い、情報提供の同意有無を選択することとなるため、利用者の負担増加は明らかです。(前述のとおり、医療現場の負担軽減効果は未知数ですが、利用者の負担増加は間違いありません) そもそも医療機関を受診するということは、利用者は高熱や怪我などで心身疲弊した状態であることも多いはずですし、そうでなくともデジタル機器の操作に不慣れな方は多くいらっしゃいます。 医療機関の受付で、認証待ちの長い行列が出来るなんてことにならなければよいのですが・・・。

 

2025年12月2日以降は、マイナ保険証または「資格確認書」が必須に!

では、マイナ保険証のメリット・デメリットを考慮し、現行の健康保険証を引き続き利用したいと考えた場合、どうすればよいでしょうか? 短期的には、2025年12月1日までの間、経過措置として現行の健康保険証の利用が認められています。 但し、何らかの理由で健康保険証の返納や再発行が必要となった場合、新規発行は2024年12月2日から停止されるため、経過措置期間中でも健康保険証を利用できなくなるケースが発生する可能性があります。 では、2025年12月2日以降はどうなるのでしょうか? 結論として、健康保険証を継続利用する手段はなく、代わりに「資格確認書」という、ほぼ同じ機能を持つ書類が必要になります。 資格確認書については、政府の方針が変動していますが、現時点での情報は以下の通りです。

  • 記載事項は現行の健康保険証に準拠
  • 無料で提供、有効期限は5年以内
  • 医療機関・薬局への過去の薬剤情報の提供は不可
  • マイナ保険証利用時よりも受診料は高額とする

このような制度を新設するくらいなら、現行の健康保険証か、マイナ保険証かを自由に選択できれば良いと思うのですが、現実的にはそれではマイナ保険証の利用が進まないため、このような形に収まったのでしょう。 壮大な税金の無駄遣いとならぬよう、イチ国民としては願うばかりです・・・。

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