節税
新年早々の改悪!2025年は国税の支払方法に要注意です!!
2025年が明けると同時に、多くの中小事業者や個人事業主を驚かせるニュースが飛び込んできました。
国税の支払方法に関するルール変更です。
具体的には、近年利用が拡大していた国税納付の「スマホアプリ決済」「クレジットカード決済」に対して、2025年の支払方法から事実上の「改悪」が入ることが分かりました。
これにより多くの中小事業者・個人事業主の方にとって、国税の支払方法の選択肢が狭まってしまうか、あるいは事務手間やコストの実質的な負担増加が発生してしまうかが避けられない見通しとなっています。
また、このルール変更のタイミングが、2025年の確定申告を間近に控えた今であることに関しても、不満の声が多く挙がっているようです。
本稿では、この改悪の内容を改めて整理しつつ、特に注意すべき点を分かりやすくご説明していきます。
2022年から導入されたスマホアプリ決済は、スマホで指定されたQRコードを読み取るだけで簡単に国税を納付できる仕組みでした。
PayPayや楽天ペイ、d払いといった既存のスマホ決済アプリを利用し、自宅や事務所にいながら手軽に国税を納付できるとして、多くの納税者に支持されてきました。
また、よく比較に挙がるクレジットカード決済とは異なり、支払いに際して決済手数料が発生しない点もスマホアプリ決済の大きなメリットです。
さらに、利用するスマホ決済アプリによっては、国税の納付それ自体、あるいは納付のための決済アプリへの事前チャージ等にポイントが付与されるケースもあり、一部納税者の間では、ちょっとした“ポイ活”としても認知されていました。
こうした理由から、国税のスマホアプリ決済による支払いは、急速に利用者を拡大してきた経緯があります。
しかし、2025年2月より、国税のスマホアプリ決済による支払いには、以下2つの改悪が入ることが分かりました。
【改悪1】e-Tax申告の必須化
スマホアプリ決済を利用するには、e-Taxを利用して申告を行うことが必須条件となりました。
e-Taxとは、国税の申告を電子的に行う方法ですが、導入には所定の事前準備が必要となるうえ、マイナンバーカード取得を前提としたサービス設計となっています。(一応、マイナンバーカードを使わないe-Tax利用も可能ではありますが、相応に手間のかかる事前手続きを経る必要があります)
【改悪2】納付金額の上限が30万円以下に
さらに、スマホアプリ決済の利用は「納付金額30万円以下」に限定されることとなりました。
このため、一定規模以上の事業者や高額納税が必要な場合には、スマホアプリ決済自体が利用できなくなってしまい、クレジットカード決済など、別の支払方法に変更せざるを得なくなってしまいました。
<参考>国税庁ホームページ 『スマホアプリ納付の手続』
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/smartphone_nofu/index.htm
こうした改悪を受けて、2025年の国税納付からはスマホアプリ決済が利用できなくなる方が急増し、クレジットカード決済等の他の支払方法を検討する方が増えることが見込まれます。
しかし、何とも具合の悪いことに、変更先の最有力であろうクレジットカード決済に対しても、大きな改悪が入ることが分かりました。
これまで国税納付に対するクレジットカード決済の手数料は「最低0.83%~」となっていました。
たとえば、1万円以下の納付なら手数料は83円、2万円以下では167円といった具合です。
この決済手数料が、2025年から以下のように一気に「0.99%~」に引き上げられることになります。
<参考>国税庁ホームページ 『クレジットカード納付のQ&A』より抜粋
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/nofu-shomei/nofu/credit_nofu/index.htm
元より、クレジットカード決済の手数料は、決して低いといえるものではありませんでした。(だからこそ、スマホアプリ決済が急拡大したともいえます)
たとえば、納付額がキリよく2万円であれば手数料率は0.83%ですが、納付額1.2万円であれば約1.4%となります。
一般的なクレジットカードのポイント付与率は0.5%~1.0%程度(国税を含む税金関連の支払いはポイント対象外またはポイント付与率減というクレジットカードもあります)ですから、殆どの場合において、クレジットカード決済では付与されるポイント以上に決済手数料が発生してしまう状況にあったのです。
今回の改悪によって、たとえば納付額1.2万円の場合の手数料率は約1.7%にまで上昇するため、これまで以上にクレジットカード決済を選択しにくくなることは間違いないでしょう。
また、著者の調べた範囲では、今回のクレジットカード決済の手数料率引き上げに関して、国税庁から公式な発表は見つかりませんでした。
まるで「サイレント値上げ」のような印象を受けるため、この点もSNSなどでは不満の声が少なからず挙がっているようです。
今回のルール変更(改悪)により、多くの納税者にとって余計な事務手間またはコスト、あるいはその両方の負担が発生してしまいます。
先般のインボイス制度導入や電子帳簿保存法の改正も同様でしたが、“それらしい”理屈を盾にした「実質的な増税」のような制度変更が近年続いており、著者としては今後にも不安を感じるところです。
また、こうした制度変更の積み重ねは、特に中小零細の事業者の経営環境を悪化させる一因にも繋がりますから、オールドメディアなどでももっと問題視するべき案件ではないかと思う次第です。
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