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収益物件の売却理由でよくある「資産整理」とは?本当の意味と注意点を解説します!

収益物件の売却理由でよくある「資産整理」とは?本当の意味と注意点を解説します!

収益物件の売却理由でよくある「資産整理」とは?本当の意味と注意点を解説します!

収益物件を購入する際、買主として必ず確認すべき重要なポイントの一つが「売却理由」です。

不動産投資の書籍やセミナーでも、売主に売却理由を尋ねることが推奨されており、私自身も契約前にしっかり確認するべき事項だと考えています。

しかし、実務の現場では、売却理由について明確かつ具体的な回答が得られることは意外に少ないものです。

特に多いのが「資産整理」という理由ですが、この言葉には注意が必要なケースもあります。

なぜなら、「資産整理」という表現は非常に広い意味を持ち、売主にとって都合よく使われる傾向があるからです。

 

本稿では、不動産投資において「資産整理」として売却される物件の本当の理由や注意点について、実務での事例を交えながら解説していきます。

 

■「資産整理」とは具体的に何を指すのか?

 

不動産売買において、「資産整理」とは一般的に次のようなケースを指します。

 

・減価償却が終わった物件を売却し、新たに減価償却が可能な物件を取得する

 

・相続対策の一環として、遺産分割しやすい形(区分マンションなど)に資産を組み替える、または現金化する

 

・老後の生活資金を確保するために、不動産を売却して資金を得る

 

このような理由であれば、特に問題はなく、買主にとってもネガティブな要因とはなりにくいでしょう。

 

しかし、「資産整理」という言葉の裏に、以下のような理由が隠れていることもあります。

 

・入居率が悪化し、収益性が低下しているため手放したい

 

・大規模修繕や原状回復工事に大きな費用がかかることが予測されるため、売却してしまいたい

 

・入居者の質が悪く、頻繁なクレームやトラブルに悩まされているため処分したい

 

このようなケースでは、「事情を知っていれば購入しなかった」「もっと価格交渉すればよかった」といった後悔につながる可能性があります。

 

■「資産整理」と言われたときの対策とは?

 

では、売却理由として「資産整理」と言われた場合、買主としてはどのように対応すべきでしょうか?

 

理想をいえば、売主に再確認して詳細な事情を教えてほしいところですが、実際にはこれに応じてもらえないことも多々あります。

たとえば、相続や現金化が絡む場合、売主が第三者に詳細を明かしたくないケースもありますし、あるいは売却する収益物件の詳細を把握しておらず、そもそも説明ができないケースも珍しくはありません。

 

そのため、買主側で客観的な証拠を集め、「資産整理」の背景を推測する必要があります。

具体的には、以下のような対策を講じるのが有効です。

 

1. 過去数年分のレントロールを確認し、入居率の推移を分析する

物件の入居率が低下している場合、何かしらの問題がある可能性があります。

例えば、周辺に新築マンションが増えて競争が激化している、物件自体の設備が老朽化して競争力が低下しているなどの理由が考えられます。

 

2. 近隣の賃貸仲介店舗を回り、賃料相場や広告料の状況を調査する

その物件の現行賃料が相場よりも高く設定されている場合、入居者が退去した際に家賃を下げざるを得ない可能性があります。

また、入居募集に際して高額な広告費が必要なエリアである場合、それだけ入居付けに苦労している可能性があります。

 

3. 修繕履歴を確認し、今後必要な修繕費用を把握する

売主が売却を決めた理由の一つとして、建物の大規模修繕や室内の大きな修繕工事を予測している可能性があります。

直近の修繕履歴や、建物の劣化状況をチェックし、購入後にどの程度の修繕費用が必要になるのかを試算しましょう。

 

4. 過去のトラブルや特別な取り決めについて、重要事項説明書への記載を求める

入居者との過去のトラブルや、口頭での特別な取り決めがあれば、重要事項説明書への記載を求めることも効果的です。

重要事項説明書に虚偽記載や重要な事実の記載漏れがあれば、取引後の損害賠償請求や契約解除の理由となりうるため、売主側に対する一定の抑止力になることが期待できます。

 

 

 

■投資初心者が特に注意すべきポイントとは?

 

著者がこれまで相談を受けた事例を振り返ると、特に投資初心者が注意すべきなのは「家賃」と「修繕費用」に関する認識のズレです。

 

特に、新築や築浅の頃に入居した人が長く住み続けている収益物件では、次のようなリスクが潜んでいます。

 

・新規入居者募集時に家賃が大幅に下がる可能性

 

・原状回復工事に高額な支出が必要となる可能性

 

・空室期間が長期化するリスク

 

・入居付けのために高額な広告費が必要になる可能性

 

一般的に、収益物件の家賃は新築時がピークであり、その後一定のラインまで下がり続けます。

もし、現在の入居者が新築時や家賃が下落する途中で入居していた場合、退去後に大幅な賃料減収が発生するリスクがあります。

 

また、長期間住んでいる入居者が退去すると、室内の劣化が進んでいることが多く、修繕費用がかさむ傾向にありますし、建物が老朽化すれば空室期間の長期化やそれを打ち返すために高額な広告費が必要となるリスクもあります。

 

このような事情は、売主が積極的に説明することはほとんどなく、買主側が慎重に調査しなければ見抜くことができません。

そのため、「家賃が高く取れているうちに売却してしまおう」「高額な修繕費がかかる前に売却しよう」といった売主の意図が隠れていないか、慎重に検討する必要があるというわけです。

 

 

いかがでしょうか。

 

「資産整理」という売却理由は一見無難に聞こえますが、その裏には様々な事情が隠れている可能性があります。

購入後に思わぬリスクを抱え込まないためにも、客観的なデータをもとに慎重に判断することが重要です。

特に、「家賃」と「修繕費用」に関するリスクを見落とさないよう、しっかり調査を行い、納得できる収益物件を選びましょう。

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