保険年金
交通事故の示談交渉!保険会社と交渉するための基本を教えます!
先週は全国的に記録的な暴風雪となりました。
著者の住む地域でも、視界がホワイトアウトしたり、路面がアイスバーンとなったりしたことで、交通事故が多く発生していたようです。
ところで、皆さんは交通事故に巻き込まれた際、どのような初動対応を取り、どのような点に注意して相手方の保険会社と交渉すべきかをご存じでしょうか?
事故の当事者となると、なかなか冷静に対処するのは難しいものです。
平時から事故や示談交渉の基本を身につけ、いざという時に備えておくことは重要だといえるでしょう。
そこで本稿では、交通事故(自動車同士の事故)に巻き込まれた際の初動対応、および示談交渉に際して最低限知っておくべき基本(基礎知識)をテーマに、分かりやすくご説明します。
交通事故(自動車同士の事故)が発生したら、まずは安全の確保を最優先します。
二次被害を防ぐため、可能な限り安全な場所へ移動し、ハザードランプを点灯させるなどの対応を行ったうえで、速やかに警察と加入している保険会社へ連絡しましょう。
もし、双方の身体や車に目立った被害がなく、相手方が「警察を呼ばなくても大丈夫」と言ってきた場合でも、警察への通報は必ず実施してください。
警察への通報を怠ると報告義務違反として犯罪になる可能性があるうえ、事故の事実関係が曖昧となり、後に身体の不調や車への不具合が発覚した場合に不利になる可能性があります。
最悪は、加入する保険会社が賠償の支払いを拒否する事態に繋がりかねないため、「警察と保険会社への連絡は必須」であることは、くれぐれも意識しておきましょう。
そのうえで、当該事故が「物損事故」なのか、「人身事故」なのかによって、その後の対応は変わってきます。
物損事故とは、車同士、あるいは車と建物・ガードレールなどの物に限定した損害事故を指します。
事故現場で分かりやすい怪我人がいない場合、基本的には物損事故として処理されます。(後に身体への影響が発覚した場合には、病院から発行される診断書を警察に提出することで、人身事故に切り替えることも可能です)
物損事故では、車の修理代等、物の損害回復に限定した賠償範囲となることが多く、一般に慰謝料などは支払い対象外となるケースが多いようです。
もう一方の人身事故とは、怪我や死亡などの人的損害を伴う事故を指します。
人身事故の場合、当事者(主に加害者)には行政処分(免許の点数影響など)や刑事責任が発生する可能性があります。
また、入通院の日数に応じた慰謝料や休業補償など、一般に物損事故よりも賠償範囲は広く、金額的にも大きくなる傾向にあります。
なお、双方の怪我が軽微な場合、加害者から「物損事故扱いでお願いします」と頼まれるケースがあるかもしれません。
前述したように、人身事故として処理されると、特に加害者には相応の刑事責任や行政処分が考えられるためです。
しかし、警察への届け出が物損事故の場合、その後の示談交渉で十分な補償を受けられない可能性があります。
多くの保険会社は、警察に届け出た事故の種類による補償への影響はないという建前を取りますが、実際の影響有無は専門家でも意見が分かれるようです。
少なくとも、保険会社に補償を減額する交渉材料を一つ与えてしまうことにはなりますので、慎重な判断をすべきでしょう。
次に、被害の範囲が確定し、示談交渉を行うフェーズに関する基本をご説明します。
実は、交通事故の示談で目安とする損害賠償額の“相場”には、以下3つの異なる基準が存在します。
①自賠責基準
自賠責保険(強制保険)は、交通事故の被害者救済を目的とした最低限の補償制度です。
そのため、賠償額は低めに設定されています。
②保険会社基準
保険会社ごとに定める賠償額の基準です。
具体的な金額は非公開(保険会社により異なる)ですが、自賠責基準と同等か少し高め、後述する弁護士基準と比べると著しく低いことが多いとされています。
③弁護士基準(裁判基準)
過去の裁判例を基に算定される賠償額の基準です。
自賠責基準は元より、保険会社基準と比べても著しく高いことが多いとされています。
一般的な示談交渉では、加害者側の保険会社は「①自賠責基準」または「②保険会社基準」で算定した賠償額を提示してくるケースが多いようです。
もちろん、その金額に納得できれば問題ありませんが、入通院や後遺障害の苦痛等に比して金額が足りないと感じる場合、「③弁護士基準」を前提とした示談交渉を行うことになります。
但し、保険会社によっては、実際に裁判を起こすか、そうでなくとも弁護士を入れないと交渉に応じないといった報告も見受けられます。
ほとんどの自動車保険には弁護士特約のオプションが用意されていますので、必要に応じて特約への加入を検討しましょう。
いかがでしょうか。
不幸にも交通事故に巻き込まれてしまった際には、警察と保険会社への連絡は必須です。
また、加害者側の保険会社は、なるべく低い金額での示談を目論みますので、3つある賠償基準(自賠責基準・保険会社基準・弁護士基準)を思い出し、適切な示談交渉を行う一助にしていただけたらと思います。
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