資産運用
普段は株式や債券、保険などの金融商品を取り扱っている筆者ですが、時々「不動産投資」について相談を持ちかけられます。
今回はローンを組んで資産運用を行う、不動産投資について解説します。
アセットアロケーション(資産配分)を行う上で、現物の不動産を組み入れることは通常しません。不動産を証券化したREIT(リート)は組み入れますが、実際に住所を登記されていて、所有者が誰かといった、「現物の不動産」は組み入れないのです。
それは、現物の不動産(以下不動産)は「金融商品」のカテゴリーではないからです。
株式や債券、保険などは、売却や解約をすることですぐに現金化が出来ますが、不動産は前者のように簡単に買い手が見つかるものではありません。資産運用において、これを「流動性」といいますが、不動産は流動性がきわめて低い資産になります。
しかし不動産は、一般的な年収の世帯において、金融商品のようにいくつも保有し、一生のうちに売買を繰り返すという事はほとんど無いでしょう。流動性が高いことが必ずしも必要ではないことから、マイホームを生涯の資産として購入する人は、昔も今も同じように存在するのです。
不動産購入では、多くの人が銀行などの金融機関からの借入金を用いています。平成29年度住宅市場動向調査(国土交通省住宅局)によれば、分譲戸建住宅では68.7%、分譲マンションでは63.5%の購入者が住宅ローンを利用しています。
何気なく「借入金を用いて」と言いましたが、不動産が他の金融商品と異なる最大のメリットが、この「ローンを使って資産形成ができる」というところです。
同じ不動産分野でもREIT(リート)は、証券になることから、購入に当たり金融機関からお金を貸してもらうことはできません。一流企業勤めで高年収、無借金といった、どんなに与信の高い人でも、株式や債券など投資性金融商品を購入するためには、銀行はお金を貸してくれません。
しかし不動産購入が目的であれば、銀行はその不動産を担保にとって、お金を貸してくれます。自身が住むのではなく、その不動産を第三者に貸し、家賃収入から銀行のローンを返済すれば、「他人(賃借人)の資本(お金)で借金を返し、ローン返済が終われば不動産は自分の資産」になるわけです。これが、ローンを使った資産運用での最大のメリットといえるでしょう。
しかし投資には必ずデメリットが存在します。
今回のようにローンを使って不動産購入をした場合、ローン返済の「アテ」である賃借人からの家賃収入が途絶えれば、借入をしている本人にはローン返済義務が重くのしかかります。ローン返済に関して、その用立てをどのようにするかは、ローン債権者である銀行にとってはまったく問題事ではありませんが、ローン債務者である不動産オーナーにとっては、大変な問題です。
ローンを使った資産形成は、自己資金を使わなくてよいというメリットがある変わりに、「順調に借入金を返済できる」という前提があってこそ成り立つ話である事を、十分に理解しましょう。
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